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今の大学生活~異世界へ!  作者: 光原石
6/15

人生初クエスト的なやつ 4

「全然来ないな」

「そうですね。なかなか現れないですね」


 疲れたようにつぶやく俺にエリナも同意した。

 岩陰に隠れゴブリンが出てくるのを待ってどのくらい経ったのだろうか。一時間ぐらいは経っていそうだがゴブリンが現れる様子は一向にない。


「もう俺は疲れたよ。こんなに待っても現れないとは。本当に出てくるのか?」

「クエストにあるのでさすがにデマというのは無いと思いますよ。まだ見張っていれば変化があるかもしれないのでもう少し見張ってみましょう」


 待つのが苦手な俺は限界が来てそわそわしていた。ちなみに俺は行列に並ぶのは嫌いなタイプである。いくらおいしいお店でも何時間も待って食べたいとは思わない。そんなに待つならカップ麺で良いタイプである。


 そわそわしている俺に頑張れという感じでエリナがもう少し見張ろうと提案し、まだやらなければいけないのかと思い深く嘆息しながらも見張りを続ける。


 さらに一時間位が経った。

 一向にゴブリンが現れる様子は無い。


「なかなか現れませんね」

「これもう来ないパターンじゃん」


 このくらいじっとしているとなるとさすがのエリナも疲れた表情をしながら呟いた。

 俺は異世界に来てからずっと持っているリュックサックから水筒を取り出してお茶を飲んだ。

 するとエリナを興味深そうにこちらを視線を向けた。


「ん? 飲むか?」

「よろしいのですか?」

「全然いいよ。さすがにこんなにも待っているとのどが渇く。好きなだけ飲んでいいぞ」

「はい。ありがとうございます。実は少しのどが渇いておりまして何か飲みたいと思っていたところです。それにしても珍しい入れ物ですね」


 俺が水筒を差し出すとエリナはそれを両手で受け取り、興味深そうに水筒をくまなく見ていた。


「それは水筒っていって、その中に飲み物を入れて持ち運ぶことができるんだ。俺の居た世界……じゃなくて国ではみんな当たり前に持っているんだ」

「そうなのですね。タクミさんの国ではみんなが持っていらっしゃるのですね。私は初めて見ました」


 流れで危うく異世界から来たと言いかけたのも気にせずエリナは水筒に夢中になっている。


「それでは頂きますね」


 そういうとエリナは水筒に口を付けてお茶を飲んでいく。


「はあ。生き帰りますね。この苦みがある飲み物はなんというのですか?」

「それはお茶っていう飲み物なんだ。俺の国ではお茶の葉っぱがたくさんあってそれをお湯に入れ出てるのがこのお茶なんだ」

「そうなのですね。初めての味で非常に美味しかったです」


 どうやらこの世界にお茶という文化は無く、エリナは初めて飲んだお茶に目を輝かせていた。

 このお茶は母親の職場のお昼にやかんに入っている物でそれは昼が終わると捨てられてしまうらしく母親がもったいないからとペットボトルに入れて貰ってくるお茶である。


「もう一杯頂いてもよろしいでしょうか?」

「ああ。いいぞ。好きなだけ飲んで」

「ありがとうございます。それでは頂きます」


 もう一杯飲みたいと言ってくるエリナに好きなだけ飲んでいいと言うと嬉しそうにまた水筒に口を付けてお茶を飲んだ。

 初めて異世界に来て俺の力が役に立ったのかもと思いながら美味しそうにお茶を飲んでいるエリナを見ていたら俺も少し嬉しくなってきた。


 それにしてもこんなにかわいい子が俺のお茶を飲んでいるのはなんかドキドキするな。

 ん、ちょっと待てよ? エリナが俺のお茶を飲んでいる。つまりこれは世に言う間接キスというものではないのか。間接キスなどそこらにい辺にいるくそリア充やアニメの世界だけだと思っていたが本当にあるんだな。異世界に来てこんな良いことがあるとはやるなあ異世界。


「あのーお茶ありがとうございました。もの凄くおいしかったです。タクミさん顔が赤いのですが何かあったのですか?」

「え、あーちょっと暑いだけだが大丈夫だよ。何にもないぞ。うん。何にもないぞ」

「そ、そうですか。確かに少し暑い感じもしますね」


 神アテナスに感謝しつつ一人で興奮している俺にエリナはお茶を飲み終わってこちらに水筒を返してきた。興奮して顔が真っ赤な俺の心配してきたエリナに俺は興奮していたことを隠すように慌ててごまかした。


 あぶねえー、お茶を飲んでいる様子に興奮しているのを本人にばれるところだったぜ。


「それにしてもお茶にそんなにハマったのか?」

「はい、口の中に入れたら凄く良い風味が広がってきて少し苦みがあるこのお茶という飲み物は飲んだことが無くてもの凄くおいしいです」

「そうなのか、お茶は俺たちの国では基本の飲み物なんだ。だから大体の家庭には常備してあり、飲食店でも出されることがほとんどなんだ。だから文化的な飲み物で世界に誇れるぐらいなんだ」

「世界に誇れる飲み物なのですか?」

「そうだよ、でも国によってはこの苦みが苦手で砂糖を入れて甘くしたりしてその国に舌に合わせて飲んでいるんだよ。ちなみに砂糖が入っているお茶は俺たちの国では合わないんだけどね」

「これに砂糖を入れてしまうのですか。その国はなんともったいないことをしてしまうのでしょうか」


 国によってお茶に入っていると聞いたエリナはなんでそんなことをするんだろうという顔をして聞いていた。

 俺も実際そうだ。高校一年の時に副担任の先生にそのことを聞いたときはエリナの表情と同じくお茶に砂糖を入れるなんて信じられないと思ってしまった。むしろ日本人ならみんな同じことを思うのだろうな。


「まあ、それぞれの国によって合う合わないがあるからしょうがないことなんだろうな。エリナも他国の料理が口に合わなかったりしてなんでこんな物が美味しいと思っているのだろうと思ったりすることあるだろう。それと同じことだよ」

「確かにそうですね。タクミさんのお話を聞いているとその国の方の気持ちもわからなくもないですね」


 その国の舌に合ったものを食べるということにエリナもどこか思い当たる節があるのか納得して顔をして話を聞いていた。


「まあ、おかげでお茶という飲み物が世界に知って貰えただけでも良いことだと俺は思っているけどね。お茶はこれだけじゃなくてもっとたくさんの種類があるからな」

「え? お茶はもっと多くの種類があるのですか?」


 色々な種類のお茶があると聞いたエリナは驚きと興味があるという表情を向けてきた。


「お茶には色々なのが合ってだな麦茶、緑茶、ほうじ茶などが定番で他にもたくさんの種類が合って俺も知らないお茶がたくさんあるんだ」

「タクミさんが知らないくらいにお茶の種類は豊富なのですね。多くの種類を飲んでみたいですね」

「そんな中でも俺は特に抹茶というのが一番好きなんだ」

「抹茶ですか?」


 エリナは初めて聞いたという顔をして話の続きを聞く。


「そう、この抹茶は普段はほとんど飲まないのだが飲むともの凄く苦いんだ。ちなみに俺の水筒に入っているのは緑茶ね。しかも抹茶はアイスクリームなどのデザートにもよく使われているのだ。抹茶アイスはこの世の食べ物で一番うまいな。あれを超える食べ物はこの世に存在しないな。抹茶アイスだけでもいろんな種類があるんだよ。お茶っ気が強くて甘さ控えめな物もあればアイスの甘さを活かして苦みを控えめにしてある物もある。特に美味しいのはコンビニで売っていた銀の抹茶ソフトは格別だったな。あ、コンビニで思い出したが抹茶のクレープも最高に美味かったなあ。クレープの中に濃い抹茶と薄い抹茶のクリームが層になっていた濃いのと薄いのが合わさって味が合わないのかとも思うのだがそれがまたもの凄くベストマッチしているんだよって、ごめん。語りすぎてしまった。抹茶の話になるとつい熱くなってしまう」

「いえ、抹茶というのはもの凄く苦いのにデザートにも使われているのですね。タクミさんの国の料理は素晴らしいですね。その抹茶のアイスクリームというのもぜひ食べてみたいです」


 抹茶のことや好きなことにはもの凄く熱く語ってしまう。そんな俺の話にエリナは嫌な顔を一切せずにむしろ興味津々な幼い子どものような顔をして聞いていた。


「何かこちらに向かってくるぞ!」




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