表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/119

番外編、ジルとの訓練

「なぁ、チーター。俺はどのくらい強くなった?強くなった実感が湧かないんだ。」

「んじゃ、今日はダンジョンにでも潜るか。」

「難易度は考えろよ。」


ジルがジト目で見てくる。


「そんな目で見るな。あれは、俺だって予想外だったんだ。」


それは、ジルとダンジョン攻略のクエストを受けた時のこと。

いつも通りジル主体の攻略をしているとモンスター達がいきなり逃げ出した。


逃げてきた先を見るとダンジョンの主が低層まで上がってきていた。


ミノタウロスのボスは俺達の気配を感じ取りここまで上がってきた。

俺はそれを好機ととりジルと交戦した。

その結果、倒せた。


そのミノタウロスは特殊個体で魔法を使う他、召喚術で武器を召喚して向かってきたため流石に焦った。

出てきた武器のほとんどが幻想級で特殊効果を持っていた。


ということがあった為ジルも警戒しているらしい。


「けど、まぁ今のジルのステータスだったらあのミノタウロスも余裕とは言わないが倒せる。」

「ホントか!」

「あくまで可能性の話だ。慢心は己の身を滅ぼすぞ。」

「分かってるよ。んで、なんのダンジョンに行くんだ?」


「そうだな...洞窟蟻のダンジョンでも行くか。」

「ミカも連れてってもいいか?」

「お前が守りきれるのであればな。」


今のジルなら守りきれると思うがね。


ということで俺は『洞窟蟻の洞窟探索』というクエストを受けてジルとミカと洞窟に来ている。


洞窟と言ってはいるがぶっちゃけアリの巣だ。

洞窟と言うより落とし穴みたいな感じだ。


それが人ひとりを丸呑みするんだから怖いねー。


中は暗いのでミカの白魔法、『ライト』の魔法で進む。

一応言っておくがこのダンジョンで俺が手を貸すのはホントの非常事態のみだ。

しかも、俺基準なので相当厳しい。


甘やかすと成長しないからね。


「結構暗いんだな。」

「あぁ、ジル達からすれば暗いのか。」

「ナイトにぃは暗くないの?」


ミカは俺のことをにぃと読んでいる。

ほーら、ジルが凄い睨んできた。


「そうだな。俺は[反響]スキルがあるから暗くはないな。」

その代わり色は分からないけど。


「やっぱお前チーターだ。ずるだ。不平等だ。」

「なんとでも言え。俺が望んで手に入れた強さだ。」


大切な人を守る為の強さだ。


しばらく進むと少し開けた場所に出た。

「うわ。広くなってる。ミカ。おれから離れるなよ。」

「うん。ジル君にぴったりくっついてるね。」


ミカはジルの腕を抱きしめる。

うんうん。良きかな良きかな。

仲良しなのはいいことだ。


「なんでここだけ開けてるんだ?」

「上見てみろよ。」


ジルとミカが上を向く。


「うわ!」

「きゃぁぁぁぁ!」


2人が叫んだ理由。

と、その前に洞窟蟻の生態について話そう。


洞窟蟻はその名の通り洞窟に棲むモンスターだ。

その体は鋼鉄よりも固く駆け出し冒険者が命を落とす要因でもある。


そして、洞窟蟻は他のモンスターに子供を襲われない為に天井に卵を産み天井で育てる。


2人が見たのは、天井中に広がる卵。

まだ産卵期ではないため1つも産まれてはいない。

これがあと、数ヶ月すると鋼鉄の硬さをもって産まれてくる。


地獄絵図だな。


「気持ち悪!なんだこれ!」

「怖いよー。」

「ただの卵だ。」


そんなに驚くことかね。

俺が担当した事のあるオークの根城にはたくさんの女性の死体があったがね。

全て性の捌け口と使われた女性ばかりだった。


だから、全て燃やした。


「あ、一つの言い忘れてた。」

「「?」」

「さっきお前らが叫んだせいで蟻達が集まって来てるぞ。」


「え!ミカ戦闘準備!」

「う、うん。」

「驚いたり慌てたり、忙しいな。」

「そう思うなら手伝えよ!」


それじゃあ、訓練にならないじゃまいか。


ここでジルのステータスを紹介しよう。


ジル

性別:男

レベル:89

スキル[剣術]、[回避]、[即死]、[縮地]、[体術]、[毒耐性]、[即死無効]、[守護]、[根性]、[底力]、[封印]

能力《守護者(ガーディアン)》《腐食(アンデッド)(封印中)》


俺ほどではないがスキルも増えたしパラメータも上昇している。

この年で89も行けば英雄とかになれるんじゃないか?


カトレアが13歳でレベル98だから相当成長は早い。

ジルも神界の影響を受けているのかもしれない。

そうなると実質的なレベルは-10くらいか?


さて、当のジルはと言うと絶賛戦闘中だった。

[守護]スキルのおかげ?で全てのモンスターがジルの元へ向かう。


[守護]──自分にターゲットが集中。


ミカを連れていくようになってからついたスキル。

全ターゲットを自分に向ける割と危ないスキル。


ホントなら盾役(タンク)とか盾騎士(クルセイダー)などがつけるスキルなのだがジルの体格では盾になりきれない。


だから攻撃で攻撃を相殺している。

俺はなにもしなければターゲットが向くことはない。

今も3匹ほど俺のすぐ横を素通りして行った。


合計で20匹くらいを倒し終えたジルは少し疲れた様子だった。


「自分がどれくらい強くなったか分かったか?」

「大分掴めた。今までだったらこの数相手にするには難しかったからな。」


ジルは蟻の攻撃を1度も受けていない。

[縮地]スキルを大いに使い攻撃を掻い潜っていた。


[縮地]スキルは相手に死角をつくらせその隙に攻撃するといった初見用のスキルなのだが知能が低いモンスターには何度使っても有効だ。

それに気づいたのは流石と言えよう。


「けど、疲れるな。20匹くらい相手にしたぞ。」

「2人が叫ぶからだ。しかも、まだボスが残ってるぞ。」

「さっきの奴らは全員働き蟻だ。女王アリがいない。」

「まだいるのかよ!俺はまだ大丈夫だけど...。」

「ミカがもうダメだな。今日は帰る。」


いい判断だ。

仲間に気を使えるのはいい。


ミカは戦闘中常にジルにバフをかけていた。

そのためジルより魔力を消費してるし疲れている。

肉体的に鍛えていないミカだから体力も年齢に比例している。


今にも倒れそうなミカに少しだけ魔力を分けてジルに運ばせた。


俺が運ぶと怒るから。

ただ身長は少ししか変わらないのでおんぶする形となった。

いつか横抱き出来るといいな。


帰ってミカを寝かせてジルと俺は訓練を再開させた。


洞窟探索してはい、おしまいじゃ成長しない。

洞窟探索は成長の確認の為に行ったんだ。


ジルもそのつもりだったらしく文句言わず中庭に出た。


いつものように木刀での訓練。


ジルが[縮地]による奇襲。しかし、殺気が出ている攻撃など読める。

俺は木刀を盾にして飛び下がる。

着地と同じに距離を詰めジルを押す。

少し後に仰け反ったのを見て木刀ではらう。

ジルはバク転で受け身をとりまた睨み合う。


ほとんどこれの繰り返し。

時々ジルが魔法を使ったりしてるが牽制で放っているので弱い。


元々ジルに魔法適性はない。

精々身体強化がいいところなんだが、ミカのを見様見真似でやって初級の魔法なら使えるようになっていた。


ホント若いっていいね。

飲み込みが早い成長だって段違いに早い。


こうしてジルとの訓練は続いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ