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2.現状の地位

先に断っておきます。

主人公所属のギルドの名前考えていません。なので、決まるまで漢字読みでお願いします。

ドギャ―――ン!!


「!?」


俺、エルリック・ヨルバ・フォージウィンは地響きと錯覚するほどの激しい揺れによって邪知暴虐な睡魔から意識を取り戻した。

だが、災難というはたいていの場合、一回では終わらないのだ。

その揺れによって積み重ねられた書類の――文字通り―—山が地滑りを起こし、俺に向かって襲い掛かってきた。


紙って言うのはそれ単体では攻撃手段になりえない紙屑レベル攻撃力なのだが、膨大な数になれば・・・・その威力は察することできるというものだ。


「痛ッで!!」


それだけでは終わらない。紙の量が多すぎたのだろう、あまりの質量に座っていたイスもろとも後ろに傾き、倒れる。


「痛ッ!!」


背中に当たった分と椅子の背もたれに当たった分、つまりは二倍の威力を背中に受けることになった。

そして、俺の顔は机の上から舞い上がってきた紙に覆われることになる。


「何事ですか!?」


俺の声を聞きつけたのか、それとも椅子が倒れた音を聞きつけたのか、俺の秘書官が執務室に駆け足で入ってくる。

そして、現状の惨事を見て・・・・何をしているのだろうか?全く見えない。


「ハァ・・・・」


なぜだかため息が聞こえる。はっきり言うが、俺は何もしていない。ただ寝てしまっていただけだ。

ちょっと待て、寝てた?


俺は慌てて椅子から離れようとして、足を引っかけ、机と熱いキスをすることになった。

あら不思議、俺の唇は一瞬にしてタラコになった。


唇のあたりを抑えながら、ようやく俺は立つことに成功した。

腕のストレッチをしつつ、秘書官に尋ねたいことを聞く。


「何分寝てた?」

「1440分以上ですね」

「へぇ、そんなに・・・」


ん?1440分?よく考えろ俺、まず60びょ・・・違う、60分が1時間だ。そして?24時間が一日だ。

つまり。「1440(Minute)÷60=24(Hour)=1(Day)」・・・One day?


「一日!?」

「はい。ぐっすりと寝ていたので・・・起こすのを憚れました」


なるほどなるほど。理解した。連日の多忙で俺はいつの間にか睡魔の使徒となっていたようだ。


「それで、さっきの地響きはなに?」

「・・・・」


秘書官が黙る。なんだろう、すごい嫌な予感がする。


「・・・その、副団長が寝ているときに・・・」

「俺が寝ているときに?」

「・・・団長が帰ってきて・・・・」

「!!よし、おおよそを把握した。どこにいる?」

「おそらく、階段前の手すりに」

「・・・よし、成敗の時間だ」


俺は張扇(ハリセン)片手にこのギルドの団長の元へと向かった。



この世界には「マナ」という未知の物質が存在する。

この世界の住人は、いまだ全貌が明らかになっていない未知の物質たるマナを利用し、武術に応用したり、魔法又は魔術と呼ばれるこれまた未知の利用手段をとっている。


また、この世界には「マナ溜まり」と呼ばれる他と一線を画すほどのマナ密度が高い場所が存在する。

そんな場所にたまに生まれる空間が存在する。その空間の名を人は「ダンジョン」と呼ぶ。

ダンジョンには多くの共通点と相違点が存在する。大まかな共通点として、すべてのダンジョンはオドと呼ばれるマナの上位物質が漂っていること。主な相違点としては、オド濃度が千差万別であるということ。そして、オド濃度に比例してその空間が現実離れしたものとなるということだ。


歴史上の記録は消滅しているため確かなことは分からないが、この世界の住人たちはダンジョンに潜るようになった。

そして、この世界でダンジョンに潜る者達の総称を「冒険者(ハンター)」と呼ぶ。


過去現在に至るまで、ハンターたちは己が武功と名誉のためにダンジョンに潜り続けている。

そんなハンターたちをまとめ上げる組織が大まかに2つ存在する。


一つが全世界冒険者協会。この組織は不干渉地域を除く全世界に支部を持っている世界最大級の公営機関である。

二つ目がギルド。全世界冒険者協会と違って、こちらは民営であるため、大小さまざまな組織が存在する。


ではこの世界で最も大きいギルドはどこか?その問いに必ずと言っていいほど出てくるギルドが存在する。

そのギルドの名は『黎明の蒼狼』。世界有数の国家の一つギメッシュ王国の王都を本拠地とし、王国主要都市にも支部を展開するという拡大政策を敢行。

現在、王国内ギルドシェアの4割を超える、史上稀にみる巨大ギルドへと変貌を遂げた。


今、「黎明の蒼狼」で大規模な「新参者囲い込み」が行われようとしていた。



「お前ら!!武功が欲しいかぁ!!」

「「「「「お”お”お”お”!!!!」」」」」


「黎明の蒼狼」ギルド本拠地の一階から二回に続く階段近くの手すりにて、新米の士気を鼓舞せんとする大男がいた。

何を隠そう、彼こそ本ギルドの団長である。

彼の名はディアマト・ヒュデュル・スカルビア。ヒヒイロカネ級冒険者である。


彼の影響力はすさまじく、彼の武功によってこのギルドが大きくなったといっても過言ではない。

・・・ほかにも理由があるのだがそれは今は置いておこう。


「『黎明の蒼狼』に入りたいかぁぁああ!!」

「「「「うお”お”お”お”!!!!」」」」


先程よりも激しく、建物が振るえんばかりの猛々しさである。


ディアマトは獰猛な笑みを浮かべながら、宣言する――


「気合は十分。これより、『黎明の蒼狼』の加入試験をはじ―――」

「始めるな!!!このぉ!!クソ爺がぁああああ!!!」


――宣言が終わる前に、ディアマトはエルリック・ヨルバ・フォージウィンの張扇(ハリセン)攻撃を受け、二階の廊下へと退場していった。



この世界にはマナを帯びた武器がいくつか散見される。それらは総称して「アーティファクト」と呼ばれる。・・・・ちなみにダンジョンで見つかったアーティファクトはまた別の分類名で呼ばれることもあるのだが、一般的にはそういう物含めてアーティファクトと呼ばれる。


俺が持っているアーティファクトは「風霊の張扇(シルフィア・ハリセン)」という1ミリもかっこよくない名前がついているハリセンである。

能力は「非攻撃である代わりに、たいていのものを吹っ飛ばす」というなかなかクレイジーなものである。

しかし、これを使うのは大体ろくでもない時なのだ。


俺は階段近くの手すりから階下を見下す。

あのクソ爺もよく集めたものである。・・・・その仕事が俺に降りかかりさえしなければ許可してやってもいいのに・・・


「あいつはもしかして・・・」

「指さすんじゃねぇ!!殺されるぞ!!」

「アレが本物!!」


階下がさっきと違う意味で騒がしい。

まぁ、そりゃ高位の冒険者に会うことは少ないもんな。俺、これでも「ミスリル冒険者」だもんな。

そりゃそうだ、うるさくもなるわ。

だが、俺はとある責務をやらねばならない。


俺は手すりに足を思いっきり乗せ、鈍く大きな音を鳴らす。


「てめぇらよく来たな。そうだ、俺がエルリック・ヨルバ・フォージウィン。このギルドの副団長だ」


そう、俺はギルド『黎明の蒼狼』の副団長だ。

冒険者協会が定める冒険者階級について


初心者ビギナー:ストーン→アイアン→ブロンズ

↓  

中堅者ミドル:カッパー→シルバー→ゴールド

上級者ベテラン:ダイヤモンド→プラチナ→ミスリル

熟練者エリートオリハルコン→ヒヒイロカネ→アダマンタイト

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