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今の大学生活~異世界へ!  作者: 光原石
12/15

人生初クエスト的なやつ 10


「タクミさん! タクミさん!」

「ん……んんー? て、うお!」


 何か聞こえると思い眠りから覚めてゆっくりと視界を開けるとエリナの顔が目の前に現れてタクミは驚いて跳ね起きた。

 タクミの驚いた反応にエリナも少し驚いた。


「な、何してんの?」

「あ、夜食が出来たそうでタクミさんを呼びに部屋に来たのですが反応が無かったので部屋に入ったら寝ていらしたので起こしにまいりました」

「そ、そうか。ありがとう。ていうか夜なのか! てことはかなり寝ていたのか」


 タクミは部屋に明かりがついていることに気が付き、窓に視線を向けると外はすっかり暗くなっていた。


「相当お疲れだったようですね。確かにキングゴブリンとの戦闘は私も少し疲れてしまいました」


 タクミの様子を見てエリナは微笑みながら言った。

 そんなエリナの笑顔に少し見惚れながらもエリナの服装が軽装のいわゆるネグリジュ姿になっていることに気づいた。


「なんかいいな、その恰好。似合っているよ」


 エリナの姿に視線をさ迷わせながらも照れながら褒めるとエリナは顔を真っ赤にしながら動揺した。


「あ、ありがとうございます!」

「あ、ああ。とにかく呼んでいるんだろう。早く行こうか」

「は、はい。行きましょう」


 タクミが照れを隠すように急いでベッドから立ち上がり、速足で部屋を出ていく。その後姿を見届けながらエリナもタクミに続いて歩いていく。

 1階の居間に着くとアルバート一家は揃って待っていたかのように椅子に座っていた。


「おお、タクミやっと来たか。さあ、座ってくれ」


 アルバートに言われたタクミとエリナは先ほど座った席へと座る。

 2人が席に座って少し待っているとメイドによって料理が運ばれてくる。

 先ほどの料理とは違って今回はナポリタンのような色をしたパスタ風麺類にコンソメスープ的なスープにサラダというファミレスに来た感じの料理になっている。


「では頂こうか。いただきます!」

 アルバートの「いただきます!」の号令の後にみんな揃って「いただきます!」と食べ物を口の中に入れていく。

 タクミはパスタを口に入れると見た目通りのナポリタンの味で異世界でもナポリタンを食べることができるということに少し感動していた。しかしタクミはケチャップが大の苦手なのでそこまでナポリタンが好きではない。

 そんなことも思いながらもテーブルに並んでいる食べ物を食べているとアルバートは持っているフォークを置いて口を拭きながら訊ねてきた。


「ところで君たち二2人はどこから来た人たちなのだ?」

「……すみません。今は言えないのですがいずれはお話をさせて頂きます」

「そうか。まあ、誰だって言えないことの1つや2つはあるだろう」


 エリナはアルバートに対して申し訳なさそうに言うとアルバートは顔色変えずに理由を聞こうとしなかった。


「それでタクミはどうなんだ?」

「確かに私もタクミさんのご出身は聞いていないですね。少し気になります」

「俺か? 俺は日本という国から来た」

「二ホン? 聞いたことが無い国だな、どこにある国なんだ?」


 日本という単語を聞いたこの場にいた全員が珍しいものを聞いた顔になる。そこでアルバートは興味津々でタクミに聞き返す。


「まあ、ここら辺の近くの町ではないな」


 嘘は言っていないと思いながらもタクミは言うとアルバートは少し残念そうに呟く。


「そうなのか。一度行ってみたいものだな」

「タクミさんのご出身のお茶という飲み物はもの凄く美味しかったです。ぜひ私も1回二ホンという国に行ってたくさんのお茶を飲んでみたいです」


 アルバートの呟きの後にエリナは興味深げに言った。

 そこでアルバートはふと思い出したかの様に違う話を切り出した

「話は変わるがタクミよ。この後私と共に風呂にでも入らないか?」

「風呂? なんで?」


 アルバートの風呂の誘いにタクミは急だなと思い、そのまま疑問を口にした。


「せっかくの知り合った仲だしこれから一緒に住むのだからいいではないか」

「まあいいだろう。仲を深めるのは裸の付き合いだと言うしな。ではクリフトは入らないのか?」

「私がですか!? 旦那様と入浴なんてとんでもない! 私は旦那様の護衛の身です! 時間をずらして入るのでお二人でお入りください!」


 これからこの家にお世話になる身としてアルバートの説得を無理やり納得して一緒に入浴するのを了承する。そしてタクミは護衛のクリフトを誘った。

 急に誘われたクリフトは驚き慌てて一緒に入浴するのを否定する。

 その様子にアルバートは笑いながら口を開いた。


「そんなことはいいではないか。たまには一緒に入ろうではないかクリフトよ、ハッハハ!」

「……だ、旦那様がおっしゃるのなら私もご一緒させていただきます」


 アルバートの意見には否定できないのか申し訳なさそうにクリフトは入浴を了承する。


「あら、いいわね。エリナさんも私と一緒にどうですか?」

「ぜひ、お願い致します!」


 男子陣の話を楽しそうに聞いていたマリエットはエリナを風呂に誘うとエリナは微笑みながら返事をする。

 男子陣、女子陣それぞれが風呂に入る約束しつつも談笑しながら食事を終える。

 食事を終えてタクミは部屋に戻った。風呂に入るまでベッドに横になってしばらく待っていると部屋のドアがノックされた。

 扉を開けるとクリフトが立っていた。


「お呼びに上がりましたタクミさん。それではお風呂場に向かいましょう」

「はいよ」

 クリフトが風呂場に行くのを促すとタクミは軽く返事をして2人で風呂場へと歩いていく。

 風呂場に着くと脱衣所に入って2人で裸になり、風呂場の扉を開ける。

 扉の先にはもの凄く大きい湯船が視界に飛び込んできた。湯船にお湯を入れてるところは高いところが滝のように流れており、湯船の手前にはもの凄い数の洗い場があった。


「せっかくだし三人で背中を流し合おうではないか」

「いいですね、ぜひやりましょう!」

 アルバートがお互いの背中を流そうという提案をするとクリフトは直ぐにのっかていき、2人は速足で洗い場へと向かってバスチェアに座った。


「おい、タクミも早く来なさい!」

「はあー。はいはい」


 ゆっくりと風呂に入りたいと思っていたタクミにアルバートがタクミに洗い場に来るように言うとタクミはため息を漏らしながらも洗い場に向かった。

 タクミが洗い場に向かって3人がバスチェアに座り、アルバート、タクミ、クリフトの順で並ぶように座った。そして3人で前に座る人の背中をタオルで擦り、また向きを変えてクリフト、タクミ、アルバートという順になりお互いの背中を洗っていた。

 お互いの体を洗い終えると3人はそれぞれ頭を洗って湯船に浸かる。

 タクミは頭は洗ってくれねえのかよと思いがらも頭を自分で洗った。

 湯船に浸かりながらもタクミを2人が挟むように座っていた。


「おおー! これは染みる! 疲れた時の風呂はやはり最高だな」


 タクミは湯船に浸かって思わず声を漏らした。

タクミはあまり風呂に入るのは好きでないタイプであるが異世界に来てから色々な出来事あって心身ともに疲れており、体を休めるのには丁度良く一気に疲れが飛んでいく感じがした。

そんなタクミの様子をアルバートは嬉しそうに笑って口を開いた。


「いやあーまさか命の恩人とこうして一緒にふろに入る時が来るとはなあ。なんと嬉しいことだろうか」

「そんな大げさな。俺はただクエストを全うしただけだよ。それにゴブリンたちが出てくるために少し利用してしまったところはあるしな。それは申し訳ない」

「そんなことは気にする必要はない。なんせ今はこうして生きておるからな」


 アルバートがタクミと一緒に風呂に入ることを喜んで話しているとタクミはクエストのゴブリン討伐のために少しアルバート一家を利用してしまったこと謝るとアルバートは気にすることはないと言う。


「そうですよ。タクミさんは気にすることはないですよ。そうだったとしても結果として私たちはタクミさんに助けられてこうして生きているのです」


 アルバートの意見にタクミは驚きのような顔をして聞いているとそれに続きクリフトも笑顔で否定してくれた。


「しかし……」


 クリフトの意見ように結果論としてアルバートたちは生きている。しかしそれはあくまで結果論である。もしかしたら死んでいる可能性だってあったのだ。この人たちはクエスト達成のために利用したような人になぜそこまで優しくできるのか? タクミは全く理解が出来なくて少し俯いた。


「そんな細かいことはもう気にするな。これからしばらく一緒に過ごしていくのだしな」

「そ、そうか……なら送らせて貰うよ。ありがとよ」


 アルバートに言いくるめられたようにタクミは納得してこの人たちはとてもお人好しの人たちなのだと思った。


「ところでエリナという少女とはタクミは深い知り合いなのか?」

「いや、クエスト前に色々あって知り合ったという仲だ。だからそこまで深い仲という訳ではないぞ」


 話を変えるようにアルバートがエリナの話をするとタクミは深く考えずに答えた。


「やはりそうか。2人の仲は良さそうだなと感じるがどこか初々しいというかぎこちない感じがしてな」

「あ、それ、私も感じておりました。2人の間にどこかぎこちない感じというかなんというか」


 アルバートがエリナとタクミの関係に疑問を抱いていることを打ち明けるとクリフトもそれに乗っかるように言った。


「ま、まあそんなもんだろう。ていうか俺はコミ症なんだよ」


 二人の指摘にタクミは動揺しつつも答える。


「コミ症とは?」

「ん? ああーコミ症とはコミュニケーションが苦手な人のこと。簡単に言うと人と話すのが苦手な人のことだ」

「なるほどなあ。しかしそれだと私やクリフトとは普通に会話ができているではないか」

「普通に話しているが割と心臓はバクバクなんだぞ。特に異性と話すのは余計に緊張するんだよ」


 コミ症という単語を初めて聞いたアルバートはコミ症について聞き返すとタクミはコミ症の意味を説明する。コミ症の意味を聞いて理解したアルバートは自分たちと話せていることに気づきタクミに指摘するとタクミは図星を付かれて焦りながらも言い訳のように答えた。


「そうなのか。まあまだ出会ったばっかりなわけだしこれからだな。何か相談があったらいつでも私に言ってくれ。力になるぞ!」

「それなら私もぜひとも協力させていただきますよ!」


 アルバートはどんなことでもタクミの力になると言うとクリフトも同じく力になると言ってくれてもの凄く嬉しかったがそれを顔には出さずにお礼を言う。


「ありがとう。ならこれから色々よろしく頼む」

「任せたまえ!」

「任せてください!」


 タクミがお願いすると2人は声を揃えて了承してくれた。

 そんなこんなで風呂場での話は弾んだのだった。

 風呂を出ると2人は自分の部屋に戻っていきタクミも自分の部屋に戻った。

 部屋に戻ると直ぐにベッドに倒れこむように寝転がりそのまま眠りへとつきタクミの異世界生活1日目が幕を閉じるのだった。


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