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60話 火の神とロボット

「イリス、次の目的地はどこだ?」

「えっと、ここからそこまで離れてはいない。」

「早く行きましょ。幽霊屋敷探索なんてほんとはしたくないんだから。」


「ちょっと待った。」


俺は先を行こうとしたシェリーを止めた。


「どうなさったのですか。ナイト様?」

「カトレアは気づいてるだろ?」

「はい。」


「なになに?」

「さっきの屋敷を出てきてから、何者かが俺達をつけて来てるんだよな。」

「しかも、かなりの強敵です。」


まぁ、相手は神だからな。

しかも、この地上に現界出来るということはかなりの神性を持っているはずだ。


この世界の神界がどうなっているか知らないが。


通常、神界はこの地上より魔力は何十倍の濃い。

その濃さに慣れた神々が魔力が薄い地上に何時間もいたら気分を悪くして最悪、元の神性を失うことだってある。


そんなことになったら[神眼]は使えないし神としての能力は使えなくなるし種族は人間でも獣人でもなく

魔族となる。


神から堕ちた邪神となる。


「さて、そろそろ姿を現した方が身のためだぞ?」


俺がそういうとなにもない空間から女の子が出てきた。


ブロンドの髪にくりくりの目、柔らかそうな唇を持ち、なにより目を張るほどの大きな胸。


ひょっとしたらミミよりデカいかもしれない。


「わ、私に何をするつもりですか。」


女の子は俺をみるなり涙目になって聞いてきた。


「別になにかするつもりもないが、ただ、質問をすることだ。」

「なんでしょう。」

「なんで、俺達をつけた。」


「そ、それは、気になったから?」

「気になった?」

「あなたも神ならわかるはずです。私も貴方と同じ神族です。」

「だから、なんだ。」


「私が、[神眼]を使って貴方を見たときにほとんど情報は入ってきませんでした。」

「そしたら、気になるのは当たり前じゃないですか。」


「つまり、俺の正体が気になったからきたと...。」

「そうです。」


「残念ながら、俺に正体もなにもない。ナイト。それが俺の名前であり偽りない正体だ。」

「そうでしょうか。私はフレイア言います。一応火を司る神としていますが、そんなナイトという神は知りませんよ?夜の神ですか?」

「まぁ、そんなところだな。」


フレイアなにか疑っているようだが今ここで話すわけにはいかない。

俺は堕天使であり最高神にも匹敵する力をもっている。


現役の神に俺の正体がバレれば俺ではなくミミ達に被害が及ぶ。

だから、この神が信用できないと話すことはできない。


「ナイト。話は終わった?」

「あぁ、俺のストーカーだったわ。」

「そんな言い方しなくても...」

「では、敵という訳ではないのですね。」


「私だって、自分より強い相手に勝負を仕掛けるほど、命知らずではありませんよ。」

「その割には好奇心は旺盛のようだな。」

「うぅぅぅぅぅぅ。」


「まぁいい。フレイアはこれからどうする?」

「え?貴方についていきますよ?」


いや、当たり前っでしょ見たいに言われてもそんなのしらんし。


「それは、できない。」

「なぜです?」

「俺の仕事は秘密裏に動くものがおおい。いくら神でもついていくのは無理だ。」

「えー。そんなこと言わずにー。」


「今すぐ切り刻まれたいか?」

「私は急用を思いだしたので帰ります。」


そういってフレイアは炎に包まれて消えていった。


「なんか騒がしい子だったわね。」

「シェリーも変わらんがな。」

「え...。」


シェリーが膝をついて落ち込んでいるが事実だから仕方ない。



気を取り直して次の屋敷に行くことに。


今度の屋敷は綺麗だ。


しかし...。


「なんだこのモンスターの数は。」


この屋敷はモンスターの巣窟と化していた。

その数およそ、200。


200体ものモンスターが俺達を喰らわんと戦闘態勢に入っている。

ちょっとしたモンスターフェス状態。


「いかがなさいましょう。ご主人様。」

「カトレアとイリスはミミ達を守れ。シアは俺と前線。ミミとシェリーは援護を頼む。」


俺は全員に指示を飛ばして敵陣に突っ込んだ。


最初から二刀流の本気モード。


右から奇襲してきたホーンラビットを横薙ぎで切り伏せ反対から来たダークウルフを縦に一刀両断していった。

シアは突っ込んでくる敵の急所を的確に突いて順調に数を減らしている。



衝突から数分後。

200体いたモンスターも残り一体となった。


モンスターと言ったが彼女はモンスターではない。

ロボットと言った方が適切だろう。


しかし、彼女は俺達に攻撃するわけでもなくただ立っているだけ。

俺達も敵なのか判断できずに攻撃は出来ていない状態。



「あなたがナイト様ですか?」


相手のロボットが口を開いた。


「だったらなんだ。ふぐっ!」

「んふっ。」


俺が驚くのも無理はない。


相手が俺でも追いつけないほどの速さで俺の唇を奪ったから。


「「「あーーーーーー!」」」


後ろから3人の声が聞こえた。


口内を獣のように動き回る舌。

時々聞こえる喘ぎ声。


いきなりのことに俺の頭は真っ白になっていて相手にされるがままだった。


「確認完了。対象の遺伝子を登録。これをナイト・コアと記憶。」


俺の唇を奪った犯人は抑揚のない単調な口調でそう言った。


「ナイトさま。ご案内したい場所がございますのでご同行願えますでしょうか?」


「どうするの?」

「あいつから敵意は感じないから襲われることはないと思う。」

「しかし、手練れなら油断している隙を突いてくるのでは?」

「そうなら、俺にキスしたときに刺されてるよ。」


あんな不意打ちをしたんだ。

大体の男は一瞬でも止まるだろう。


「わかった。お前についていこう。」

「では、こちらへ。あと、私の事はシロとお呼び下さい。」

「パンツがシロ色なので。」


「どうでもいい情報をありがありがとよ。」


なんか訳の分からない奴だ。

いきなりキスしてきたり、名乗ったかと思えばパンツの色が由来だとかいいだす。

こいつを作った奴も奴だけどさ。


そして俺達はシロに誘導されるがまま屋敷に足を踏み入れた。


「一つ聞きたいことがあるんだが。」

「はい。スリーサイズでしたら、上から。74、59、79です。」

「違うそうじゃない。」


「なんで、屋敷の周りに大量のモンスターなんか配置した。」

「確かにあれではご主人様以外突破は難しいと思います。」


「そうなるように、訓練したのです。」

「ナイトさまは王国から一度転移陣で帝国にいらしておりますよね。」

「たしかに一度来ているな。」


「あれは私をお創りになった方が設置したもので共闘の証でもあります。」

「共闘?」

「はい。我が主は今なお、復讐を望んでおいでです。」


「復讐ってだれに。」

「神です。」


は?今なんと?


「我が主は神への復讐を誓いました。しかし、主がお創りになった私だけでは戦力に欠けたのです。」

「神に喧嘩を売るのですからそれなりの実力者が必要です。」

「物理的に強いことは勿論、全属性持ちでないとあの転移陣は起動しない仕組みなのです。」

「その条件を揃えた存在こそ、ナイトさま。貴方なのです。」


「それは買いかぶりすぎではないか?」

「俺はお前たちが思っているほど強くはない。実際、ミミやシェリーがいないとなにもできない。」


「謙遜は必要ないです。」

「別に謙遜じゃ...。」

「それは、我が主、サキ様が決めることです。」


「どうぞお入りください。そして、ようこそ神々の戦い(バビロン)へ。」

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