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白雪姫の継母は優しい

 翌日は宗久の仕事が休みだ。由利はいつも通りフレックスなので二人は恋愛中のようにお喋りをして夜更かしをした。割と遅い時間にも関わらず由利の携帯から着信音がした。 メールの送り主は同級生の寄木望絵(よりき もえ)だった。由利はサッと目を通した。

「望絵が〈妹から〔くノ一〕のセンター選挙のことを聞いたから。〉って知らせてくれた。小さな ライブハウスでアピール・タイムは一人三分以内。やよいちゃんは白雪姫のアレンジ。〈鏡よ鏡、世界で一番素敵な女性は誰。すると鏡は答えました。あなたの叔母の弥生さんです。叔母は年を取っても凄く魅力があるんです。わたしも弥生叔母さんのようにいつまでも魅力的な姿でいてずっとみんなと会いたいな。ちなみに叔母さんは漢字で〔弥生〕って書くの。それで鏡と言えば白雪姫よね。お母さんは眠り薬入りの林檎で小人の反応を見たのかもね。姫をずっと想ってくれるのか乗り換えるのかって。私はみんながずっと想ってくれると信じてます。〉って言ってたんだって。」

「そっか。で、内広さんは何をしたの。」

「パントマイム。結構好評だったって。」

「じゃあ、内広さんが先生の手を手を握りしめたのも先生の目を無言で見つめるのもパントマイムなのか。」

「パントマイムの握手ビジネスだから先生も迷ったんじゃないかな。それと気になるのが交通事故で亡くなったメンバーの話。彼女は枕をやってたみたい。でも枕の数より投票数の方が少ないから、枕してもやよいちゃんに投票してたんだろうって。」

「その子は白雪姫と七人の小人じゃなくて地下アイドルと七人の下僕(しもべ)だったのか。」

 二人して望絵からのメールを話題にして会話を続けていたが、由利はふと話題を変えた。

「ねぇ、大ちゃんどうしちゃったの。いつもと違って文学的な表現をする。陳腐な比喩だけど。」

「陳腐は余計だぞ。宗久様は覚醒したんだ。モーターショーの女の子が由利と同一人物だったから頭の中の構造が変わった。色々なことが繋がるってのはいいな。頭の中がすっきりして世の中がよく見えてくる。この際、枕の子が事故だったのか事件だったのか推理する。」

「人が亡くなってるんだからふざけちゃだめよ。」

「そうだったな。亡くなってるんだな。」

「枕のメンバー()握馬聡美(あくま さとみ)って名前でSNSには悪魔聡美って書かれてたんだって。グループが解散しても事務所に残って活動してたらしい。それである日突然道路に飛び出して車に跳ねられて亡くなったの。交通事故で処理されてそのまま。」

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