同級生?
「先生ひとつだけ聞いていぃい。」
由利は少し語尾を引っ張って修一郎に尋ねた。
「弥生さんの紙袋の中身って何だったの。」
「中身出す前に夢から覚めた。判らない。」
「じゃぁあ、先生の記憶で弥生さんが紙袋に入れて持って来たのは何。」
由利は紙袋の中身が気になって仕方ない。
「知り合ってから一番最初はハンバーガー。〈チーズバーガー二個。〉って言ったらポテトとコーヒーも入ってた。次がフライドチキン。ファミリーセットでやたらと量があった。」
由利はクスクス笑いながら、
「きっとそれね。」
と言う。由利は誰もいない会社で二人、フライドチキンを食べながら楽しそうに仕事をしている修一郎と弥生の姿を思い浮かべた。
「先生は本当に弥生さんのこと細かく覚えているのね。私、見ていないのに先生と弥生さんが二人で楽しそうにしている光景が浮かんでくるの。」
修一郎の情景や光景の描写は生々しい。由利は修一郎と弥生がつい先程ハンバーガーかフライドチキンを食べたように錯覚してしまった。
由利は修一郎が内広舞のレジでの接客をどの程度まで覚えているが確かめたかったが、あまりに会話の奥深さが違い過ぎて止める事にした。
その日の夜、由利は仕事から帰って来た宗久に
「大ちゃん、今度大ちゃんの実家に行ったら竹岡ラーメン食べに行こう。」
と言った。宗久はすかさず、
「突然どうした。それでどっちのラーメン店だ。」
と聞き返す。宗久がどっちと尋ねたのは最古参さんの店と竹岡式で一番有名な店だ。
由利は
「両方いぃい。」
と言う。宗久は由利が語尾を〈…いぃい。〉と甘えた口調で伸ばしたのにドキッとして目を見つめ返す。すると由利は
「大ちゃんがラーメンだけで足りなかったら途中でフライドチキンテイクアウトしようね。」
と笑顔で言う。宗久は由利が弥生との楽しかった出来事を思い出しているんだなとすぐに解った。
弥生は魔法を使ったのだろうか。由利の頭の中には不思議な光景が広がっていた。由利と弥生は同級生で由利の彼氏は宗久、修一郎は弥生の彼氏だ。四人で楽しく内房にドライブに出かけ竹岡ラーメンを食べている光景が広がり、そのラーメン屋は修一郎と弥生が二人で行ったラーメン屋だった。
由利が宗久や子供たちと行きたいのはそのラーメン屋なのだがに今は閉店していた。




