試練前
すいません
遅れました。
「ここ...は」
気付くと俺は、一面真っ白い光景が広がるところに1人で立っていた。
チルノに言われてイメージした頭の中の光景とほとんど同じだと思った。
そうだ...チルノは...
「おーい、チルノ!いるのかー!」
少し俺の声が反響するだけで、もちろん返事は無いし、
辺りにも姿が見当たらない。
「私の主はうぬか?」
という、可愛らしい声が聞こえた。
「誰だ!どこにいる!」
「ここじゃ」
もう一度発言された声の方を振り向くと宙に浮いた女の子がいた。
「君...は?」
「あぁ、わしか。わしはな、主に眠る絶零共にあるもの。ユイ」
容姿は黒髪ショートで小柄の女の子だ。
声は可愛らしいが口調が少し古くさい。
「絶零と共にあるもの?なんなんだ?それは」
「あの、チルノとやらに聞いとらんのか」
「あぁ、聞いてない。それはお前、見ていたのか?」
「そうとも、なんせ主の中にいたのだからな」
全く理解が出来ない。
俺がこの白い空間にいる理由。ユイという少女のこと。
それと絶零の発現のこと。
「ごめん、情報がまとまらないや」
「すまんな、本題に入ろう」
「...本題?」
「そうじゃ、主がここにいる理由。私のこと。絶零のこと。」
「頼むよ。出来れば分かりやすく言ってくれ」
俺がそういうと、少し考えた顔をしたがすぐに表情を戻し
説明を始めた。
「よし。では話そう。まずは、私のことだ。
私は、いや...今の私は絶零の守護者と言えばいいかな」
「何故俺の中で、絶零を守ってるいるんだ」
「絶零はその因子を体内に持っていて、活性化したとしてもその適者が扱えるまでの能力を持ってないと身体が中から崩壊するからな。ここで試練を与えそれを達成したものだけに絶零が扱えるようにした」
「それは、お前が決めたのか?」
「違う。私たち絶零の守護をしてるもの達は
不思議なパスで繋がっておる。だから、私以外のものが決めて私たちにも伝わったと言う訳じゃ」
「じゃ、絶零の適者にはユイのような人が1人ずついてたまに意思の疎通をしているのか」
「そうじゃ。話の飲み込みが早くて助かる」
絶零のことでさえ全然知られてないのに
まだこんなに奥深い秘密があったなんて。
「じゃ主よ、試練を開始するが、構わぬか?」
「いいけど、具体的にはどんなことをするんだ?」
「それは始まれば自ずと分かる。ただ1つ言うとするなら
己の弱みを出すな...ということじゃな」
己の弱みか...いっぱいあって後悔してるなぁ...
「あぁ、わかった。自分に負けないようにするよ」
「それで良い。主よ、貴方は負けない」
ユイがすごく優しい笑顔で言ってくれた。
やっぱ可愛いと思いつつも、しっかり試練を達成しなきゃなと気を入れ直す。
「ありがとう。ユイ」
「うむ。では、行くぞ」
「あぁ!」
スピーカーユイを中心として白い綺麗な光が広がって
俺を飲み込んでいく。
そして気付いた俺の周りには
俺が通っている国立レンジャー育成学校の風景が
広がっていた。
「はぁ...マジか...」
何か嫌な予感が的中しそうで思わずため息を付いた。
これから頑張って
書くスピードを上げていきたいなぁと思っています。