モーターショー・リプレイ
修一郎と由利は顔を見合わせた。
「さつきちゃんはやっぱり弥生さんの幽霊なのかな。」
由利がそう言うと修一郎は
「もう、どうでもいいや。」
と少しニヤニヤした顔で投げやりな言い方をした。そんな修一郎に由利は突っ込んだ。
「今、誰のことを考えてます。」
少し間を置いて修一郎は
「内広舞。」
と答える。
「先生、本当は弥生さんのことを考えてたんでしょ。考えてるって言うより十七歳の弥生さんを想像してたのかな。」
修一郎は何も言わずに海を見た。
「弥生は海でも水着より陸上のユニフォームの方が似合うな。」
「弥生さんが化けて出てきますよ。」
修一郎の呟きに由利が絡む。
「そうだな。〈私が寸胴でスタイル良くないって言いたいんだろ。バカァ。〉て言うな。」
修一郎は笑っていた。由利にはじゃれあいながら会話を交わす二人の光景が浮かんだ。
数日後、修一郎は宗久と定食屋にいた。
「先生、ご無沙汰していました。先生得意の脳内朗読で今日はモーターショーの由利をお願いします。」
「構わないよ。」
宗久が言うと修一郎はそう答えた。
「それで由利が言うんですけど、〈できれば先生との会話を録音して欲しい。事実と違うところは違うって言うからね。〉なんです。」
「だったら食事の後、車のから生中継をしようか。個人情報もあるからね。」
「それで大丈夫なんですか、すげぇ。」
「それは君と由利ちゃんの方だろ。ただし朗読中は横槍を入れないこと。それが条件だ。」
「解りました。由利に伝えます。」
宗久は楽しそうだ。




