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被害者Xの献身〔8〕

 蓮は握馬聡美のライブ会場に入ろうとすると、入口で受付の女性に呼び止められた。

「鈴木蓮さんですか。申し訳ございませんが入場をお断りするように指示されています。」

 意外な言葉を浴びせられた。蓮は理由を尋ねたかったが、事を荒立てたくはなかったので何も言わずにその場を立ち去った。その様子をプロデューサーの永沢とマネージャーの服部が見ていた。ため息を吐き申し訳なさそうな顔をしている服部に向かって永沢は

「これでいいんだよ。あいつは目立ちすぎる。あいつ一人のために変な噂が立ったら、今後の計画に支障がでるからな。聡美にはその他大勢の握手するだけのファンで充分だ。」

 服部は

「はい。」

としか答えようがなかった。

 永沢が桜を用意した事もあってコンサートは[くノ一]並の盛り上がりを見せた。

 聡美はステージの上から観客席を見た。いつも最前列で動き回り自分を撮影する蓮はいない。蓮がいるとみんなに笑顔を振りまき声を掛けても最後は必ず蓮のカメラに向かって笑顔を向けていた。聡美はみんなに振りまく笑顔を文章の読点、蓮のカメラに向ける笑顔を句点に(なぞらえ)て目線を配っていたので今回は節目が作れなかった。

 心の中では納得できなかった聡美とは違い永沢は満足していた。〈それでいい。それでいいんだよ。そして夜は悪魔聡美になってくれ。〉


 その夜、聡美は蓮の〈ちょこっとエロい、よく見ると可愛い〉にアクセスしようとしたが削除されていた。


 蓮には他人に言っていない才能があった。ハッキングの能力である。〈能ある鷹は爪を隠す〉ではないが蓮はこれを利益のために使った事もなければ、何かを起こしてやろうと利用した事もない。使うのは真実を知りたい時だけだった。

 蓮は聡美の携帯番号を軸に履歴と交友関係を調べ真実を知った。

 蓮は警察のサイバー犯罪対策を担当する部署に行く事にした。しかし証拠はない。ハッキングした事実を警察には言えない。ただ警察がきちんと調べてさえくれれば真実は判るはずだ。はずだ、そのように話を持って行こうと考えた。

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