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紅茶に砂糖をひとつ  作者: 由起
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旅行~ウェールズ①

日本が舞台のときは「」が日本語、『』が英語、

イギリスが舞台のときは「」が英語、『』が日本語

と分けています。

9時少し過ぎにドアがノックされた。

「はい」と出るとアーサーだった。


「早起きだね。疲れたろうからゆっくり寝れば良かったのに」

「でも初めてのお家なので…」

「真面目な日本人だね」


アーサーは笑った。


「よく眠れた?」

「はい、素敵なお部屋をありがとうございました」

「それは良かった。ところで荷物の用意は出来てる?」

「はい」

「じゃあドリンズ・コートまで案内しよう」


アーサーはみのりの荷物を受け取ると男性に預けた。


「みのり、彼は執事のロバートだ。何かあったらロバートに言ってくれ」

「はじめまして、ロバートさん」

「ようこそウェールズへ、みのり様」


落ち着いたまさにザ・執事という初老のロバートを見て、みのりは執事がいるなんてさすが貴族だと嘆息を禁じ得なかった。


「『あの…』これ、お世話になるので、皆さん召し上がってください」(英語これで合ってるかしら)


ドリンズ・コート用に少し残し、執事のロバートに三越で買った高級そうな御菓子を手渡した。


「これは…我々にもお気遣いいただき、ありがとうございます」

丁寧に優しくロバートはお礼を言い、御菓子を受け取った。


「みのり、気を遣わなくても良かったのに…」

「でもお世話になりますから」

「真面目な日本人だなぁ、みのりは(笑」


ドリンズ・コートまでは歩いて3分程だった。


重厚な本館とは異なり、可愛い家がちょこんと建っている。日本では立派な家の部類に入るが、この広大な敷地の本館のすぐそばだと可愛らしい小さな家…という表現がぴったりだった。


『うわぁ!可愛い家!』

「あ…『いけない』可愛い素敵な家ですね!こんな素敵な家を私が使ってもいいのですか?」


アーサーはみのりの日本語がわからなかったが、喜んで”いい言葉”を言ったことは理解した。


「好きな部屋を使うといいよ。キッチンも使っていいし、冷蔵庫の中の飲み物等も好きに使って。僕は本館で色々仕事があるから今日と火曜しか日中は付き合えないけど、晩御飯は本館で毎日一緒に食べよう」

「ありがとう、アーサー!」


満面の笑顔でみのりはアーサーに感謝の言葉を伝えた。


「あ、これ…」

「ん?」

「泊めていただくお礼です。ちょっとしたものですが…」

「開けていい?」

「はい」

「ボールペンか!これは書き味良さそうだ。ありがとう、みのり。大切にするよ」


アーサーは嬉しそうに受け取った。

後ろでキャリーケースを引いたロバートは主人が連れてきた日本人観光客は真面目な育ちの人だと見た。


日曜日は観光地がクローズになるため、全て外からしか見られないが、アーサーの説明付きなので大変楽しく過ごした。


夜はものすごく大きな食堂でフルコースだった。

みのりは普通のサラリーマンの子供だが、父の”場数を踏まねばいけない”という信念のもと、子供の頃から年に1回ホテルのフルコースを食べていた。普段は煮物等の地味な食事だったが。その為臆することなく、食事を楽しむことが出来た。


この日本人の女性はきちんとしつけられた家庭の子だなと執事をはじめとして召し使い達は値踏みした。

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