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81話 アンドロイドと土下座

会談が終わり、王城。


「あー。もうだめだ。あの立場めっちゃ疲れる。」


中立の立場はもう懲り懲りだ。


「お疲れ様ですナイト。」


俺は今メアの部屋のソファーでだらんとしている。


「あの時暴れていれば少しは楽なんだが。」

「あの場で暴れたら二国の協力は得られませんでしたよ。」

「わかってるって。」


あの時...ルージュと俺が組んで戦争を仕掛けようとしたと言われた時は危なかった。


殺気をだすだけで済んだがミミ達がいなくて俺一人だったら

暴れていたことだろう。


「けど、まぁ、二国の協力は得られたから後は連携が取れれば問題ないな。」

「しかし、それが一番難しいですね。」

「そうだな。王国と帝国が休戦してどれくらいだ。」

「えっと。ナイトが来る二年前くらいですね。」


戦争をしていた期間が4年。それが終わってからが2年。


あまりに短すぎる。

戦争が終わってから2年というのは共同戦線するには少し厳しい。


下手をすればその場で王国VS帝国の戦争が起こりかねない。


そんなことになれば神討伐どころではない。


「あー気が重い。」

「ナイトなら大丈夫ですよ。帝国だけならまだしも王国兵はナイトの強さを知っていますから無駄な争いは避けると思いますよ。」

「だと、いいんだが。」


まぁ、戦争が起こったら指揮官を殺せばいい。

士気というのは争いにおいて重要な要因だ。


士気がないと勝てる戦争にも勝てない。


俺とメアが話していると扉がノックされた。


「どうぞ。」

「失礼します。」


入ってきたのは翡翠色の髪が特徴の女性だった。


「お話中失礼します。私の名は、まだないです。...ヒスイとでもお呼びください。」


なんか不思議な人だ。


身長は俺より少し小さいくらい。

目は釣り上がりキツイ印象がある。


「今回お伺いしたのはそこの、けだものに用があったからです。」


.......ん?今なにか暴言を言われたような気がする。

まさかね。初対面の相手にいきなり暴言なんていわないよな。


「俺?」

「そうです、けだもの。」


残念なお知らせ。

気のせいではなかった。


「なんで、俺がけだものなんだよ。」

「あなたは、2人も奥さんをもっています。しかも、他にも婚約者がいます。このやりOんが。」

「俺なにか悪い事した?」


さっきからボロクソにいわれてるんですけど。


「いえ、世の中の男性の言葉を代弁したまでです。お気になさらず。」


の割には明らかに私怨はいってたけど...。


「で、ナイトに用とは何ですか?」

「はい。話が脱線してしまいました申し訳ありません。」


「話というのは私達もけだものが計画していることに参戦させていただいたいのです。」

「貴女達はどういう組織なのですか?それがわからないことには参戦は認められません。」


「私達は人間を殺すために目覚めたアンドロイドです。」


ヒスイの言葉に俺とメアは構えた。


「ご安心を。私達がそうなるのは主からの命令があった時のみです。そして、私達の主はもうすでに死んでいます。」

「それで、信じろと?」

「なら、私を襲ってみてはいかがでしょう。けだものなら余裕でしょう。ちなみに、アンドロイドですが性感帯はしっかりあります。」


変態。アンドロイド、性感帯...うっ頭が。


「わかったお前を信じよう。だから、スカートをめくるな。」


こいつあの変態(シロ)にそっくりだ。


...待てよ。


「おい。お前今『私達』って言ったか?」

「はい。言いました。」


「お前らはなん人だ。」


「女型機体が20機ですが?」

「男は?」

「いません。」


なん...だと...。


男がいない?

いくらでさえ男が少ないこの環境にまた女が増えるだと!


「いや、やっぱ...。」


そこまで言って俺の言葉は止められた。


それは、ヒスイがスカートに手をかけているから。

いくら王城とはいえ叫ばれたらメイド達が駆けつけるだろう。


そしたら、女王と見た目普通の女の子が泣いている。という状況。

あとは、ヒスイが適当にでっち上げる。


これで浮気現場の完成だ。


「いや、なんでもない。」


この状況で「やっぱり抜けてくれ」と言えるのは鋼の精神を持つ者しか出来ない。

残念ながら俺にはそこまでの精神は持ち合わせてない。


「入るのは構わないとしてなにか目的でもあるのか?」


ヒスイ達の主は死んでいる。

補修を必要としない彼女達は人間の助けを必要としない。


今まで通りひそかに暮らしていれば少なくとも自分たちだけでも助かっただろう。


「目的はありません。」

「目的がないのですか?」

「はい。これといった目的はありません。」


尚更わからない。

目標がないのに人間を助けようとしていることが。


「私達はアンドロイドです。よってなにかの目的、目印を必要としません。」

「ある事柄に対して最短、最高のルートで何かをする。そういう風にプログラミングされています。」


なるほど、プログラミングについてさっぱりだが製作者はなにを考えてヒスイ達を作りだしたのだろうか。


ただ単に、人を殺すだけならそんな自分が命令しないと動かないというようなめんどくさいぷプログラミングをしないで見つけ次第殺すようにプログラミングしたほうが楽だと思う。


謎だ。


「ま、人に害がないならそれでいい。」

「ありがとうございます。」


ヒスイ合わせて20機のアンドロイド。

当然人間よりは強いだろう。


しあし、元より人間より強い俺は彼女達では超えることが出来ない。

それは、ロボット全般に言えることだ。


人間は失敗、成功を糧に成長する。

しかし、ロボットは作られた当初の強さでしか全力を発揮できない。


例え暴走したところで止められる。

1人ずつ見たわけじゃないからわからないがカトレアやシアなら相手出来るんじゃないか?


ま、そんなことはさておきベリアルに報告しなきゃな。


俺とヒスイはベリアルの屋敷に戻った。


「あ、ナイト。おかえり。」

「あぁ。」

「大分疲れてる?」

「よくわかったな。」


「顔がやつれてるわよ?」


ははは。そうだな。ヒスイを見たら碌なことにならないからな。


「で、その子だれ?」

「あぁ、こいつはヒスイ。今日から神討伐メンバーに加わることになった。」

「ナイトはけだものです。」


その時世界中の時が止まった。


ヒスイが投げた爆弾はみごと爆発した。


「ちがうだろ!まず自己紹介だろ!てか俺お前に何もしてないぞ!」

「スカートをまくられそうになりました。」

「自分で、めくろうとしてただろ。」


「ナイト。」

「はい!」


この状態の女の子に逆らってはいけない。

暮らしていて学んだ教訓だ。


()()()()


シェリーはにこやかに刃物を取り出した。

刃物と言っても邪魔な枝とかを切るようなものでそこまで切れ味はよくない。


「な、なにをでしょう。」

「アハ。やだなぁ。わかってるくせに。」

「いや、マジで分からない。」

「そういうことが出来ないように切ろう?」


俺は詫びのなかでも最高位を誇る、DO☆GE☆ZA。

を披露した。


「ほんとにすいませんでした!」

「次からは気おつけてくださいね。」


「元はと言えばお前が変なこと言うからだろ!」

「ナンノノトダガワカリマセン」


このあと、シェリーから小一時間質問攻めにされたのは言うまでもない。

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