始まる異世界生活 1
始まる異世界生活
1
タクミは夢を見ていた。それは中学校の時に好きな子に告白が出来なかったことを後悔した夢だった。今更後悔してもと思っていると日差しが目に入ってきた。あまりの眩しさに重い瞼を開けると窓から日差しが差し込み部屋を明るくしていた。
「もう、朝なのか?」
そう疑問を持ちながら自然と出てくる大きなあくびをしながら体を起こしてベッドから出る。
ベッドから出て一階の居間に歩いていく。居間にはマリエットがシェリエルにご飯を食べさせていた。
「あら、おはようございます、タクミさん。よく眠れたかしら?」
「おはようございます。おかげさまでぐっすり眠れました。」
こちらに気づいたマリエットが挨拶をするとタクミは目を擦りながらながらも挨拶をした。
「ん、マリエットさんたちだけ? 他の人たちは?」
「みんな出かけて行ったわよ。主人は町の町会に、クリフトは剣の修行と言って外に出て行ってエリナちゃんも町を見てきますと言って外に出て行ったわよ」
「そうなのか。みんな出かけたのか」
タクミが他の人がいないことに気づき尋ねるとマリエットが外に出ていると教えてくれた。
「おはようございますタクミさん。ただいま朝食の用意をさせて頂きますので席についてお待ちください」
今の奥にある部屋から出てきたメイドはタクミに挨拶をするとタクミの挨拶を聞かずに速やかに奥の部屋へと歩いて行った。
「行っちまった。とりあえず顔洗おう」
タクミは席に着く前に洗面所に行き、顔を洗いうがいをした。顔を洗うのを終えて居間に戻りイスに座って待っていると朝食が運ばれてきた。
「いただきます!」
挨拶をして朝食を食べているとマリエットが話かけてきた。
「タクミさんは今日のご予定は何かお決まりなの?」
「いや、特には。あ、でも昨日のクエストの達成報告をしにギルドに行かなきゃいけないなあ」
マリエットから今日の予定を聞かれて何をするのか決めていなかったタクミは特には予定はないと思っていたが昨日のゴブリン討伐をギルドに報告をしなければいけないことを思い出した。
「そうなのね。それならタクミさんはこの町をもっと知る機会にするのもいいかもしれないわね。色々なことを知っていると困ることは少なくなるしね」
「確かにそうかも。ギルドに行きつつ、ついでに町をぶらぶらして来ようかな」
マリエットが街の散策を進めるとタクミはそれは名案だと思い、今日は街を散策してみようと思う。
そんな感じで朝食を食べ終えるとタクミは自室で寝間着からパーカーとジャージに着替えて家を出て行く。
「まずは冒険者ギルドにでも行って昨日のクエスト報告をするか」
家を出て最初に冒険者ギルドに向かって歩いた。
しばらく歩いていると冒険者ギルドの前に来て扉を開ける。
扉の中には冒険者らしき人がクエストの掲示板を見たり、食事をしたりと前と変わらない光景が写ってきた。
タクミは前と変わらないなと思いつつも真っすぐに受付へと向かって行き、受付のお姉さんにクエストの達成報告をする。
「こんにちは。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「こんにちは。昨日申し込んだゴブリン討伐のクエスト報告をしに来ました」
「かしこまりました。そしたら冒険者カードをお見せください」
「はい、お願いします」
受付のお姉さんに財布にしまった冒険者カードを取り出してお姉さんに渡した。
「ただいま確認致しますね。えーとゴブリンを14匹とキングゴブリンの討伐をされていますね」
「はい、多分あっていると思います」
お姉さんが冒険者カードを見ながらタクミにあっているのか確認がてら聞き返すとタクミは曖昧な返答をした。その理由としてゴブリンを何匹倒したか全く覚えていないからだ。冒険者カードに記録されると言っていたので間違いないだろうとそんな考えだ。
「かしこまりました。それではクエスト達成ですね。おめでとうございます! こちらが報酬の1300ゴールドになります」
「おおーありがとうございます! これで一文無しから脱却できるぜ」
クエスト達成の報酬を受け取り、はしゃいでいるとお姉さんも幼い子どもを見るように微笑んでいた。
「タクミさん。もう一つお渡ししたいものがあるのですが」
「もう1つ?」
「はい、先ほど確認した冒険者カードにはキングゴブリンの討伐をされたと記載されていました。ですのでこちらを追加報酬として受け取ってください」
お姉さんが更に机の下から別の報酬を用意した。その報酬を前にタクミは言葉が出ずに呆然とその報酬を見ていた。
「こちら中級のキングゴブリンを討伐したとして13000ゴールドになります。どうぞお受け取り下さい」
「本当にいいの?」
こんな大金を貰っても良いのか不安になり、お姉さんに尋ねるとお姉さんは優しく微笑みながら返事をしてくれた。
「もちろんです。こちらはタクミさんの頑張られた報酬ですのでどうぞお受け取り下さい」
「じゃ、じゃあいただきます。ありがとうございます!」
タクミは少し恥ずかしくなりながらも報酬を受けとる。
「それに先ほど冒険者カードを確認させて頂いたときにタクミさんのレベルが1から3にレベルアップされていましたよ」
「え、本当ですか?」
「はい、確認したので間違いないですよ」
追加報酬で喜んでいるタクミに受付のお姉さんは追加報告としてレベルが上がっていることを教えてくれてタクミは受け取った冒険者カードを慌てて確認する。
「本当だ。レベル3になっている」
冒険者カードを確認して思わず驚きの声が上がる。
「いやあ、レベルも上がって報酬も頂けて普通に嬉しいな。これからもクエスト頑張ります!」
「はい、期待していますね!」
元気よく言うタクミに受付のお姉さんは笑顔で返事をした。
「では改めてタクミさんクエスト達成おめでとうございます! これでタクミさんも立派な冒険者の仲間入りですね。これからもクエストのご協力を宜しくお願い致します!」
お姉さんは微笑んでいた顔から真剣な顔に変わり、クエストの労いと冒険者としてタクミを迎え入れる言葉を言って頭を下げた。
その受付のやり取りをギルド中の冒険者が見ていた。
「そんな、恥ずかしいので頭なんて下げないでないでください。と、とにかくこちらからもよろしくお願いします! それでは失礼します」
周りからの冒険者からの視線とお姉さんの頭を下げる姿を見て余計に恥ずかしくなったタクミは逃げるような速足で冒険者ギルドを出て行った。
その様子を見ていたお姉さんは新たな新人の新しい物語が始まると思いながら冒険者ギルドを出て行くタクミの後姿を眺めていた。




