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番外編、ミミとのデート?

今日はミミとのデートの予定だ。

この奴隷と主人の境界線がしっかりしている世界で従者とデートなんてする奴がいるだろうか。

そんな物好きは俺くらいなものか。


大抵は玩具として遊んで適当に売る奴が多い。

ミミなんかは可愛いからずっと側に置いとくだろうけど。


「そろそろ時間か。」

待ち合わせの時間まで後30分くらいだ。

ミミは先に買いたいものがあるからと先に言っている。


「ちょっとナイト。もしかしてその格好のまま行くつもり?」

「?そのつもりだが?」


俺が来ているのは黒の外套に黒いシャツ、黒いズボンの両脇には魔剣を下げるホルスターがある、いつも俺が来ている服だ。


「デートなんだからもう少し服装を考えなさい!」

「これが俺の普段着で戦闘服だ。」

「それが問題なんだって!なんでデートに戦闘服を着てくのよ。」

「それが普段着だから。」


さっきから何を言ってるんだろうか。

普段着で行くもんじゃないのか?


メアとのデートの時は変装のため着替えさせられたが今はそんな必要は無い。


「ちょと来て!」


俺はシェリーの部屋に引きずられてしまった。


「デートなんだから普段とは違う服を着るのが常識よ。ほら、これなんか似合うんじゃない?」

「動きにくいのは嫌なんだ。」

「文句言わない!クエストに行くんじゃないんだから少しはお洒落してきなさい!」


なんか一般家庭の母親みたいだな。


「メアとのやつだって変装させられたのに。」

「.....女王陛下とデートしたんだったね。私とはまだ1回もしてないのに。」


あれ?おかしいな。

なにかいけないものを踏んだ気がする。


結局俺が着替えさせられた服装が、

白いシャツにクリーム色のズボンに黒いジャケットというさっきとあまり変わらない服装だった。

なんでシェリーがこんな男物の服持ってんだよ。


「さぁ、仲良く夫婦でデートしてらっしゃい!」

「あぁ、行ってくる。」

シェリーに見送られて俺は待ち合わせ場所に向かった。


待ち合わせ場所は王都の中心にある噴水前。

そこはちょっとした公園みたいになっていて家族連れで遊びに行ったりもするらしい。


待ち合わせまで10分。

丁度いい時間か。

今まで待ち合わせしてデートなどしたことはなかった。


前にルージュとしたことはあるがそれは俺の家から直接行ったしこの世界に来てからはそういうデートというのはしたことはなかった。

(メアとのやつはメアの息抜きのための護衛だったからノーカン)

と俺は思っているがメアはどうだかわからないな。


ポケットから懐中時計をだして時間を確認。

丁度時間になった。


「お待たせしました。ナイト様。」

後ろから声を掛けられ振り返るとそこには、真っ白なワンピースを着たミミがいた。


普段は魔法適性とか魔法の威力を上げるローブ来ている。

ローブも長いワンピースと言えばそうなんだが、今着ているワンピ―スはミミの元から持つ白さと相まって雪の精のようだった。


「よく似あってるじゃん。」

「あ、ありがとうございます。ナイト様もにあってますよ。」

なんか恥ずかしい。


「てっきり、いつもの服装で来ると思ったので探しましたよ。」

「いや、デートするなら着替えた方がいいとおもってな。」

俺はシェリーに言えと言われたことをそのまま伝えた。


元々、デートの心得なんて皆無なんだ。

誰かに教えてもらわないとgdgdになること請け合いだ。


「取り敢えず、行くところは決めてあるから、それでいいか?行きたい場所があればそっちにするが。」

「いえ、ナイト様にお任せします。」


ということで、俺とミミは水都アルベスタに向かった。

ここには先日見つけたいい場所がある。


「わー!大きな滝ですね!」

「この前見つけてな。水はきれいだし静かでいい場所だ。」

まぁ、観光用ではないから普通にモンスターに襲われるけど、そこは対処済み。

ここら一体には結界が張ってある。

俺の奴だから弱いけど普通のモンスターならギリ耐えられる。


そこで、しばらく休むことにした。

「ホントに静かですね。」

「そうだな。」


聞こえてくるのは鳥の鳴き声か滝の音、木々が揺れて聞こえる音くらいだ。

「仲間が増えて騒がしくなったからな、偶にはこういうのもいいだろ?」

「そうですね。でも、私はああいう賑やかなのも好きですよ?」

「独りよりは格段にいいか。」


やろうと思えば24時間常にだれかと喋ることかできる環境。

前とは大違い。

独りただ目的もなく仕事をこなしている環境よりは楽しい。


「誰かと笑って、誰かと泣いて。そうやって誰かとなにかしたほうが楽しくないですか?」

まったくもっておっしゃる通りで。


会話するにしろ、喧嘩するにしろ、独りじゃできない。

なにかを超越した人物なら出来るだろうが俺はそのなにかを超越していなかったため一人会話や喧嘩が出来なかった。


「さて、そろそろ次行ってもいいか?」

「はい。いいですよ。」


自然の静かさを味わった俺とミミは次の目的地、未知の樹海に向かった。

「ナイト様。ここは?」

「この前カトレアと見つけた手つかずの樹海だ。」


しかし、目的地は樹海ではない。この()だ。


「洞窟ですか?」

「ただの洞窟じゃない。まぁ、これは見てもらったほうが早い。」


洞窟を抜けるとそこには広い空洞があった。


「...地底湖。」

ミミがボソッと呟く。


ここも俺がクエストのついでに見つけた隠れスポット。

天井から差し込むのは、地上で反射され青くなった太陽の光。

その反射で水はキラキラと光り、まるで違う世界にでも迷い込んだみたいだった。


「ここは人の手がとどいてなくて、独自の生態系を築いている。襲うことを知らないやつばっかだ。」

「こんな場所があったなんて...驚きです。」


ここの入り口は俺がギリ通れるくらい。

だから、他のモンスター達は奥に何があるかわからないため入ってはこない。

外の危険をしらない文字通り『箱庭』だ。


「空気が綺麗で落ち着きますね。でも、どうしてここを知っていたんですか?」

「この世界の資料と偶然だな。」

「?」


「資料によると今から120年前に大地震が起きてこの辺一帯地盤がかなりまがったらしい。そん時に出来たのがこの地底湖ってわけだ。長年にかけて地層によってろ過された雨水がたまって湖ができた。それで、あの洞窟を通ってきた生物たちがここに住み着いたって具合だろう。」

「俺がここを見つけたのはホントに偶然。洞窟で一休みしてたら中から風が吹いてきて奥に進んだらここにつながってた。」

「そうですか。いい場所ですね。」

「俺お気に入りの場所だ。」


俺達が出てきたのがこの地底湖を見渡せるすこし高台になっている場所。

「少し。降りてみるか。」

「はい!」


俺は滑らないようにミミに手を添えてすこし坂になっている場所を降りた。

下に着くと好奇心旺盛なモンスター達が寄ってきた。


「少しお邪魔しますね。」

こうして小型モンスターに囲まれているミミはいつもとは違う可愛さがある。

よき良き。


湖は水深720mと深く水温も10℃とつめたい。

「あ!あの子絶滅したとされる子ですよ。」

「あぁ、ケルマか。ここにもいたのか。」


ケルマは毛むくじゃらのアルマジロみたいなモンスターで温厚な気性、肉食モンスターに食べられ絶滅したとされている。

しかし、この地底湖なら肉食獣はいない。

だからケルマはここで繁殖した。


「見たことない子達がたくさんいますね。みんな可愛いです。」

「ミミも変わらないだろ。」

あ。ぽろっとでた言葉でミミが紅くなった。


しばらく小動物とあそんでそれから次々に俺がよういした場所に行った。


「今日はありがとうございました。とても楽しかったです。」

「楽しんでくれてなによりだよ。」

「デートというより新婚旅行...みたいでしたね。」


そういって顔を紅くするミミ。

こっちまで伝染するからやめてくれ。


今日一日、ミミはずっと笑顔だった。

これだけで神と戦うなど簡単に思えてしまう。

魔法の力だ。


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