76話 準備
俺はベリアルの屋敷を出てからひたすら走った。
夜はモンスターの活動が活発になる時間。
しかし、そんなモンスターなど今の俺からすればその変の石ころと変わらない。
暗闇で見えないがなにかのモンスターを群れごと横に両断した。
今は1秒でも時間が惜しい。
一刻も早くミミを助け出したい。
そして、攫ったやつを殺す。
岩を飛び越え一直線に森を駆けた。
ときには、木の枝を移りながら移動もした。
そして、夜明け前にダリル領まで来ることが出来た。
[千里眼]スキルで遠くを視る。
ミミは処刑台みたいな場所に繋がれている。
そばに誰かいるようだがここからでは遠すぎて見えない。
それよりも問題はこの下の兵士だ。
総勢で15万。
予想より2倍近くもいる。
しかし、やることは変わらない。
ベリアルの屋敷が王国と近い国境付近。
ダリル領はその真逆北側。
帝国の最果てにある。
その距離を突っ切ってきたとはいえかなり疲れた。
襲撃は夜が明けてからにしよう。
幸いミミは楽しそうに喋っている様子。
俺との同調が通じない所をみると繋がれているのは、魔封じの鎖か。
近くの草むらで俺は夜を明かした。
敵の数は夜見た時より圧巻で平らな大地を埋め尽くすかのような兵士。
私兵でこの程度なら帝国の戦力は物凄いな。
さて、お前らは俺をどこまで楽しませる?




