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59話 姉探しと幽霊屋敷

鳳国の1件も一応片付いて今は何をしようか考え中。


「ナイトはなにか面倒事に首を突っ込まないと気が済まないの?」

「んなわけあるか。俺だって面倒事はごめんだよ。」

「けど、ご主人はいつもなにかやってる。」


言われて見ればそうかもしれない。

けど、無意識なんだよなー。

直しようがないんだよなー。


「あ、そう言えば帝国に行くなんて話してなかった?」

「あー。そんな話もしたな。」


鳳国のことですっかり忘れていた。


「そうか、イリスの姉に会いにいくっていう話だっけ?」

「うむ。そうだ。」

「なら、帝国に行くか?」


ゲートならもう置いてあるから一瞬で行ける。


「そうね。どうせ今日は何もクエスト受けてないから暇だったしね。」


ということで、俺達はゲートで帝国にやってきた。

勿論、ミミとカトレアはフードを被っている。


「ここが帝国ね!」

「意外と繁盛していますね。」

「ここは繁華街だから尚更だろう。」


「で、イリスの姉はどこにいるんだ?」

「それが...。分からないのだ。」


「.........は?」

「いや、話を聞いてくれ主よ。」


イリスの話をまとめるとこうだ。


ある日、イリスがまだ幼い時に姉が家を出ていってしまいそれから音信不通になってしまったらしい。


家を出ていってもう6年が経つという。


「居場所が分からないんじゃ会いに行けないぞ?」

「いや、候補はいくつかあるのだが...。」


とここでイリスが口ごもった。


「その候補のどれも幽霊屋敷でな。お化けダメ系な御三方には聞かせたくはなかったんだが...。」

「よし。イリスの姉が心配だから探しに行こう!」


「ちょっと待って。なんで全部幽霊屋敷なのよ。」

「それは、隠れるのにはもってこいじゃないからじゃ?」

「まぁ、諦めるんだな。」


俺が行くと言ったら俺は1人でも行く。


理由は、ただ面白そうだから。


「ついて行くわよ!」

「ナイト様には後で慰めてもらいます。」

「そうですね、この際全員で慰めて貰いましょう。」


それは、重労働なんだが?

普通に疲れるやつなんだが?


そんなことはお構いなしに、幽霊屋敷探索が終わったら俺が全員慰めることになってしまった。



ここは、鳳国との国境近く。

馬車などが通る道から大分離れた場所にある。

屋敷は所々崩れていて今にも倒壊しそうなほどボロボロだった。


「よし。探索するか。」

「何にも出ないでよ。怖いから。」


「シェリーよ。この世にはフラグというものが存在するんだ。そんなこと言ってると出るぞ。」

「そういうこと言わなければ平気なの!」

「ナイト様は鬼です。悪魔です。」


悪魔ねぇ。

あながち間違いじゃないな。


俺達は2人1組になって屋敷を探索した。


俺とミミ。

シェリーとカトレア。

シアとララ。

イリスは1人でもいいと言ったので1人。


この屋敷の中は、至って普通だった。

玄関から開けるとど真ん中にある階段。

それを上るとY字に分かれていて2階に登れる形のどこにでもある内装。


屋敷全体もそこまで埃などがなく今まで誰かが住んでいたようだった。


「1階は何にもなさそうだな。」

「そうですね、ただ壊れていたりして出入りは自由ですよね。」


と、その時、近くの木箱がガタっと動いた。


「な、なんですか!」


それと、同時に俺の腕に柔らかいものが押し付けられ俺の腕が埋もれる。


「何にもいないよ。ただのネズミだろ?」

「そ、そうですか。」

「お化けなんて1種の幻覚だ。怖いと思う気持ちから生まれる幻覚。怖がる必要なんてない。」

「そうかも知れませんがけど、バンシー系のモンスターだっているんですからその、お化けだっているかもしれないじゃないですか。」


「バンシー系のモンスターは攻撃が通るだろ?」

「攻撃の通る通らないの話ではありません。実際、バンシー系のモンスターに出会ったら怖くて体なんて動きませんよ。」

「そういうもんかね。」

「女の子はそうなんです。」


女の子って大変だな。


それから、俺達は1回玄関前の大広間に集まって2階の探索に移った。


「ところでミミ。」

「なんですか?ナイト様。」


「さっき俺達が話していた部屋あるだろ?」

「はい。」

「実はあの部屋のベットの下に人がいたんだよ。」

「.....嘘ですよね?」

「嘘だと思うならもう1回行ってみるか?」


そう言うとミミは目をめいっぱい開いてこう言った。


「ナイト様の馬鹿!馬鹿馬鹿!」

「ちょ!痛いって!」


ミミは顔を真っ赤にすると涙目で俺をポカポカと殴ってきた。


確かにあの部屋のベットの下に人はいた。

俺達が屋敷に入ってきて急いで隠れたんだろうな。

木箱が動いたのもそいつのせい。


まぁ、相手は人間。

実体があるなら攻撃も通るし。勝てる。


「なんで言ってくれなかったんですか!」

「言ったらどうするんだよ。」

「この屋敷ごと燃やします。」


物騒だな。

何も燃やさなくたって…。


「私を怖がらせたんですから責任取ってください!」

「どうやって?」

「え?その、あの、それは.....!」


ミミが口ごもると手を差し出してきた。


これは、手を繋げということか。

さすがの俺でもわかった。


俺が手を握ると満足そうに顔を赤くして俯いた。


「ミミばっかずるいー!私も手繋ぐ!」


ミミが右手を握っているためシェリーには左手を握られた。


「主。両手に花ですな。」

「ご主人モテモテー。」

「幽霊屋敷なのに賑やかですね。」


そんなことはいいから助けて欲しい。

幸い、ミミとシェリーの身長はあまり変わらないから腕が捻られるという事態は避けているが、この体勢だと歩きずらいことこの上ない。


しかし、そんな俺の心境は2人には届いてないようで、2人は満足そうに俺の手を握っている。


*********************

危なかった。


まず私はそう思った。


朝、起きると知らない連中が屋敷の外にいて、そいつらは屋敷の中を探索しだした。


私は急いでベットの下にかくれた。


幸いここの部屋は角部屋で回るのは最後になる。


と考えていた時期も私にもありました。

来たのは2人だけだったけど、1人がヤバい。


[神眼]持ちの私から言えば化け物だ。


レベルもそうだがなんと言っても全てがデタラメな、スキル、能力。


能力に至っては私の[神眼]を持ってしても視えなかった。

それは、自分より上の[神眼]を持つかそれを妨害する能力を持っていることになる。


しかし、そんな[神眼]で見られないようにする能力など神族と触れ合う機会のない人間には全く必要ないものだ。


だとしたら、男の方は私を上回る神性の持ち主ということになる。


そんなやつが今目の前にいる。

バレたら殺される。


侵入者の数は7人、隙をついて逃げようかと思ったけど即刻諦めた。


それは、1枚のカードだった。


多分男の方が落としたんだろうけどその内容を見て私は鳥肌が止まらなかった。


そのカードにはこう書かれていた。


『そこで何してんの?』


と。

これは、私がここに隠れていることを知っている、いつでも殺せるということを意味していると私は読み取った。


あまりの動揺に体が動いてしまい近くの木箱に頭をぶつけてしまった。


女の子の方が怖がったようだが下を覗かれることはなかった。


その2人組みは何にもしないで部屋を出ていってしまった。


その後私は能力、《透明(インビジブル)》でそいつらの後を追った。


*********************


「この屋敷にはいなさそうだな。」

「そうだな。私もそう思う。」


この屋敷は隠れるにしては、ボロボロすぎる。


人が暮らすならもう少し、綺麗なところがいい。


結局、全ての部屋を回ったが収穫はゼロだった。


俺達は屋敷を出て家に帰った。


(...神がこんなところにいるとはな。世間は狭い。)

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