被害者Xの献身〔16〕
蓮がやよいの少し曇った表情の画像を拾っていると、やよいが声を掛けてきた。
「どんな風にホームページの作成するか打ち合わせしましょうか。氷山先生、ちょっと練習外しますね。上を羽織ってきますから鈴木さんは少し待ってて頂けますか。」
「任せるよ。僕は教室に戻る。」
氷山はそう言うと校舎に向かい歩き始めた。
やよいは短距離の露出の大きいセパレートのユニフォームを着ていたので、ジャージの上下を着て戻って来た。そこを女生徒達が突っ込む。
「つまんない、隠しちゃった。」
「本当にもったいない。先輩、ピチピチの太ももとバキバキの腹筋のまま打ち合わせすればいいのに。」
「うん、私も氷山先生が嫉妬している顔が見たい。」
女生徒達は好き勝手にしゃべっている。
「バカなことを言ってないで、練習に戻りなさい。おしゃべりは練習が終わってから好きなだけすればいいわ。」
やよいが後輩達に言うと、後輩の一人が
「やよい先輩、いつになく真面目な顔してる。」
と言う。するとやよいは
「当然でしょ。練習には真剣に取り組まなきゃ。」
と後輩達を見渡して言った。
ジャージ姿のやよいと蓮は木陰に向かって歩き始めた。するとやよいは吐き出すように言った。
「聡美は、握馬聡美さんはあなたを好きだったんだと思う。たまらなく好きだったんだと思います。だって、あんな聡美見たことがない。だから一度でいい、焼香してあげてください。」
蓮がやよいの顔を見ると、やよいは
「私の叔母、藤川弥生かそうだったんてす。好きな人の前では信じられないくらいに綺麗で可愛かった。」
と言い、
「これだけじゃ解りませんよね。きちんと説明します。」
藤川弥生は旧姓東郷弥生だと聞いて蓮の頭の中で全てが繋がった。




