今日よりマシな明日に向けて
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
聴覚系の障がいって、普段は平気ですけど、仕事になると本当に足を引っ張るんですよ。
人が何かを言っているという事は分かる。でも内容が理解出来ない。ある程度見知った事ならば、脳が補完して予測して理解出来る。けれども未知の分野だとてんで駄目。
理解した気になって鸚鵡返しにしても、根本的な事が解ってない。其れはどれだけ質問を繰り返しても変わらない。脳の構造が常人とは異なるのだ。
聴覚系の障がいは、日常に異常をきたさないけれども、仕事においては徹底的に振りに傾く。
会社は利益を上げる場所だ。だから仕事の出来ない人間は要らない。絶対に要らない。
今働いている子は、お世辞にも仕事が出来るとは言えなかった。
此方が説明して、『分かりました』と返しても解釈が大きく異なる。分からない事を質問しても、鸚鵡返しにするか、質問の内容が的外れで根本を理解してない。あまりに話を聞かないで、メモばかりを取るものだから、『取り敢えず、話を聞け』と咎めた事がある。兎にも角にも、人とズレた子だった。
ある時、任せた仕事が完了した。という報告があった。この後、この子はフリーになる。ならば続く言葉は『何か仕事を回して下さい』と来るだろう。そう思ったのだが、彼女は何も言わず、ただ黙ってデスクに戻った。
内心はムッとした。仕事をやる気が無いのかとも思った。だから立ち上がって、彼女の後ろに回り込む。
「あのね、仕事が終わったら、新しい仕事を下さいって言うのが、普通だからね」
そう小言を話すと、僅かに身を上げて振り返った。彼女の前には幾つかのファイルとPDF、それからサイトが同時に開かれている。
「すみません。ただいま取り掛かります」
「……何してるの?」
「あー……私、この間の件、まだ全然理解してなくて、再度見返す事で整合性を取ってるんです。どうにも話を聞いて理解する事が苦手で……。文字にしないと理解できないんです。
また質問が文字として纏まったら、質問にいきますので」
そう言って、ノートをまたぱらりと捲った。
「どうぞ。ご指示下さい」
ぺこりと頭を下げる。新しい仕事を振ると、とても読めない文字で走り書きを行っていく。
「読めるの、それ」
「慣れるとそれなりに。あんまりお時間取らせるの、申し訳ないんで」
そう言って崩れた様に笑った。
やる気はある。だがどうにも空回りしがちな子だった。
仕事出来ない人間が、合わない仕事に就くなよ。面倒見る此方の身にもなれよ。
そんな纏めコメントを見て、頭を抱えた。乗っている指摘は全て真っ当。だから言い訳の一つも出来やしない。
でも一つ反論を述べるなら、『此処しか拾われなかったので、許して下さい』である。合う合わないの問題以前に、二十社受けて受かったの一つ。という現実だった。
だから、今の私を言い訳にしない。拾って貰った恩は返したい。
才能無いやつが努力しても無駄だし、そいつは馬鹿だとコメントを見たけれど、今は目を瞑ろう。
今日よりマシな明日を作る為、我儘を聞いて欲しい。
APDってご存知ですか? 聴覚系の障がいで、
何か言ってるのは分かる。でも内容が分からない。
所々言葉が抜け落ちるか、別の言葉に置き換わる。
普段はどうしているかと聞かれば、
会話は文脈から推測して話すんですよ。
『ついさっき、みかんで友人にばったり会って〜』は『ついさっき、廊下で友人にばったり会って〜』に変換します。
其れでも分からない時は笑って誤魔化します。
聞き返されるの、嫌でしょう?
これでも私は軽度だと思います。
未知の範囲に限定して、理解が出来ないので。
だから言われた事は調べて脳内に入れてから、再度考えるようにしてます。
これをしないとどうなるか。同じ失敗を繰り返します。
すぐに指示を貰わないのは許して下さい。
悪いとは思ってます。本当にすみません。
仕事出来ない人間は会社に要らない。
さっさと出てって欲しい。
性格悪くて仕事出来る方が良い。
仕事出来ない人間なんで、その事に関しては反論は出来ないんですよ。
でも生きていく為には、何処かで自分に折り合い付けなければなりません。
我儘述べると、タイトルになります。
今日よりマシな明日に向けて、無駄だと思ってもやるしかない。