#005 異世界にイラッシャイ!
序章スタートです!
同時更新タイトルは週末までに週1・2回の更新を目標に。
このタイトルは不定期ですが平日・週末の更新を目標としていきます。
目先の目標はプロローグに登場した人物像を粗方書けるまで生きます!(限界が近い)
自分が気付いた時は地面にうつ伏せになっていた。…顔が痛い。地面は岩のようだ。立ち上がると変にフワフワして、自分が酔っぱらっているのかと錯覚してしまう。
「ここは…どこだ? 随分と岩ばかりの殺風景な場所だな。もう夜になったのか…」
自分が辺りを見回しても周囲は岩ばかり、草木のひとつも生えていやしない。本当にどこなんだここは? どう考えても自分の家があった場所ではない。それに、ハルやチカ、ケンヂの姿も見当たらない。
自分は兎に角、移動することにした。夜だと思ったのは空が真っ黒だったからだ。しかし、星などは見えてない、この広大さは地下とは考えにくい。…まるで月面にいるかのようだ。
「そうだよ? だってここ月だもん♪ まあ、君の元居た世界とはまるで別物だけど、ね」
その声に咄嗟に自分は身構える。
「へえ~やっぱり武術の嗜みもあるのかぁ。 実に面白いオモ…じゃなかった、人間だねえ」
声の主は子供、いや少女だろうか? 透き通った金髪を揺らす恐ろしほどに美しい容姿を持った人物だった。一瞬で理解する。…途轍もなく強い。散歩でもしてるかのような仕草に一瞬の隙も見いだせない。しかも帯剣している…余計な動きをすれば、一瞬で切り伏せられるだろう。
「おっと、警戒しないでよ。僕も君を探してたんだからさあ? お~い、コッチにいたよ~!」
彼女?が空に向かって叫ぶと、一瞬で暗闇の彼方から別の人物が飛んで来た。余りの現実離れした事に自分は混乱するも、飛んで来たのは二人の女性だった。ひとりは自分と同じくらいの大きさの両手斧を軽々と片手で担いでいる筋骨隆々の赤銅色の肌を持った女だった。背も自分よりも頭ふたつくらい大きい…自分が2メートル近くだから、恐らく3メートル近い背丈だろう。もうひとりは対照的にまるで自ら手に持っている一本の槍のように細く鋭い印象を受ける美女だった。緑色の髪と鱗のような革鎧に身を包んでいる。
「ほお…まあ、ジジイが暴走して連れて来ちまったモンはしょうがねえがよお。なかなか、俺様好みの良い男じゃあねえかよ。…そそるねえ」
「まったく戦闘狂が。止めるがよい、この者はもはや被害者であろうよ。…ふうむ。そなたの身体はなかなかに鍛えられているようだな? よほど良い師に恵まれたと見える。…我が望みには肉が太過ぎるが、面構えだけは満更でもない」
「ちょっとちょっとぉ? 二人ともさあ、彼は僕が一番先に目を付けてたんだよ。今更、横から取らないで欲しいんだけどお~」
何故か3人がギラギラした眼で自分ににじり寄ってきたいるんだが。拙い…どうやっても逃げ切れる自信が無い。
「コラぁあああぁぁ~!? お前ら儂を出し抜きおってえ!!まったく油断も隙も無い奴らじゃわい!」
「チッ! もう見つかったの!? 斧の、どうせ君がまたヘマしたんだろう!」
「剣チビ、うるせえぞ!! お前こそ俺様達を出し抜こうとした癖して!」
「お、長様…どうか落ち着いて下さい!」
そこへ地面の岩を砕きながら5メートル以上はある老人が突如噴出すると、三人を鷲掴みにして空高く遠くへと放り投げてしまった。
「フンっヌあらあァァ!!」
「「「ギャアアアアァァァ………!」」
「このクソジジィィィィ………!!」
暗闇の空からあの三人の叫び声が木霊している。
「フウ、コレで片付いたわい。これで落ち着いて話ができるのう!異界の武術、工匠術、さらに武器の心理を知る真の戦士よ!!」
「は、はあ。いや、自分には何が何だか分からないんだが。ここは一体どこなんだ?」
自分を見下ろす巨体の老人が嬉しそうに顎のヒゲを摩りながら答えた。
「おお、そうだったの。先ずはお主をこの異世界グレイグスカに招いたのはこの儂じゃ!」
グ、グレイグスカだと…? それに異世界?
「改めて。ようこそ、異世界グレイグスカへ! 戦士よ!!」