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お前、本当は肉食だろ!!

蓮は机に突っ伏していたが、隣の席の順平に揺さぶられて目を覚ました。


「おい!新しく転校してきた子、めっちゃ美人だぞ!」


蓮は目をこすり、まだぼんやりした視界のまま答えた。


「ん?」


順平の視線を追うと、窓際から教室の入り口へと静かに歩く姿があった。


長い髪をさらりと下ろし、陽の光を浴びた肌は透き通るように白い。しかし、その表情はどこか冷たく、高嶺の花の雰囲気を漂わせている。カジュアルなジャケットとデニムを身に着けているのに、どこか隙を寄せつけない空気を纏っていた。


蓮は彼女をじっと見つめ、ぽつりとつぶやく。


「……なんか、すごい雰囲気の子だな。」


すると、彼女は蓮の視線に気づいたのか、不機嫌そうに一瞥してきた。


「やばい、こっち見た!」


順平は慌てて蓮を小突いた。


「言っとくけどな、あれは俺の女神だ!お前、絶対に好きになるなよ!」


その瞬間、彼女――真理奈が再びこちらを見て、わずかに口角を上げた。


順平は勝ち誇ったようにニヤつく。


「ほら見ろ!俺に微笑んでくれたぞ!」


蓮は軽く肩をすくめ、意地の悪い笑みを浮かべた。


「うーん、確かに見てたけど……あの顔、どう見てもバカを見る目じゃね?」


「てめえええ!!」


順平は悔しそうに机をバンッと叩く。


「いいか、あれは高嶺の花なんだ!しかも、あの清奈さんの家に引き取られた子は、みんな内部でくっつくらしい!」


「へえ?じゃあさ、あの笑顔は“消化”してもいいってサイン?」


「可能性はゼロじゃない……! もし倉田先生が俺を養子にしてくれたら、俺も真理奈と家族になれるんじゃ……!」


順平は妄想に浸り、うっとりと遠くを見つめる。


蓮はどうでもよさそうにため息をつき、再び真理奈の方をちらりと見た。


彼女は美しい兄弟姉妹たちと並んで座っていた。彼らは皆、赤く艶やかなリンゴを食べている。


蓮は小さくつぶやいた。


「……ウサギの生まれ変わりか?」


すると、真理奈がすっと立ち上がり、無表情のまま近づいてきた。


「違うわ。私たちはベジタリアンよ。自然でオーガニックな生活を大切にしてるの。」


蓮は彼女の端正な顔をじっと見つめ、気の抜けた声で返した。


「へえ?じゃあさ、リンゴ食うとき、リンゴの気持ち考えたことある?」


真理奈の眉がピクリと動いた。


「……あなた、生意気ね。名前は?」


「蓮。結構有名だぜ?」


彼は自信満々に胸を張る。


「どう?俺に興味出てきた?」


「放課後、グラウンド裏。来れる?」


「お、デートの誘い?」


「……は?」


真理奈は呆れたように一瞥すると、踵を返して去っていった。


放課後。


夕陽が西の空を染める中、蓮は約束の場所へ向かった。


逆光の中、真理奈の孤高なシルエットが立っている。


彼女は何も言わず、近くの林へと足を向けた。


蓮は肩をすくめ、気楽な足取りで後を追った。


林の中は木漏れ日が揺れ、心地よい草の香りが漂う。しかし、奥へ進むにつれ、だんだんと薄暗くなり、空気もひんやりとしてくる。


真理奈は歩きながら、無造作に野イチゴを摘んでは口に運んでいた。


蓮は何気なく尋ねる。


「ベジタリアンになってどのくらい?」


「……まあ、しばらくね。」


蓮は彼女の食べ方を観察しながら、ふと疑問を口にする。


「ていうかさ、普段からそんな適当に果物食うの?」


真理奈はイチゴをかじり、果汁を滴らせながら言う。


「……で?あんた、私のことずっと見てたみたいだけど、何か気づいた?」


蓮は手の中の小さな果実を転がしながら、にやりと笑った。


「うん……お前の秘密、バレバレだぞ。」


真理奈は立ち止まり、鋭い眼差しを向ける。


「言ってみなさい。大きな声で。」


蓮は息を吸い、堂々と告げた。


「お前、本当は肉食だろ!!」


真理奈の顔がわずかに引きつる。


「は?」


「お前の肌、あまりにも白すぎる!粉を塗りすぎてるけど、実は血色が良くて白く透けてるんじゃないか? あと、見た目は華奢なのに体力測定で800m全力疾走してただろ!しかも、いつも持ってるリンゴ、ずっと食ってねぇし、放置しすぎてシワシワになってる!それにな……お前、たまに焼き鳥みたいな匂いするんだよ!!」


真理奈の口元がピクッと動く。


彼女はゆっくりと蓮に歩み寄り、高慢に顎を上げた。


「それで?失望した?」


「失望?いや、むしろ興味が湧いた。」


蓮は鼻をひくつかせ、クンクンと匂いを嗅ぐ。


「……今日の匂いは、焼き肉か?」


真理奈は不敵な笑みを浮かべる。


「ふふ……ちょっと気分転換よ。」


そう言うと、彼女はゆっくりと口を開いた――鋭い牙が、夕陽を浴びてキラリと光る。


「私たちの秘密を知った以上……あなたを生かしてはおけないわ。」


蓮は即座に後ずさりし、ポケットから銀のペンダントを取り出した。


「へっ、俺が何も準備してないと思ったか?」


しかし、真理奈は余裕の笑みを崩さない。


「ククク……私が銀ごときで怯えると思った?」


彼女は一瞬で間合いを詰め、蓮に飛びかかった!


「ちょ、待て!お前ら、オーガニックとか言っといて人間食うのかよ!?」


「……じゃあ、覚悟はいい?」


蓮は叫びながら全力で逃げ出した。


「冗談じゃねえ!!俺はメインディッシュになりたくねえ!!!」

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