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新人推薦会 第一次試験

「それで?試練の内容は決めてるのか?」

「特に決めてない」

「よし、解散!!」


なんだそれ!?俺がここに来た理由は??


「・・・嘘。ちゃんと決めてきた」


よし、こいつら降格。


「それで?内容は?」

「我々が求める要素をすべて満たした者を加入させる」

「なるほど」


それはなかなかわかりやすい。


「その要素は?」

「私からは『勇気』」

「俺からは『覚悟』」

「朕からは『智慧』」

「・・・私からは『忍耐』」


スッゲェ抽象的だ。


「抽象的だな・・・・・間違ってないのがまた・・・・」

「だが、問題がある」

「それは?」

「・・・・一つ一つ見ていくのには時間がかかる」

「もしかしなくてもお前ら馬鹿だな??」


こいつら馬鹿すぎる。うちのパーティメンバー含めて冒険者ってのは変なところで抜けているのは間違いないが、試験やるなら穴くらいなくしてからやってくれよマジで・・・・


「そこで私たちからエルにお願いがある」

「・・・・・次のセリフを当ててやろうか?「人数も多すぎるから第一次試験みたいなのやってくれないかい?」ってとこだな?」

「大正解だぜ!!」

「何が、「大正解だぜ!!」だよ!!!!ふっざけんなよお前ら!!試験くらい自分たちでやれ!!」


こいつらマジで降格してやろうか?もしくは除籍させてやろうか?


「そう言うが、常に解決していただろう?」

「放棄してる側が言ってんじゃねぇ!!!」


何鼻高々みたいな顔してんだこの高慢エルフは。


「・・・お願い。代わりにやって?」

「・・・・てめぇら全員に貸し1な」


四人の幹部が俺に満面の笑顔を向ける。気持ちわりぃ。

絶対許さねぇ。


「試験内容は俺が決めていいよな?」

「もちろん」


俺はため息を吐きつつ、審査員用の空間を出る。


「はい。どけどけ」


数百人はいるであろう参加者たちのちょうど真ん中を我が物顔で押しとおる。

まぁ、どいたら審査員である幹部達と俺まで一直線に人がいない道ができるわけだ。


それで、部屋の端についた俺は振り向いて、審査員たちの方を向く。


「この線から右の奴らは一回出てけ」

「ハァ!?」

「ふざけんな!!」

「横暴だ!!」


まぁ、そうなるよな。


「一回分けるんだよ!!右の奴は後からやるから出てけ!!!」


今日一番の大声を上げる。

内容を渋々理解した右の奴らは一度ギルドハウスを出ていく。


だが、左の参加者だけでも数百人いるんだよなぁ。


「もう一回分ける。まばらに広がれ」


先程同様のことをして、全体を四分割。

これくらいならいいか。

そんなことを確認した俺は、審査員の前に立ち、参加者たちを見る。


「ガーネシア、視覚遮断の結界を張れ」


俺の言葉を聞いてガーネシアはクソでかため息を吐きつつ、詠唱、俺が望む結界を張った。

これで準備は万全。


「十秒以内に構えろ。今から試験を開始する」


俺の言葉を聞き、すぐさま準備する参加者。

十秒待たず、俺はとあるアーティファクトから剣を数百本を空中に浮かばせ、参加者たちめがけて射出させた。


「ちょ、待っ!!」

「えぇ!?」

「ハァ!?」


驚愕の表情を顔に張り付けた参加者。

一部の者は射出させた剣を何とか対処した。

だが、ほとんどの者達は擦り傷や切り傷がついている。


「試験は以上。傷がついた者は今すぐ治療室へ。それ以外は二階に上がれ」


さて、次だ。


二回目、三回目、四回目も同じようなことをした。

傷がついた者は治療室送り。何とか対処しきった者は二階に上がらせた。

とりあえず、すべての参加者に試練が行き届いたと思う。


治療室から負傷者全員帰ってきた。

余談だが、我々のギルドは実力主義組織でギルドメンバーに対する福利厚生を分厚くしているため、治療の質は少なくとも小国を超えるので、数百人程度の擦り傷ならどうにかなるとは思っていた。

だが、治療室もとい治療員には後で謝礼品でも送っておこう。例えば高値の治癒ポーションを数グレートグロス(1グレートグロス=1728)とか大規模休暇とかな。


・・・・これ、俺が俺の仕事を増やしてないか?


「一次試験は終了。現時点で二階に上がった奴らは合格。それ以外は不合格。以上」

「「「ふざけるな!!」」」


負傷者(不合格者)たちから非難轟々。

まぁそうなるよな。


「こんな理不尽な試験があってたまるか!!」

「ふざけるな!!」

「卑怯だ!!」

「こんなの試験じゃない!!」


「うるっせぇぇええええええ!!!!!!!!」


俺の今日一番の大声(二回目)もとい怒声を聞き、いろいろ言ってくる不合格者たちが黙る。


「まず最初にこの決定は覆らない。絶対だ。金を積まれようとも、仕事を減らされようとも、絶対に覆ることはない」

「ふざけるな!!」

「ふざけるな?それはこっちのセリフだ!!」


今、俺に文句言ったやつがビビる。


「お前は、ダンジョンの中で同じ言葉を吐くのか?死ぬ寸前も同じ言葉を吐くのか?吐かねぇだろ!!!吐けるわけねぇだろ!!!」

「理不尽?卑怯?お前らが立ち向かっていくのはそういう物だろうがぁぁああああ!!」

「冒険者やって、「理不尽だ!!」とか「卑怯だ!!」とか言う暇あるとでも思ってんのか?甘ェんだよ!!そんな暇なんてねぇんだよ!!」

「命の取り合いするんだぞ?そんな言葉考えてるうちにてめぇらは死ぬんだよ!!」

「お前らは考えたことがあるのか?自分の不注意で仲間が目の前でトラップを踏んで足がなくなる瞬間を!!自分のミス一つでダンジョンクエストに失敗する瞬間を!!!」

「俺の試験はまだ優しいぞ?擦り傷で済んでよかったじゃねぇか。切り傷で済んでよかったじゃねぇか。あの剣がてめぇらの頭に刺さらなくてよかったじゃねぇか!!あぁ!?そんなに不服ならもう一回やってやろうか?次は擦り傷じゃ済まねぇぞ!!」


不合格者たちが沈黙して、下を向く。


「『勇気』、『覚悟』、『智慧』、『忍耐』。確かにどれも必要だ。だがな!!それよりも前に、「絶対に油断しねぇ」って前提が守れない奴にそんなものあったって意味ねぇんだよ!!!」

「俺からは以上だ。不合格者は今すぐ帰れ」


不合格者たちがとぼとぼとギルドハウスを後にする。

こうして、俺による「超理不尽な第一次試験」が幕を閉じた。

各リーダーの冒険者階級(数字)

エルリック・ヨルバ・フォージウィン・・・・・ミスリル(9)

ロベルト・セインツ・ヴァン・イグニス・・・・プラチナ(8)

ガルド・ヘルヴォール・ブレイガン・・・・・・ダイヤモンド(7)

ガーネシア・ミラ・サファリオン・・・・・・・(仮)ダイヤモンド(査定中)

シェルナ・ヴィリ・パープルフォン・・・・・・ゴールド(6)



参考

新人推薦会参加者・・・・ストーン(1)~カッパー(4)

冒険者全体平均値・・・・カッパー(4)

引退冒険者平均値・・・・シルバー(5)

エルリックパーティ平均:ゴールド(6)


ゴールド以上は大体頭がおかしい。

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