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紅茶に砂糖をひとつ  作者: 由起
3/18

旅行~ロンドン③

日本が舞台のときは「」が日本語、『』が英語、

イギリスが舞台のときは「」が英語、『』が日本語

と分けています。

翌日みのりは大英博物館へ出掛けた。


とにかく大英博物館は見るものが多い。上野の国立博物館も広くて疲れるが、大英博物館も見るものが沢山過ぎて、あっという間に時間が過ぎてしまう。


お昼ご飯を食べそびれ、みのりは博物館のカフェで普段入れないお砂糖をたっぷりと入れてミルクティーを飲んだ。


(やっぱり液体だけだとお腹空くわね…)


みのりは博物館の廊下の、人通りがない端の方で、日本から持ってきたカロリーメイトを一口サイズに折って何度かに分けて口に入れた。


(せっかくイギリス来ているのにカロリーメイトだなんて)


みのりは大英博物館を楽しみ、少し早めに劇場へと向かった。あまり早く着きすぎたので、みのりは近くのショップを見て少し時間を潰した。


それでも約束の10分に着いてしまったが、アーサーは5分前に劇場前にやってきた。


「早いね」

「あなたも」

「はは…。さて、今日は何を食べたい?」

「この辺りのレストランを知らないので…」

「食べたいものを言ってくれたら、僕が店を選ぶよ」

「『えっと…』伝統的なイングランドの料理が食べたいです」

「えっ…それは難しいなぁ…笑」


アーサーは一瞬考えた。


「魚は好き?」

「はい!」

「日本人だね。じゃあフィッシュパイを食べに行こうか」

「はい!」


アーサーは42歳だった。一度結婚したがすぐに離婚し、それ以来独身らしい。みのりは夫が大好きなこと、普段は一緒にいるけれど、一緒にお休みが取れなくて1人でロンドンへ来たことを話した。


みのりの歳を聞いてアーサーは驚いていた。東洋人はすごく若く見えるらしく、20代後半と思っていたようだ。


「ずっとロンドンにいるの?」

「あ、最初の1週間はロンドンにいようと思いますが、次の1週間はウェールズかスコットランドへ行こうかと考えています」

「なるほど…ウェールズなら…僕の家があるから…余ってる部屋もあるし、そこを起点に使う?ウェールズの家は1人暮らしじゃないから心配しなくていいよ」


ありがたいけどまだ昨日会ったばかりなのでそこは即答出来ない。

黙って困った顔をしたみのりにアーサーは笑って続けた。


「そりゃいい反応だよ。1人旅ならそれくらいでいいね、安心だよ」


にこやかに優しくアーサーは微笑んだ。


会話は2人の仕事のことになった。

アーサーは不動産投資や不動産業をしているらしい。最近の経済動向の話や歴史のことなどを話した。みのりは商学部卒で仕事も男並みにしているので、日本語ならもっと沢山話が出来て弾んだだろうと思う。


一生懸命ヒアリングをし、つたない短文の英語でみのりは一生懸命話した。


概してイギリス人は相手が英語が話せて当たり前のように接することが多い。アメリカ等では移民や英語が不十分な人も多いから、英語が苦手な相手にはゆっくり話したり、英語のレベルを落としてくれたりする。


アーサーは英語が苦手なみのりに優しくわかりやすい表現にしてくれ、みのりの顔に疑問符が付いたときには優しく簡単な単語で言い直したりしてくれた。


優しい先生に生の英会話教室をしてもらっているみたいとみのりは思った。


話しながらフィッシュパイを食べ終えたら丁度いい時間になった。


みのりとアーサーはまた明日も晩御飯を一緒にとることを約束した。約束場所はみのりの観劇スケジュールに合わせてくれた。


みのりは伝統的なイングランド料理をゆっくり話しながら食べられたことに大満足して劇場の中に入った。

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