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4.大規模新人募集の行方

あれからずいぶん時がたった。3年くらいかな?


幼馴染たちはめちゃくちゃ強くなった。意味が分からないほどに・・・・ありえないほどに・・・


では、どれくらいやばくなったかを簡単説明しよう。

例えばの話、前提条件が「高階級冒険者が複数人もしくは高階級パーティ」のクエストがあったとする。クソ難易度ダンジョンの攻略とか、ダンジョン内の魔物がある日突然ダンジョン外にあふれ出る稀有な現象である『魔獣大暴走(スタンピード)』、クソほど地位高々で暗殺者が一定期間送られ続ける世襲無能貴族の『護衛任務』というもはや冒険者関係ないが報酬が高いもの などそういうのは結構ある。 そういう最低条件が「パーティメンバーの死」という笑い話にもならないような『クソ馬鹿高難易度クエスト』を「たった一人」でやっているということだ。・・・・何なら「全世界冒険者協会」という――特殊地域を除く――ほぼ全世界の冒険者やギルドをまとめる世界的機関が直々に認め、逆に「強制な!!」と俺に指図してくるくらいだ。・・・・わっけ分かんねぇや。

一騎当千という言葉すら生ぬるい。一騎当億かな?


そんなもんだから、中途参加組含むパーティメンバーが全員集結することが年々少なくなっている。

俺はそんな彼らの帰りを温かく待つ係だ。ちなみに今は誰もいない。


そんなことを思い出しているうちに、今どういう状況だったかを思いだした。

あのクソ爺現役冒険者が、大規模新人募集(面倒ごと)を起こし、ジジイを制裁したんだった。


俺はもう一度下を見下ろす。

いろんなものが混ざった視線を感じるし、いろいろ聞える。


まぁ、言うことは一つだ。


「いいかてめぇら!!あのクソ爺が認めたとしても!!俺は絶対にてめぇら新規加入契約に許可サイン出さねぇからな!!!!はい!!解散!!!!」


俺はそれだけ言うとすごすごと去り、書類の山がある執務室へと戻る。



エルリックがいなくなった後の一階の様子を一言で言えば「カオス」だろう。

様々な冒険者が、様々な感想を述べ、様々な行動をする。


副団長直々の『解散命令』。この場において、それが持つ意味は計り知れない。


この中には腕に自信があった者が多数存在する。絶対に『黎明の蒼狼』に入ろうとギルドの門をたたきに来た者達である。

そのような者が認められ、実力者の階段を上ることによる生まれる「おこぼれ」を頂戴しようとするコソ泥も多数存在していた。


だが、今の『解散命令』でそのような挑戦や超絶くだらない策は一瞬にして無に帰した。

その失望たるや相当なものだろう。一回に聞こえる怒りの声は失望に耐えきれない者達の声だ。


そんな中、一人の・・・否、複数の人間たちが唐突にしゃべり始めた。


「・・・まったく、副団長は困ったものだぜ」

「・・・はぁ、少しくらい選別していった方が良いと思うのだけど・・・まぁ、エルなら仕方ないか」

「・・・妥当な判断だと思うが・・・・まぁ、やるせないだろうな」


一部の・・・その声に覚えのある者たちは喋ることをやめ、声のした方向を向く。

そんな一部の者達が急にあらぬ方向を向いたことに不思議がった者達がそのあらぬ方向への視線を追う。

そしてそんなものたちが・・・そしてそしてそんなものたちが・・・・といった風に連鎖し、その場のほとんどの者達が先の発言が聞こえた方向を見た。


「「「「!!」」」」


先の発言をした者達は一目で、最低でも上級以上の冒険者だとわかる気配を纏っていた。

実際その見識は正しい。彼らはエルリックと同じ「上級(ベテラン)冒険者」である。


「お前らもそう思うか?」

「当然だろう?まぁ早い話、私はヘッドハンティングを狙っていたのだがね」

「喋るな下等種共。朕はここにいるほとんどの小童どもに対する興味などない。だが、あの(・・)団長殿か副団長が選ぶ者には興味があったが・・・どうやらはずれだったようだ」


彼ら三人と声を発さぬ一人は示し合わしたかのように二階へ上がり、先ほど団長と副団長がいた階段近くの手すりにたち、階下を見下ろした。


彼らを一瞥した者達は驚愕した。なぜここにいるのかと・・・いや、実際数人は目的を喋ってはいたが、そう思わざる負えなかった。

なぜなら、彼らはあの(・・)副団長が直々に選び上げた、ギルド『黎明の蒼狼』の幹部だからだ。


「ならどうだい?私達で独自査定(・・・・)し、副団長に推薦するというのは?」

「お、それいいな」

「・・・・・・・・・・・・・・・賛成」

「勝手に巻き込むな、下等種風情が」

「とか言ってやる気なんだろ?」

「・・・・この中には多くの魔術師が存在する。朕はその者らだけを査定しよう」

「決まりだね。では諸君。私たちはこれから独自査定の内容とルールを協議する。詳細は後から大々的に発布しよう」

「そういうわけだ。さっさと帰れ」


一階にいた者達はあまりの情報量の多さに頭がショートし、数秒から数十秒経って一人、また一人とギルドハウスから出ていくのであった。

《こぼれ話》

「・・・・・そういえば・・・・副団長への報告・・・どうするの?」

「あいつサインしねぇとか言ってたからなぁ。認めさせるのは結構骨だぞ?」

「エルはキレさせると怖いからねぇ、さらに頑固と来た。しかも多忙中のトラブル・・・・考えうる限り最悪の交渉前提だね」

「時間を置いたとしても、交渉も一筋縄ではいくまい・・・さて、どうしたものか」

「『黎明の流星群』のメンバーがいればなぁ」

「・・・・全員個人でクエスト受注中・・・厳・・・・しい・・・・・運試し・・・する?」

「絶対却下だ。最悪、被害が出る」

「とりあえず、私が言いくるめておこう」

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