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66話 不機嫌と拾い者

メアに一日中王都で振り回されて俺は疲労困憊だった。


「おかえりなさい。」


俺が家のドアを開けると不機嫌なシェリーがいた。


「女王陛下とのデート はどうだったの?さぞ、楽しかったでしょうよ。」

「シェリー。怒ってる?」

「怒ってない!」


シェリーはそう言ったきりリビングに向かっていった。


.....怒ってますよね?


そりゃ、結婚相手が他の女の子とイチャイチャするのが嫌のは、俺でも分かるけどメアだって、将来的には嫁になるわけだ。


うん。まぁ、これ以上考えると胃に穴が開きそうだから俺はそこで考えるのをやめた。


シェリーとメアの修羅場とか想像したくない。


「ご主人様。シェリー様が怒っていましたがいかがしましたか?」

「いや、俺にも分からない。」

「ナイトさんももう少し女心を知った方がいいですよ?」


そう言ってもなー。

女心の知識の欠片もない俺に女心を学べというのは、少し酷じゃないだろうか?


「そんなことありませんよ。それに、これから女王陛下や鳳王の娘シャルなど王族と結婚するんでしたらそれくらい知っておかないと色々不便だと思いますよ?」

「確かに、それも一理ある。」


俺だってミミとかシェリーはどうしたら喜ぶとか怒るとかそういうのは、今まで過ごしてきて何となくだがわかった。


しかし、それがメアだとかシャルだとかになれば話は別だ。


「ということで、今度シェリーさんとどこでもいいのでデートして来てください。」

「ちょっと待った。なぜにシェリーとデートしなきゃいけないんだ?」

「シェリーさんとデート。嫌なんですか?」

「いやいや、全然いいけどそれで女心が分かるのかって話。」

「それは、ナイトさん次第ですね。」

「では、僭越ながら私からも助言させていただきます。」

「女の人は、普段とは違う印象にドキっとすることがあります。」

「普段とは違う印象?」

「はい。しかし、ご主人様のような完璧なお方にはあまり効果は期待できませんね。申し訳ございません。お力になれず。」


俺だって完璧ではない。

料理はできないし狙撃だって出来なくはないがそれより、突っ込んだ方が早いと感じてしまう。


俺だって欠陥だらけだ。


けど、どうやって誘おうか。

生憎俺には女の子を誘うような口実はできないし、いきなり誘うのも不審がられる。


一体どうすれば…。


と、俺が思考を巡らしているとコートの袖をくいくいと引っ張る者がいた。


「どうした、シア。」

「これを使えば自然と誘える。」


そう言ってシアが差し出したのは1枚のクエスト紙。


その内容は、

・キングタートルの討伐。

・クエスト参加条件、剣士と弓使いのみ。

・性別、レベル、ランクは不問。


という今の状況を打開するために生まれたようなクエストだった。


「よく見つけて来たな。」

「たまたま見つけた。」


俺はシアの頭をよしよしと撫でた。

撫でられているシアは目を細めて気持ち良さそうだ。


「このクエストは、ありがたく使わせて貰う。」

「ご主人、頑張って。」


ララ、カトレア、シアに見送られて俺はシェリーの部屋に向かった。


「シェリー。いるか?」


俺はシェリーの部屋の扉を数回ノックした。


「な、なに?」


扉が開いてシェリーがおずおずと顔を出した。


「一緒にクエストにでも行かないか?」

「なによ急に。」

「このクエストなんだが条件に合うのが俺とシェリーしかいないんだよ。」

「よくそんなクエスト見つけて来たわね。」

「まぁ、見つけたのはシアだけどな。」


「ナイトが見つけたんじゃないんだ。」

「ん?なんか言ったか?」

「何でもない。さ、さっさとクエスト済ましちゃいましょ。」


俺とシェリーは、目的地である遺跡まで来た。


王都から、片道30分ぐらいのところにある。

しかし、周りは木が生い茂っていて街道からでは見ることができない。

そもそも、この辺は、弱い初心者向けのモンスターがポップするので王都にいる人では物足りないんだろ。


「さて、入るか。」

「う、うん。」


遺跡の中は、暗く俺の魔法で照らしてはいるがまだまだ闇は広がっている。


[反響]スキルで見てみたがこの遺跡かなり広い。

その上、道が複雑に入り組んでいるため絶対に迷うタイプの遺跡だ。


「『塵になれ。』」

「はぁっ!」


俺の魔法とシェリーの矢がモンスター目掛けて飛んでいきモンスターを串刺しにしその後塵にした。


「狭いところだと魔法をぶっぱできないから、辛いよな。」

「しょうがないわよ。私は、周りが明るければ普通に動けるけど。」


だったら、俺のコートの裾を離したらどうだろうか。


俺達が探索をしていると曲がり角からノシノシ歩いてきたのは、1つ目のモンスター


単眼巨人(サイクロプス)だった。


「ねぇ、ナイト。」

「ああ、急ぐか。」


出てきた単眼巨人の首をはねて瞬殺した後単眼巨人が来た道を走った。


なぜ急いでいるかというと、さっき倒した単眼巨人には血が付いていた。


こんな、人が寄り付かない場所にあるのに血が付いている。

モンスターの血かと思ったがさっきの奴の首にはダガーの刃が折れて刺さっていた。


モンスターの中には武器を使う奴もいるがそれでも、片手剣とか大剣とかがほとんど、ダガーを使うモンスターはいない。


とすると、誰か人が単眼巨人に攻撃したことになる。

しかも、単眼巨人からは血は出ていないしかし、単眼巨人には血が付いている。


このことから、人が血を流しているという結論に至って急いでいる。


道を遡って行くとひとつの血溜まりを見つけた。


「ナイト!早く回復魔法!」

「『リバイブ』、『天なる癒しよ、彼の者を癒せ。』」


癒しの光が彼女を包む。


常に反響させていれば相手が女か男か位は分かる。

問題なのが...。


「大丈夫か、()()()


俺はかつての敵の名を呼んだ。


「ナイト、知り合い?」

「一応な。」


悪い意味での知り合い。


「っ!」


サーヤがシェリーの膝から飛び下がり俺から距離をとる。


しかし、


「あぐっ!かはっ!」

「まだ動くな。傷は完全に癒えたわけじゃない一時的なものだ。」


ミミがいれば完璧に治せたんだがな。


「どういうつもり?」

「何が。」

「敵を助けてどうするつもりって聞いてるの。」

「別にどうもしないが?戦いたいなら戦うし逃げたいなら逃げればいい。お前の好きなようにしろ。」

「え?殺さないの?私は今瀕死よ?」

「今殺すんだったら態々助けない。」


「ナイト。あの子誰。」


やべ、シェリーの目が浮気者を見る目に変わってる。


「前に俺が死んだことあったろ。その原因を作った奴らの1人だ。」

「あんな小さい子にやられたの?」

「実際戦ったのはルージュだからな。あいつとは、まだ本気でやり合ったとこはないな。」


「あなた名前は?」

「え、えっと、サーヤ。」

「うん。サーヤね。私はシェリー。」


「あなたはこれからどうするの?ナイトから聞いたらなんか仲間がいるって話だけど…。」

「私は仲間に裏切られた。」


やっぱりな。

こんな人気ない遺跡に来るのは良からぬことを考える奴だけだもんな。


「裏切られた?」

「うん。私は単眼巨人にやられたんだけどそいつはザラキが相手してたけど、さっきは私を囮にしてザラキは逃げた。」

「なにそいつ!性根腐りすぎでしょ。」


まぁ、シェリーの言うことは分からなくはない。


「そいつは、元々他力本願だから仕方ないだろ。それより、サーヤはこれからどうすんだよ。」

「私はザラキに復讐する。けど、ザラキの行方は分からないしあいつは強い。」


「そこで、ものは相談だ、俺と一緒に組まないか?目的は違えど復讐ということは一緒だ?お前さえ良ければ一緒に戦わないか?」

「まーた始まった。節操ないわね。」

「戦力が増えるのはいいことだろ?しかも、暗殺術を使え能力も割と強力。是非とも仲間に欲しい。」


「私は敵。それなのに背中を見せるの?刺されるかもしれないよ?」

「望むところだ。背中から刺せるなら刺すといい。返り討ちにしてやるよ。」

「じゃ、そういうことなら。これからよろしく。」


シェリーとクエストに来たつもりがいい仲間を拾えた。


「そういえば、クエストはどうするの?」


あ、やべ、忘れてた。

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