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紅茶に砂糖をひとつ  作者: 由起
9/18

旅行~ウェールズから東京へ

日本が舞台のときは「」が日本語、『』が英語、

イギリスが舞台のときは「」が英語、『』が日本語

と分けています。

「いや!いや!アーサー!やめて!」


必死で抵抗するもアーサーの唇で口をふさがれる。女の力では抵抗しても無意味だった。アーサーはみのりの中へ優しくも力強く入り込み、本懐を遂げた。


「みのり…好きだ」


アーサーは幾度かみのりを抱いた。

みのりはもはや抵抗出来なかった。


頭の中に浮かぶのは大好きな夫亮一の顔。

涙が止まらなかった。


私は…油断し過ぎた。亮一…ごめんなさい。


「みのり…」


アーサーはみのりを抱いた時、避妊具を使用しなかった。みのりを"今"手に入れるというのが彼の目的ではなく、更に長期的にみのりを手に入れる為にあえて使わなかったのだ。


計画的犯行だった。


幾度かの行為が終わるとアーサーは力なく横たわるみのりを抱き締めた。


「好きだ、みのり。ずっとここにいて欲しい」


みのりは答える力が無かった。

みのりの涙にキスし、抱き締めるアーサー。


脱け殻のように涙を流すみのりを自分のベッドへ運び、アーサーは抱き締め続けた。


みのりは夜中にアーサーの部屋からそうっと抜け出し、屋敷を出ようとした。


執事のロバートがそれに気付き、みのりに声をかけた。みのりの様子を見て、主人が何をしたのか察した彼は詫び、みのりを街一番のホテルへ連れて行った。


「日本へすぐに帰られますか?」

「…はい」

「ではチケットを手配致します」

「いえ、それは…」

「私に手配させてください、お願いいたします」


ロバートの悲しそうな顔を見て、みのりは黙った。


みのりのチケットは変更が効かない安い航空券だが、みのりはすぐに帰れるチケットをあらためて購入するつもりだった。一刻も早く逃げたかった。


「手配した航空券はフロントへ預けますので、お部屋へお入りください」


ロバートはみのりを部屋へ案内するようにホテルへ依頼すると、航空券の手配を始めた。


翌朝みのりは航空券を受け取った。

ファーストクラス…

あの行為の慰謝料のような気がして涙が込み上げた。


突き返すか破り棄てようかと思ったが、ロバートの悲しそうな顔を思い出し、踏みとどまった。


冷静な判断などみのりには出来なかった。


1日早く帰国したみのりを見て夫の亮一は驚いた。

「どうしたの?明日の帰国じゃなかったっけ?」

「うん、それがね、手配1日ミスってて…」

「どんくせーなぁ、お前にしちゃ珍しい。なにしてんだよ」

「えへへ」


みのりは亮一の顔を見ると涙が込み上げた。

亮一にレイプされたと言ったらどうするだろうか。

離婚されてしまうだろうか。それはなくても心が離れないだろうか。


泣きたい気持ちを押さえつけ、みのりはトイレへ行った。泣くと泣き顔になるので、必死で堪えた。


何事もなかったかのようにお土産を出し、ミュージカルが楽しかった、1人で行かせてくれてありがとうとお礼を言った。


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