#000 とある異世界と神々
本日はプロローグ、つまりまだ異世界ではなく、現実世界の話のみの更新となります。
同作者作品の「精霊の宿」もよろしくお願いします!
「書きたくてしょうがなかったんや!(道民)
とある異世界にある男、元は地球と呼ばれる別の世界から精霊として降り立った。その異世界の名前はグレイグスカという。闇の女神ガイアを創造神として、12柱の女神が神座より地上を見守り、精霊が世界を支えていた。
…ただし、この世界は最初から女神達の管理下に置かれていた訳ではなかった。全ての母であるガイアがまだ若く、全ての女神、連なる神々が未だ生まれていなかった頃。後に人々から大精霊と呼ばれる存在が現れる遥か数万年前の話である。その頃、神座には女神の姿は無く、精霊もまた存在していなかった時代だ。
だが、世界には既に文明が植え付けられ、様々な種族が創造、または異世界の神々から譲渡されてこの世界の地盤を形作れるかどうかの試作段階であった。
故に、ガイアより委託されてそれらを見守り、管理する神々もまたいたのだが…。
「バぁ~カ!! 斧が最強の武器に決まってんだろ!?」
「はあ? これだから脳筋は困るんだよね。剣こそが最も美しく洗練されているに決まっているだろう?」
「愚かな…どんな世界、どんな戦で最も多く使われているのは、まごうこと無き槍だ!」
筋肉隆々の女蛮族のような巨躯の神が、巨大な両刃斧を肩に担ぎながら叫ぶ。
中性的な小柄な神が自慢の剣を磨きながら、どこか小馬鹿のようにして問う。
絶世の長身美女の神が槍の石突を地面に穿ちながら怒りを露わにする。
「やれやれ困ったものだなあ。いいかい、剣こそが至高なのさ。強く、美しい…!槍は皆して突っつくだけ。愚鈍な斧などは薪割だけしとけばいいのさ。それにさあ? 斧なんて刃がついた棍棒じゃあないあか!槍は長い棍棒だね。アハハ!」
「何おうっ!! そんな短くて細いモンこそ握り方からして棍棒じゃあねーか! 俺様の斧とぶつかればポキッ だ!! 槍は確かにヒョロ長くなった棍棒だよなあ? 棒術っていうくらいだしよお~」
「たわけがっ!! 我が槍は最強の長物なのだぞ!? それを棍棒扱いするなど、許せぬ! 後発のお主らと違って槍の万能性…槍は最も完成された武器なのだ!」
どうやらお互いの扱う武器について論議を交わしているようだ。しかし、周りに目が向かなくなるほどの公論の為か、背後に近づく存在に気付かないでいた…。
「……お前らなあ。最も偉大で、最も古き原初の武器たる儂の棍棒をのぉ…それ以上、ディスるンじゃあねえええええエェェ!!!!」