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私の家族

サキアと共に私がダイニングに到着すると、既に四人が席に着いていた。


「おはよう御座います」


私は目の前に近付くと、家庭教師から習ったばかりのカーテシーをして挨拶をする。


「おはよう、アリステシア」


白銀の髪で短髪、青い瞳の青年は私に微笑んで挨拶すると、読んでいた新聞を閉じて執事に手渡した。


クエス・フォン・クオルナ(30)。

クオルナ公爵家当主で、臣下に降下した国王の弟である。王宮では筆頭文官を務めている。



「おはよう、私の可愛いアリス」


紫色の長い髪を一つに結わえ、赤い瞳の美しい女性は私に挨拶すると、私を抱き上げて膝に乗せる。


マリエル・フォン・クオルナ(30)。

クオルナ公爵夫人で、柔らかい雰囲気の美しい美女だが、社交界ではいつも中心にして多くの夫人達に囲まれている。


「アリス、おはよう。今日もちゃんと起きれて偉いね」


私に微笑み掛けるのは、母上に瓜二つの紫色の髪で短髪、青い騎士服を着た端正な顔立ちの青年。


クリフト・フォン・クオルナ(15)。

王立アカデミーの騎士科に通う長男で、既に騎士試験を合格しているけど、昼間は騎士科で学業を学びつつ、放課後は王宮の騎士団本部で騎士見習いとして他の騎士と共に修練を積んでいる。



「おはよう、アリス。僕が送ったドレス早速着てくれたんだね?ありがとう、嬉しいよ」


私を見て嬉しそうに礼を言うのは、父上そっくりの白銀の髪を腰まで伸ばし、一つに結わえ白いローブを着た少年。


クリス・フォン・クオルナ(13)。王立アカデミーの魔術科に通う次男。既に魔術師試験に合格しているけど、魔術科に通って魔術の基礎や応用を学んでいる。

王宮魔術師の魔術師長からオファー来てるけど断ってるみたい。



「クリス兄さんの送ってくれるドレスは可愛くて好きですが、もう少しフリルを抑えたスカートの方が好きです」


私は取り敢えずクリス兄さんに言ってみた。


「アリスはまだ幼いからフリルをふんだんに付けたスカートのドレスが似合うと思うんだけど……アリスが言うなら今度は控えめに作って見るよ」


苦笑してクリス兄さんは頷いたけど……


……ん?もしかしてクリス兄さんの手作り?


ふと、私は記憶の中に過る。


それは私のファンだった一人のデザイナーが浮かんだ。


元アイドルで、人気デザイナーだった彼は何故か私のファンで、オーダーメイドの服をいつも半額で作ってくれていたの。


本当は、無料で良いって言われたけど、そんな訳には行かないから半額にしてもらった。


ふむ、異世界のそら似さんは家族に多いな。


私は何と無く、既視感覚えつつ淑女の微笑みで誤魔化した。


「さて、家族が揃った事だし食べるとしよう」


父上の言葉で、家族全員が手を合わせる。


「「「「「麗しき月の女神に今日も感謝をして頂きます」」」」」


毎度お馴染みの挨拶をしてたから食べ始める。


「アリス、美味しい?」


「美味しいです」


私は母上にペースト状に刻まれた玉ねぎスープを掬って食べさせて貰う。


母上に聞かれ私は満面の笑みで答えた。


本来なら、中世ヨーロッパの世界観だと医療知識も浅い筈が普通なの。


だけど、この世界では上下水道は当たり前、医療技術も魔法だけに頼らず外科手術も可能。


現実世界のような利便さが魔導科学で再現出来る所まで、きちんと再現されて管理されている。


しかも、我が国は王政だけど王族であろうと身分問わず全ての国民が選挙によって国王を選出もしていた。


父上の場合は、王位継承権を破棄してしていたので必要なかったけどね。


色々思考の海に沈んでいた私は、母上に食べさせられたおかげで朝食を終える。


「そう言えば、父上。ネズミ連中をいつまで泳がせておくつもりですか?」


ナプキンで口元を拭うと、クリフト兄さんが父上に尋ねた。


和気藹々としていた一家団欒が、突然張り詰めた空気に変わる。


私はクリフト兄さんの言葉の意味は分からないけど、ダイニングに居る使用人は家令に執事長、侍女長にメイド長と信頼が置ける優秀な使用人のみなので安心できた。


何だか、家族から不穏な気配を感じるわ。







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