異世界転生的なやつ
異世界転生
1
「おい。今日はギルドの酒が全部半額の日だぞ。急げ」
「このリンゴちょっと高くない」
「お姉さん、もの凄くキレイだね。俺とお茶しない?」
周りからたくさんの声が聞こえている。
俺は視界を覆っていた右手を離しゆっくりと視線を前に向ける。
「なんだこれ!」
目の前に映っている世界が今まで生で見たことがないような景色に思わず声を上げた。
辺り一帯がヨーロッパのようなレンガで出来た建物が視界に入ってきた。
さらにはたくさんの人が俺の視界の前を通り過ぎていく。剣を背中にかけている戦士っぽい人、腰に短剣をかけている盗賊のような人、杖を持っており、トンガリ帽子にマントをつけている魔法使いのような人、元気に走り回る子供からゆっくり歩いているご年配の人まで幅広い世代がRPG世界のような格好でいる。中には荷物を積んだ馬車も通っている。
右を向けば野菜や果物を売っている八百屋、左を向けば喫茶店のような飲食店が見える。見渡す周り一帯がまるで別世界だった
。
「本当に異世界に来たのか」
この光景を目にしてまで夢落ちというのは無いだろう。
「しかし本当に異世界というのは本当にあるのだな。ラノベの主人公のような出来事がまるで現実のようだ」
ラノベの主人公は異世界に来たときはこんな気持ちだったのだろうか。そして俺はその主人公枠になっているのか。
「色々考えるのは後にしよう。この場合だと取り合えず最初は冒険者ギルドに行くのがお約束だな」
ほとんどのゲームでも漫画でもラノベでも主人公は最初に冒険者ギルドに行き、職を手に入れたり、重要な情報を手に入れたり、運が良ければ心強い仲間が出来たりするのがお約束だろう。
俺は今までのゲームや漫画の経験から冒険者ギルドに向かうと決め冒険者ギルドに向かうべく歩き始める。
2
「へえー。異世界なだけあって見たこともないお店や物があるなあ。そして人も二本とは大違いだ」
冒険者ギルドに向かい、歩き始めて五分位が経っていた。
どうやらこの世界での俺の格好(上半身は紺色のボアパーカーでその中には黒色のスウェットと黒色の長袖のシャツを重ね着して下は紺色のジャージにスポーツ用のロングタイツにグレーのパンツをはいており、靴下は赤色でスポーツメーカーの青色のランニングシューズといういかにも陸上選手という格好である。それに肩にはリュックサックを背負っている。中身は走り幅跳び用のスパイク、水筒、タオル、その他各々という感じである)はあまりにも目立つようで多くの住民からの視線を受けながらも観光のようなに色々なことを見ていると改めて異世界に来てしまったのだと実感させられる。
「ん?」
ふと足が止まった。
止まった視線の先にはポスターが貼られていた。
内容は『誰が一番早いのか決めようじゃないか! グランデボッカ早食い大会!』と書かれていた。
「要するにこの町で行われる早食い大会か。異世界にも現代っぽいこともあるんだなあ」
ポスターを見ながら早食い大会なら俺でも勝てるのではないかと考え始めた
。
自慢ではないが俺は食べる速さにおいてはもの凄く自信があるのだ。
中学二年生の時にはクラス替えしてそんなに知り合いがいない中いつも早く食べ終えてしまうため暇でトイレに行って時間を潰したり、大学の部活の合宿ではみんなで食事中に俺が一番で食べ終えてしまい一番遅い人は俺が完食をしても一つの皿も空になっていなかったというくらい食べる速さには自信がある。
「ん? ちょっと待て。賞金十万ゴールド? これは十万円でいいのだろうか? もし十万円だとしたらもの凄いぞ。バイトでも十万円なんて稼いだことないぞ。出ようかな?」
ちょうどこの世界のお金は持ってないし早食い大会に出るだけで十万円はでかい。
賞金の使い道はどうしようかなと妄想に浸っていたその時。
「きゃっ!」
その声と同時に俺は横に吹き飛ばされた。
「痛ってー! なんなんだよ」
お尻を地面に壮大にぶつけ、何が起きたのかわからずとりあえず起き上がり、前を見るとフードを被った女性が倒れており、スカートの中から薄ピンクのパンツが見えていた。
どうやらこの女の子は曲がり角になっている建物同士の間から出てきて俺はこの子とぶつかって吹っ飛ばされたようだった。
女の子の方も派手に転倒したようでもの凄く痛がりながらもその場に起き上がった。
「いったあー。あ。すみません。お怪我はされていないですか?」
痛がっていた女の子は俺と視線が合うとすぐさま立ち上がり、俺に手を差し出して謝罪と心配をしてくれた。
なんて良い子なんだ。
これは異世界一発目のラブコメ展開ではないのか?
思わず目の前の女の子に視線がいった。
女の子は薄ピンクのドレスに茶色のフード付きの上着を着ており、フードで髪を隠しており、俺より身長が低く、160cmないくらいで13、4歳くらいの印象だ。
おっと。見とれている場合ではないな。
「いや、大丈だよ。そちらもお怪我はないか?」
俺は慌てて気を取り戻しへ平気な顔をして返事をした。
「はい。私は大丈夫です。前を見ていなくて大変申し訳ございませんでした」
俺の心配も笑顔で返してくれた。
ああー良い。これぞラブコメの展開になるぞ。ここからがお熱くなる展開だ。
しかし落ち着け。恋愛経験があまりない俺でもここは焦るべきではないところだというのはわかる。ここは紳士に対応するのがベストだ。
「全然気にしなくていいよ。そちらも怪我がなくてよかった」
「そちらも怪我がなくて良かったです」
女の子は少し俯いたような感じで答えた。
これはもしかしてこの子も満更でもないのか? いきなりラブコメ突入パターン? 本当に良いのか? 異世界最高だな。
そう思っていると女の子は顔を上げ、
「それでは私は急いでいるので。この辺で。またどこかでお会いしたらよろしくお願いします。失礼致します」と言い残し走り去って行った。
そしてラブコメ展開にはならなかった。
3
女の子が走り去って俺はしばらくその場で魂が抜けたように呆然としていた。
2、30秒ほど消えた魂が宿るようにふと我に返り意識が戻った。
「何だよ。ふざけんよ! ラブコメ展開じゃないのかよ。そんなフラグの折り方あるのかよ」
我に返るとふと女の子への怒りが込み上げてきた。
「何が異世界だよ。いきなりフラグ折られてるからな! あのくそ神嘘つきやがったな。今度会ったらぜってー文句言ってやるからな!」
いつかアテナスに合ったら絶対に文句を言ってやると心に誓いながらも冒険者ギルドに向かい歩くのを再開した。
歩くのを再開してからは特に変わったこともなく見慣れない風景を観光する様にして歩いて10分ぐらいが経った頃だろうか。
この先冒険者ギルドと書いてある看板を見つけてその先に進んでいくと外観は木造できた建物で正面には冒険者ギルドと英語で書いてあり、ようやく目的地である冒険者ギルドに到着した。
道中での出来事が衝撃的過ぎて体感で40分ほどかかった感じがして思わず「ここかあ」と呟いてしまうほど道のりが長く感じた。
ふうーと深呼吸をして冒険者ギルドの扉に手を伸ばし[ガチャッ」と扉を開けた。
扉の先にはアニメなどでよく見る光景が写り、俺の気持ちを一気に冒険へと導いていく感じがした。
内装としては椅子や机が沢山あり、正面の奥にはクエストを受けるためのカウンターがあってその右側には紙がたくさん貼られた掲示板がある。受付の横にはもう一つの受付があり、そこでは食事を提供しているようだ。
中にいる冒険者は椅子に座って食事をしている人や掲示板を見ている人やカウンターで報酬を貰っている人など様々な人々がいる。
この場合はとりあえず受付で冒険者の登録をするべきだろうな。
俺は奥の受付へと歩き始めるがここでも俺の格好が目立つようで沢山の視線が向けられる。
多くの視線を浴びながらも受付に到着した。
「こんにちは。いらっしゃいませ。珍しい格好をしていらっしゃいますね」
20代前半くらいの受付のお姉さんが珍しそうな物を見るようにしながらも笑顔で接客をしてくれた。
「とりあえず冒険者の登録をしたいのですが」
「かしこまりました。ではこちらの紙にお名前をお書きください」
受付のお姉さんが紙を机に置いた。紙の上の方に冒険者登録書、その下に注意事項が書かれており、一番下に大きな名前の記入欄があった。そこで後藤拓海改めゴトウタクミと記入して受付のお姉さんに渡した。
「ゴトウタクミさんですね。それでは登録いたしますね。こちらに左手を載せてください」
そう言いお姉さんは左側にある、石板のようなものを指した。その石板には上の方には四角くかこった欄があり、その下に手の平の跡がある。どうやらそこに手を載せると登録が完了するらしい。
なんかうちのバイトのシフト登録と似ているなあ。
くだらないことを思い出しながらも左手を石板に乗せた。
すると石板から青白い光が放たれ四角い欄にオレンジ色で文字が入力される。その文字にはゴトウタクミと記載された。
「ありがとうございました。これでゴトウさんの冒険者登録が完了しました。それではこちらがゴトウさんの冒険者カードです。こちらにゴトウさんのレベルやステータスが記載されています。技を習得していくとこちらに表示されるようになりますので無くさないようにお気を付けください。また何か困りごとがありましたらいつでも冒険者ギルドへお立ち寄りください」
渡された冒険者カードは運転免許書みたいだった。名前にゴトウタクミと書いてあり、レベル一、技なしと記載されていた。
「ありがとございます。ぜひ冒険者として頑張っていきます。今後とも宜しくお願い致します」
冒険者カード受け取り受付のお姉さんに挨拶をして冒険者ギルドを後にした。
これで俺も冒険者の仲間入りだ。ここからが本当の最高ライフが始まるんだ。
待ってろよ、異世界生活! すぐに最高の生活をしてやるぞ!
こうして俺の新しい物語が始まるのだった。
初めまして。
読んで頂きありがとうございます。
初めて投稿しているのでわからないことばかりですがゆっくりまったりとやっていきますのでよろしくお願い致します。
読んでくれた方はどんなことでもいいので感想を頂けると嬉しいです。




