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次男は微笑む

「母上も父上も兄上も生温いよね」


僕はいつも着ているローブから、黒いローブに着替える。


「スロバキア男爵家を一網打尽にする為には、屋敷ごと早朝に大魔法で滅するべきだったんだ。少なくとも、僕ならそうしていたよ」


だから僕は、前世で大切な者を失ったから……もう二度と選択は間違えない。


「アサシンドール魔術師団を全員動かして。追い詰められた人間の行動なんて手に取るようにわかるからね」



だから僕は、腹心のアサシンドールに命じた。


彼は確か……元々ストバダ子爵家の子爵令息だったかな?


魔術師になる才を見出だされて、せっかく王立アカデミーに入学したのに……


高位貴族の令嬢であった母に嫌がらせをするからだよ。


今は言葉も封じられ話せぬアサシンドール魔術師に成り果てたけど、僕の身の回りの世話等も彼が侍従としてやってくれてる。


言葉を封じられた理由も、高位貴族である母上を口汚く罵ったから。


もはや話す言葉も、声帯も不要と判断され、アサシンドールになって直ぐ潰されたんだ。


そう……名前はアキレス。



「本来なら、君も父上達と共にアサシンドールとしても、歳を重ねることも出来たのになんでまた……自ら魔術で自分の時を止めたのかな?」


僕は無意味だと知りながらつい、聞き返してしまった。


アキレスは困った顔をして苦笑する。


「答える気なんて無いなら聞いた僕が悪かったね、さあ……行こうか」



僕はアキレスと二手に別れ、庭に出ると直ぐに父上や兄上達が待っていた。



「光の守護結界よ、我らを包み守りたまえ」


魔力を屋敷全体に収束させ、僕は呪文を詠唱した。


すると、目映い光と共に魔法陣が出現する。


魔法陣から白魔法が発動し、巨大な結界となり屋敷全体に広がった。


「一先ずは、広範囲魔法の直撃を受けても大丈夫だと思うよ?」


苦笑して僕は笑って二人に言う。



そう、この結界を破るなんて不可能だからだ。


これを破るには、僕より高い魔力を持って僕を上回る攻撃魔法が条件だ。


そんなこと有り得ない。


ましてや、男爵家ごとき貴族の嫡男が僕より強いなんて有り得ないからな。



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