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被害者Xの献身〔9〕

 鈴木蓮が警視庁秋葉原署生活安全部に相談に行くと谷中と言う警察官が出てきた。蓮の話を聞いた谷中は蓮を小部屋に案内した。

 谷中は蓮に

「携帯電話を持っていたらここに置いてください。」

と机の上のトレーを蓮に向かい差し出し、次に身体検査をして他の録音機器や通信機器を持っていないかの確認をした。

 この行為で蓮は谷中が聡美の話の方を信じて、自分をストーカーだと確信している、もしくは仕立て上げるのだと確信した。聡美は歌手兼女優業のマルチアイドルなのだから悲しくもないのに涙を流したり、蓮に写真を撮ってもらって嬉しいのに逆に怯えた表情をするのは容易(たやす)い。もし自分がストーカー扱いをされているのなら聡美との縁はここまでなんだと考えた。少しだけ後悔したのは聡美から〈やよいのファンなの。〉と尋ねられて時に〈そうなんだ。やよいちゃん可愛いから。〉と正直に言えばよかったかなぐらいだった。


 聡美と永沢は携帯の通信履歴を削除していた。だがマネージャーの服部は聡美からの送信を残していた。蓮はこの事を知っている。これだけ分かれば蓮には十分だ。サーバーにアクセスして聡美が永沢や服部とどのようにやり取りをしていたかを知った。

 聡美が服部に〈いつか絶対に蓮には謝るから、被害届も取り消すから。〉そう送信していた事が蓮にとっては救いだった。[くノ一]のコンサートは所詮浮世の夢だと通い始めた連だったが、握馬聡美なる魔女に誘われいつしか夢と言う異世界に踏み込んでしまっていた。

 蓮は〈ここが潮時か。現実に戻る時なんだな。〉と少しおかしかった。


「何がおかしいんですか。」

 谷中が険しい顔つきで蓮に話し掛けてきた。蓮はわざと真顔にならずに

「別に。」

と答えた。

 異世界から現実に戻る呪文は〈[別に]かよ。〉と蓮は益々おかしくなった。

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