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#003 ケンヂのゲーム

ゲームタイトルのモデルは勿論、武士道刃(誤変換)です。


「戻ったぞ」

「お帰り~」


 外から戻って来た自分はテレビの前にしゃがみ込んで配線を弄り始めた。


「コンボイ、テレビでも見るのかい?」

「いや、ケンヂの奴がな」


 そこへドアを尻で押し開けながら、段ボール箱を抱えたケンヂがニヤニヤしながら戻ってきた。車から荷物を取ってきたようだ。


「いやあ~お待た!」

「「何それ?」」


 ケンヂが「へへっ」と笑い声を漏らしながら床に置いた箱から何かを取り出してハルとチカに見せる。


「じゃあ~ん!今日の為によぉ、実家にわざわざ取りに行ってきたんだぜ!」

「「ああっ!?」」


 それは旧型の家庭用ゲーム機だ。問題はそれと一緒にあるソフトだった。それは自分達が集まって子供時代を共に過ごしたと言っても過言ではないタイトルだった。


「懐かしぃ~! ケンヂん家でやったゲームじゃない!?」

「しかも無印のヤツじゃあないのか」

「ああそうだぜ、俺のセーブデータの入ったメモリーカードもちゃあんとあるから安心しろよ」


 それはいわゆる格闘ゲームだった。面白いのは各キャラクターが好きに武器を選んで使う事ができる点だ。しかも体力はゲージ制ではなく、攻撃が致命的なクリーンヒット、または両手足いずれかを酷く損傷すると負けというやけにリアルな一騎打ちスタイルのゲームだった。自分達はそれぞれ好きなキャラクターと好きな武器があって相当やり込んでいる。当時はそのゲームをケンヂしか持っていなかったので、自分達はもっぱらそれをケンヂのゲームと呼んでいた。


 自分達はハイ缶とツマミを並べて早速テレビの前に群がり、ゲーム機の電源を点けた。…フフフ。自分がこの歳になってゲームひとつにこんなにもワクワクするとはなあ。面白いものだ。


「じゃあ、最初ウチ~! コンボイとケンヂは強いから相手はウチの旦那ね」

「狡いぞサチ! 仕方ねえ、ハル接待すんなよなあ~?」

「サチ…いきなり銃を使うのは…」

「いいよコンボイ。サチは確か遠距離武器しか使わなかったから。じゃあ僕はこのキャラで、武器はレイピア…ん~、サーベルかな?」

 


 こうして懐かしいゲームを時を忘れて楽しんだ。



「やっぱりさあ、最強は遠距離よ!でもそれが狡いってアンタ達が煩いから次点で()ね、()!」

「はあ? 相変わらず狡い女だなあ~サチは! いいか? 最強は破壊力絶大の()系なの! ガードされても真っ二つ!これこそロマンだろ!」

「そう言ってアンタ、ウチの銃や弓で殺されてるじゃない」

「バッカお前!そりゃあお前が距離ばっか取る卑怯な戦い方ばっかするからだろ! なあ、ハルもそう思うよなあ?」


 確かにケンヂが好きな武器の特性は隙が大きいが破壊力は凄まじい…だが、遠距離とは相性が悪過ぎる。


「僕はやっぱり使い慣れた()系の武器かなぁ。ケンヂの言う事もわかるけど、重い武器はやっぱり身動きが遅れるしね? 銃や弓矢は距離が適切なら一方的に攻撃できるのは凄いけど…矢や弾丸が尽きちゃうとね。もうされるがままだしさ」

「「ぐぬぬぬ…」」


 ハルの意見に反論できないケンヂとハル。まあ、近代的な意見からすれば最強は間違いなく銃系だろうな。まあ、自分は少し卑怯な気がしてそこまで好きじゃあないが、次いで弓系か。近接の危険性に比べたらやはり遠距離は脅威だろう。だが、一対一ならばどうだろう?懐の浅い剣よりもやはり長物の槍系だろうか?


「コンボイはどう思う?」

「おおそうだ!ここは武術経験者に意見を聞こうじゃあねえか!」

「コンボイはウチと一緒でしょ!だって使ってるキャラと武器も殆ど一緒じゃない?」


 自分は普段そこまで酒を飲まないから少し酔っていたんだと思う。


「数や種類も結構多いし、剣かな?」

「おい!漢なら斧だろ、斧!」

「バカな男どもに付き合う必要はないわよ? 最強は中距離にあり!槍よ!」


 自分は口を開いた。


棍棒(・・)だ!!」


 ―偉いっ!!!!―


「え? 今誰か喋った?」

「僕も聞こえた気がするんだけど…」

「コンボイじゃあ、ないよな?」


 はて? 自分には何も聞こえなかったのだが?


「そもそも自分は前から不満があったんだ。何故このゲームには棍棒が無いんだ、とな! そもそも自分に得物の扱いを教えてくれた祖父から近接武器の理想形は槍、または槍と剣などの片手武器の中間のいずれかと聞かされた。そして、自分が選び、得意とするのは棍棒だ!バットでもないしゲームのように無駄にトゲなどがついたものでもない。原始の人間の頃から使う最も人類の手にある武器は棍棒だ! 自分は棍棒こそが至高の武器だと思う!!」


 自分が対上がり、そう勢いで叫んでしまった時だった、急に部屋の中に閃光が奔り、自分達は光に包み込まれてしまった。


「きゃああ!」

「うわあ!?」

「なんだ!? まさか鍋のコンロが爆発したのかよ!?」


 ハル達の悲鳴が聞こえる中、光の中から声が聞こえたのだ。


 ―偉ぁああああいっ!!なんと見どころのある男じゃあ!!この近代化を辿る世界においても真理を見失うことなく精進する戦士がおったとはなあ~!! 儂、もう大感激!? 我慢していたが限界じゃあ!? この男を今すぐにでも連れて帰るっ!! 安心せい!そのお主の崇高な意を是とする場に、この儂が連れてっちゃる!!―

 ―止せ!? このクソジジイ!!―

 ―そうです!此度は視察のみを目的としたはず!こんな暴挙を働いてはなりませぬっ―

 ―…もう遅いよ? あ~あ、こりゃあ地球神に相当怒られちゃうね。 でも、この子…ボクもちょっと興味があるから、まあいいや♪―


「何だっ!?」


 自分は一瞬の浮遊感を感じたが、すぐに意識を失ってしまった…。



 ~・~・~・~



 コンテナハウスの中はメチャクチャになっており、そこには呆然とする3人の姿があった。


 そこにもう、コンボイと呼ばれる男の姿は何処にも無かった…。



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