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彼女が泣いた

 修一郎は昨日もいつもと同じように食品専門のスーパー [F 2]でお昼の弁当を買った。F 2とはスーパーマーケットの〈FUNKY food〉の通称で常連はそう呼んでいる。


 F 2のレジは空いていた。修一郎が一番近いレジへ行こうとした瞬間に耳元で生暖かい空気が揺れ可愛らしい声がした。

「お客様、私のレジへどうぞ。」

 声の主は内広舞だった。今日で3回目だ。最近の舞は修一郎がレジに並んで最後尾にいるとレジを一つ開け精算を行う。舞が開けたレジはセミセルフタイプではなく旧タイプだった。

 精算が終わり、釣り銭を渡す時に舞は両手で修一郎の手を握りしめた。修一郎は悪い気はしない。同時に戸惑いがあった。ここはスーパーマーケットで水商売のお店とは違う。


 修一郎は舞の顔を見て、

「オジサンをからかってないよね。」

と言った。

 舞は一瞬にして顔を曇らせると目を潤ませ今にも泣き出しそうだ。悲しそうに修一郎の目を見つめている。修一郎は余計なことを言ってしまったなと後悔したがもう遅い。お客が舞のレジに来たので修一郎はサッカー台へ向かった。


 修一郎の横に隣のレジで精算を済ませた 高齢の女性がやって来た。

「色男さん、いいわね。あの娘あなたのこと好きなんじゃないの。」

「そんなことはないでしょう。」

 女性の言葉が本当だったら自分の人生はどれだけ幸せだろう。修一郎の顔は自然とにやけてしまう。

「あらあら、あの娘泣いてるんじゃないの。」

 女性が言った。

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