まだ
君を待っていると、ふいに思う。
全て夢だったんじゃないかって。
考えてみればそう、だって僕が君と恋人になれる訳なんてない。まして、君とこれからデートだなんて。
僕はすっかり弱気になる。
でも、次の瞬間、君からメールが届く。
「5分遅れます、ごめんね!」
そこで、夢じゃなかったことにほっと胸を撫で下ろす。
「OK」
その二文字だけを返信する。
待つさ。
待ち時間に永遠なんてないし。
どんなことにも終わりはくる。どんなに辛いこともいつまでも続かない。そう思う。
今が辛いなら、今が終わったらどんなステキなことが待っているか考えよう。それが難しい時もあるんだけど。
なんて言ったら、じゃあ君との関係も終わりはくる、そうなってしまう訳だけど、それとこれとは別で。君との関係は終わっても何度もやり直せる気がするから。・・・・・・なんて調子がいいか。
「お待たせ!」
そこで、君が登場。
「ごめん、5分以上遅刻しちゃった。結構待ったよね」
辛い時はすっかり弱気になってしまう。
でも、ほんの少しでも、この後にどんなにステキなことが待っているか想像できたら、きっと、
「まだ、大丈夫」
僕はそう答える。なにそれ、君はきょとんと目を見開いた。
君のその顔がおかしくて、今が幸せで、僕は
笑った。




