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80話 会談

会談が始まった。


「まず。共通意識を持つためになにか話しておくことはないか?」

「はい。」

「鳳国。発言を許可する。」

「鳳王代理、シャルと申します。」


鳳王はもう歳で外を出歩くことも厳しいため代理としてシャルが来ている。


「だいぶ前にありました、帝国と王国との国境で未知のモンスターが暴れた事件で両国から説明をお願いします。」

「では、帝国から。説明してください。」


「はい。しかし、帝国側はその騒動についてほとんど知らされていません。王国からはなにかありませんか?」

「これについては俺から話させてもらおう。」


今回の会談で俺は中立の立場でなければならないため立ち回りがかなりめんどくさい。


「あの事件は、どの国とも関係がない。なぞの組織が関与している。女王から知らせをうけた俺は現場に向かった。すると、鳳国が言っていたように謎のモンスターがすでに暴れていた。俺とシーラは仲間が集まるまで戦った。という訳だ。なにか質問は?」


あまり思い出したくないな。

シーラがルージュの依り代だったこともあるがシーラという一人の神がこの世から去ったことに変わりはない。


「はい。」

「帝国発言してください。」

「帝国騎士隊、隊長のレベッカだ。」

「そのモンスターはたった二人で倒したのか?」

「そうだな。あとから仲間もきたらしいが。」

「では、そのモンスターは王国側が意図的に放したものではないのか?その組織とも裏でつながっているのではないか?」

「な!」


メアがなにか言おうとしたが俺は止めた。


「なぜそう思う?」

「常識的に考えてそうでしょう。誰も倒したことないモンスターをたった二人で倒したのだぞ?王国側が意図的に放ったとしか思えん。」


いや、2人で倒したのは事実だからなんも言い返しようがない。


「では、王国側が放して自ら倒した理由は?」

「組織との利害関係の一致...その辺はありすぎてわからないな。」


「少し話はずれるがここにいる全員は俺をどこまで知っている?」


「私は婚約者なので全て知っていますよ。」

「私もララさんから聞いて大分知っています。」

「話には聞いたことがある程度かな。」


帝国にはほとんど話していあないからこの差は当然か。


「この際だから話しておこう。」

「俺はこの世界の生まれではない。」

「?異世界の住人だとでもいうのかい?」

「そうだ。俺は異世界からきた。だからという訳ではないが強さも平均をとうに超えている。」


「で、謎のモンスターは俺の昔の恋人だった。その組織が昔の恋人の死体を改造。王国だけじゃなく帝国や鳳国を滅ぼそうとした。それを俺とシーラが止めた。真実を話せばこうなる。」


「しかし、それなら王国側の関与が濃厚になったにすぎないぞ。昔の恋人なら協力するのも容易かったはずだ。そもそも...」


バチッ。


会談の場に殺気が満ち溢れる。


「てめえ。本気か?」


ここまで言って理解出来ないとは、流石にキレそう。


「わ、私はただ疑問を口にしただけだ。」

「なら、聞こう。かつての恋人を自らの手で殺す心の痛みはどうなるのかと。」

「そ、それは...。」


俺の問いにレベッカは答えられなかった。

それもそのはず。親しい人を殺すのは誰だって辛い。


「ナイト。落ち着いてください。」

「悪い。」


「ナイトに代わり、王国女王エレノール・メアが回答します。」

「件の事件には王国は一切関りがないとここに宣言します。」


「帝国側、なにか質問はありますか。」

「いえ、今回は三国の仲を深めると聞きます。この件につきましてはナイトを信じることにします。」

「理解できないならまだ話すが?」


俺は努めて笑顔を作った。


「いや、私かももうなにもない。」


拳をバチバチ言わせながら。


「では、他に質問は?」

「はい。」

「帝国、騎士隊長。」

「今回の会談の主催者でもあるナイトとそれぞれ国との関係情報を開示していただきたい。」


要するに、俺は何者かと。そういうことか。

まぁ、異世界人って言ったばかりだから当然の質問か。


また変な質問してきたらぶん殴ろうかと思ったが。


「俺は異世界転移者でメアとシャルの婚約者だ。帝国とはそんなに交流はない。」

「王国女王とは結婚していないのか?」

「してないな。こちらにも色々事情があるもんでね。」


「そうか。わかった。」


「では、俺から今回集まって貰った本当に理由を話したい。」

「?三国の仲を深めるためじゃないのかい?」

「深めるだけじゃだめだ。俺がやろうとしていることは神々への宣戦布告だ。」


「血迷ったか?」

「俺の仲間から教えてもらった情報だがこの世界の神は人類を絶滅させて自分たちで新しい文明を築こうとしている。」

「そんなの態々絶滅させなくても神の力をもってすれば従わせることは簡単だと思うが?」


「なにも知らない赤んぼの内から従わせた方が反抗心もわかない。そう考えると絶滅させようが効率は変わらない。」

「しかし、勝算はあるのかい?」

「それはこれからの国同士の協力しだいだな。」


「つまり、ナイトさんは、この三国が協力せざる終えない状況を作ったという訳ですね。」

「そうなるな。狙ったわけじゃないが準備を考えるとどうしてもこうなってしまう。」


「協力してくれるか?」

「具体的になにをすればいいんだ?」

「恐らく神達は最初眷属を使って侵攻してくる。その眷属を蹴散らしてほしい。」

「神本体はどうするつもりですか?」

「それは、俺とその仲間で攻撃するつもりだ。」


相手は神。

普通の人間では刃すら届かない。


俺だって今ある能力、スキルをすべて総動員して勝てるかどうかの相手だ。


「それなら鳳国は補助がメインになりそうですがそれでもよければ協力いたします。」


まぁ、鳳国は戦争否定国だから当然か。


「どうかな。レベッカ隊長。」

「は。すべては、帝王様の意のままに。」

「では、帝国も協力しようとする。ただし、あまり帝国を脅さないでくれ。」


「なんのことだ?」

「忘れないぞ!」

「今ここで、ばらしてもいんだが?」

「それだ!それをやめてくれといったんだ。」


若干涙目の帝王。

俺は先日、メアと訪れてからもう一度だけ帝国に訪れている。


その時に見てしまったのだ。帝王の秘密を。

その時にちょこっとお話しただけのこと。


「ばらしはしない。ばらしたらお前で遊べなくなるからな。」

「鬼だ。悪魔だ。」


ははは。

なんとでも言え。


「そう言えば…。発言いいか?」

「帝国騎士隊長。発言してください。」


「先日の鳳国と王国の国境辺りで暴れた召喚獣はどうした?」

「それは、俺達王国で片付けた。それは、鳳国にも話してある。」

「差し支えなければ犯人を教えてもらっても?」

「構わない。犯人は、俺の仲間だ。」

「俺を呼ぼうとして暴れさせたらしい。本人にもう暴れる意思はないから安心してくれ。」


クザフォンもめんどい事したよな。

直接会いに来ればいいのに。


まぁ、俺が本当に仲間か分からなかったからそう遠回りしたのかもしれないが…。



その後、会談は順調に進み特には何事もなく終わりを迎えた。

これから、番外編・短編の投稿が多くなるかもしれません。


理由は、本編は色々考えて書かなければならないので執筆が遅くなるからです。


(番外編・短編はあまり考えていない。)


それでも、大体のストーリーら完成しているのであとは言葉を選ぶだけですが、それがめちゃくちゃ大変なのです。


楽しみにして下さっている皆さん、すいません。

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