竹岡式ラーメン
「先生が喋ると夢って言うよりは実際にあった出来事みたいに聞こえる。」
由利は〈うんうん〉と頷くような表情で話を続けた。
「夢は記憶の整理とか言う人もいるけど、先生の記憶の中に内房で何か強く残ってる思い出があるの。」
「ラーメンだな。」
「内房のラーメンって有名なの。」
「そう、竹岡式。」
「どんなラーメン。」
「シンプルな醤油味のラーメン。」
由利の問い掛けに修一郎は簡潔に答え、由利は更に突っ込む。
「夢より先にそっちの話が聞きたい。」
由利の頼み事に修一郎が
「話すと長くなるぞ。」
と答えると由利は
「いいよ、弥生さん絡みの話しなんでしょ。聞きたい。時系列で話して。」
と言う。
修一郎は喋り始めた。
「まず竹岡式ラーメンとの出会いだな。仕事で君津に住むことになった時、最初の日に昼ご飯何にしようかと迷ってふとラーメンが食べたくなった。そしたら定食屋だか居酒屋だかよくわからない店に[ラーメン]って幟が立っててね。それで入ってみたんだ。お客は僕一人だった。そこで〈ラーメンください。〉って言って出て来たのがシンプルな醤油ラーメン。東京風のラーメンよりちょっと色が濃くて余り期待してなかったんだけど。食べたら意外と旨い。何故か嬉しかった。僕はラーメンが美味しいと不思議と嬉しくなるし、不味いと言うか口に合わないとすごく悲しくなる。」
修一郎は一旦話を止めて、ペットボトルのジャスミンティーを飲んだ。




