火花バチバチ
食事を終えた修一郎と宗久は宗久の高級セダンの車内に入った。
「それじゃ宗久君、由利ちゃんと電話繋いで。」
修一郎が言うと宗久は由利に電話をした。二人はしばらく話していた。そして宗久が「先生、オッケーです。」と声をかけた。修一郎は「それじゃ、やるぞ。」と返事をする。
〈火花バチバチ〉
修一郎、弥生、由利の三人はモーターショーに出掛けた。弥生はパンツルックでシャツの上にジャケット、由利はジーンズにTシャツその上にジャケットを羽織った。
「由利ちゃん、背が高いんだからヒールにすれば映えるのに。」
弥生が言うと由利は
「迷ったんですけど、歩きやすいのにしました。」
と足を持ち上げて履いてきた靴を見せクルクル回した。
三人は色々と車を見ていたが、ドイツ製スポーツカーのブースの前で修一郎は立ち止まり念入りに車を眺め始めた。車は回転展示台の上に乗せてあった。展示台が回転するときは台の上ににコンパニオンが立ち、車と一緒に観客の前を通過する。
コンパニオンの腰の位置はちょうど観客の顔の高さだった。修一郎は身を乗り出してフロント部分を眺めている。コンパニオンのコスチュームは腰の周りが露出していて腰が顔の前を通過した。距離にしてほんの数センチ。この瞬間に弥生が反応した。
「あなた、私に無断でこの車買わないでよ。」
そう言いながらコンパニオンを笑って睨み付けている。弥生に気が付いたコンパニオンは大きくポーズを崩すわけにはいかないので 視線だけを弥生に向けてニヤリとした。弥生とコンパニオンの視線はバチバチ状態だ。
弥生は由利の後ろに回ると
「由利ちゃんも綺麗なくびれしてるよね。」
といきなり由利のTシャツをブラの下までめくり上げ、ヘアクリップでTシャツの横を止めた。由利は結構ローライズのジーンズだった。身長175cm由利は露出している腹部の面積も広い。
観客の視線は由利の腹部に集まる。カメラ小僧やビデオ親父も由利を撮り始めた。弥生は由利の左手を腰に当てさせ、右手の親指をジーンズのベルトに掛けてポーズを取らせた。近づいてきたカメラ小僧やビデオ親父が由利に「目線ください。」と言う。由利はコンパニオンに視線を向け、ちょっとだけ優越感に浸った。
弥生は由利に
「少し髪をいじろうか。」
と言い、由利の髪を撫でながら横で身体を回転させる。弥生の髪がふわりと浮いて綺麗に広がり靡くのが妙に色っぽい。
観客の誰もがイベントの一部だと思っている。弥生と由利はしばらく観客の視線を浴びていた。
「宗久君、こんな感じでいいかい。」
と修一郎は言う。すると宗久は何かに取り憑かれたかのように
「先生、その時の由利のTシャツは無地の白ですか。」
と尋ねる。
「そうだよ。」
宗久は電話に向かい叫んだ。
「由利、俺そこにいた。めっちゃ運命感じる。」




