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被害者Xの献身〔6〕

 東郷やよいが脱退してから[くノ一]は数回コンサートを行ったものの来客数は次第に少なくなり解散した。事務所が運営するくノ一のSNSも閲覧回数が減り閉鎖された。


 やよいが脱退してからのくノ一SNSには聡美が気になることが一つあった。残ったファンの書き込みに内広舞の話題が増えた事だ。

〈聡美目立ち過ぎ。〉

〈舞の方が地味だけどいいよね。〉

〈くノ一解散の噂あるけど、舞ちゃんソロかな。〉

〈やよいちゃん、異世界人(ふうつのひと)になっちゃったもんね。〉


 解散後、舞を含めメンバーの半数は事務所を辞め普通の女の子に戻った。舞も地元の宮崎に戻りスーパーFUNKYfoodに就職した。FUNKYfoodには無名の地下アイドル[くノ一]を知る従業員はいなく、舞は幾分か気持ちが楽だったが寂しくもあった。元メンバー同士の交流も次第に減り、聡美と舞も連絡を取り合う事はなくなった。やよいに関しては全くの別世界に行ったような状況だ。


 聡美は事務所の〈忍〉(しのび)に残り細々とソロ活動を続けていた。蓮は必ずライブにやって来る。来客が殆んどいないので蓮は自由に動き回り好きなアングルで聡美を撮った。聡美は蓮に向かって頻繁にポーズを取り目線を送る。少し離れた場所から見ると蓮の方が目立ったりもする。

 聡美個人には事務所がレッスンをスケジュールに入れる事もなくなった。聡美自身も時間にも余裕ができ、蓮が聡美のコスプレを撮影する機会が増えた。

 蓮が作る聡美のデジタル写真集は極端な修正を行わないが綺麗に修正をかけている。蓮がSNSに聡美を載せる回数は増え、聡美が自費で販売するデジタル写真集の種類も増えた。


 ある日、聡美にマネージャーの服部から急ぎの連絡が来た。中堅クラスのエンターテイメント会社[アップル・ロード]の社長兼プロデューサーである永沢から声が掛かったと言うのだ。聡美は何の気兼ねもなく枕した。

 瞬く間に聡美の配信によるデビューが決まった。聡美がその事を蓮に伝えると蓮は嬉しそうに、

「おめでとう。」

と言った。

 聡美は蓮の素っ気ない返事が少し寂しかった。とは言え蓮らしいといえば蓮らしい。聡美は蓮に拗ねながらも甘えた声で言った。

「なにぃ、そのリアクション。もっと喜んでよ。」

「だから〈おめでとう〉って。」

 蓮は聡美の目を見つめて言う。

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