罠猟師のおっさん、覚醒する
村ではすでに避難の準備が進んでいた。
討伐隊も迎撃体制を取るが、相手は動きが読めない。
そんな中──健一は言った。
「罠の力だけじゃ無理かもしれねぇ。だが、“罠が繋がれば”話は別だ」
彼が提示したのは、一つの罠ではなく、“複数の罠を連動させる”という作戦。
・まず音罠で敵の位置を特定
・音に反応して、遠隔で“跳ね罠”が作動
・そこへ誘導された魔物が、誘爆式の《振り子トラップ》に挟まれる
・最後は、連動した木製の弓装置から、石矢が放たれる
「簡単に言えば、“人がいなくても協力プレイ”できる罠だ」
健一は村の子供たちや若者たちを集め、罠の仕掛け方を教え始めた。
「ロープの張りはここ。テンションが弱すぎると作動しねぇ。強すぎると誤作動する」
「はいっ!」
「次、木の枝で作る支柱はこう。裂け目にロープを通して──そう、それで引っ張れ」
「師匠!これ、狙った場所に飛ばせるんですか?」
「“師匠”じゃねぇよ、やめろ恥ずかしい」
村人たちは、最初は不安げだったが、罠が組み上がっていくにつれ、目の色が変わっていった。
誰もが役割を持ち、誰かの技術が次に繋がる。
健一の作る「連動罠」は、村そのものを“仕掛け武器”へと変えていった。