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被害者Xの献身〔12〕

 ドカッと大きな音がした。幾人かの通行人は音がした方向に視線を向け、幾人かはそのまま歩き去る。

 道路に叩きつけられた聡美は衝撃で自分が車に撥ねられたんだと解った。全身が痺れて手足は動かない。頭を転がすように動かして弁当屋『大森』の方向を見た。蓮も聡美を見ていた。

〈私バカだ。何も考えずに道路に飛び出したら車に撥ねられて当然よね。きっとバチが当たったんだ。〉  

 聡美は頭の中でそう思ったか口は動かず声も出なかった。

 聡美を撥ねた車は一旦停まったが、急発信すると走り去った。何処彼処で「轢き逃げだ。」、「女の子が撥ねられた。」と声が聞こえた。聡美を撥ねた車の後ろを走っていた自動二輪が急減速して歩道に停まった。ライダーはヘルメットを外し後続車を確認しながら聡美に駆け寄った。ライダーは聡美に「大丈夫ですか。」と声を掛け携帯電話で119番通報をした。次第に人が集まってきた。車が聡美を回避できるように数人て誘導している者達もいる。ライダーは近寄って来た男性に「119番通報はしました。警察の方をお願いします。」と言った。


 蓮は聡美がが複数の人に救護されているのを確認するとこの場を去る事にした。警察で〈握馬聡美には一切関わらない事。〉と誓約書に書かされた。誓約書には〈生命に危険がある等の緊急事態を除く。〉との例外事項は一切記されていない。つまりここで蓮が聡美の救護活動を行えば警察官の谷中は現行犯逮捕できる訳だ。蓮は聡美を撥ねた運転手より警察官谷中に対して怒りを覚えた。〈あいつは鬼だ。人じゃないんだ。悪鬼だ。あんな警官は源氏の名宝『鬼切安綱』で首を叩き落とするべきだ。通称『髭切の太刀』とか『鬼切丸』と言われているあの伝説の名刀で。〉。

 蓮は聡美を助けに行けない怒りを、鬼を伝説の名刀で斬る妄想に置き換え気を紛らわした。鬼の名は警察官谷中。


 聡美の目に蓮の去ってい行く後ろ姿が映った。〈蓮にはもう会えない。〉そう直感した。

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