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番外編、カナとの約束

約束、守る、大事!

「そういえば新人君や。あの時の約束は忘れてないだろうね?」


俺がメアの部屋でくつろいでいるとカナがそんなことを聞いてきた。


「あの約束?」

「あー。やっぱり忘れてる。」

「なんかしたっけ?」


本当に覚えていない。


「魔都の領主を助けに行く代わりに買い物に付き合うって言ったじゃん!」


あーあ。今思い出したわ。

そんな約束もしたな。


「で、今暇?」

「見ての通りだが?」

「よし!今から買い物に付き合ってもらおう。」

「いいけどどこ行くんだよ?」


ミミやシェリーの買い物に付き合っていたせいで大体の街の店の入荷情報は知っている。


「精霊の森に行こう!」

「精霊の森?」


確か精霊族の住処だったと記憶しているが問題は...。


「部外者は入れないはずだが?」


いや、実際には入れないように防御機能が森全体に張り巡らされているということだ。


それは、1度起動すれば対象の生命機能が止まるまで攻撃が止むことはない。


「私が一緒にいれば大丈夫!」


と言うので精霊の森まで来た。


王都から西に全速力で走って10分のところにある。


俺は最後まで走ったが出発して2分してカナが失速したので残りの8分は俺がカナを横抱きにしながら走った。


道中、常に喋っていた。

.....よく舌噛まないな。


「着いたー!ようこそ!ここが妖精の森だよ!」

「やっぱり静かなところだな。」


王都から約50キロ離れているだけはある。

周りには木々が生い茂り、ここ数年は誰かがこの森に踏み入った形跡はない。


「この壁を抜けたら街があるよ。」

「カナはどういう立場なんだ?」

「えーと。お姫様?」

「なんで、疑問形なんだよ。」



「だって2年前に勝手に家を出てきちゃったもん。」

「は?」

「だから、息苦しい生活が嫌だったから勝手に家を出てきちゃった。」

「いやいや。不味くない?これ、色々不味くない?」

「何が?」


「考えてもみろ。2年間失踪していた姫が見知らぬ男と現れたらどう思う?」

「仲がいいね。」

「カナの頭はハッピーセットか。」

「むー。なんか馬鹿にされた気がする。」


あぁ、馬鹿にしたとも。


「普通は一緒にいる男が姫を攫った犯人と考えるのが普通だ。」

「大丈夫大丈夫。何とかなるよ。」


そのなんとかが1番の不安要素なんだがな。


そんな不安を抱えながら俺は森に足を踏み入れた。


その瞬間、

『ガシャガシャ。』


背後でめっちゃ嫌な音が聞こえた。


この平和で緑溢れる場所で機械音なんかするはずもない。

[反響]スキルで探って見ると4台の銃器が俺を捉えていた。


「おいカナ。これはどういうことかな?」

「?新人君なら突破できるでしょ?」


んな、無茶な。

今は4台だがこの先に5台、そのまた先に4台配置されている。


そんな弾幕の中この見知らぬ土地を走り抜けろと?

とんだ無理ゲーだな。


「まさか、それ前提でここに来た?」

「?そうだよ?新人君なら余裕だと思って。」

「残念ながらいくら俺でも無傷でこの数を突破はできないな。」


俺が言うとカナは、


「頑張れ!」


と親指を立てて応援した。


.....帰っていいですか?


なぜに買い物に命をかけなければいけないのかそこから疑問である。


「取り敢えず、『走るぞ』。」


俺は足に風を纏わせた。


『ラビット』

前の世界の魔法で自身の移動速度を加速度的にあげるものだ。


「ふっ。」


俺が1度足に力を入れると辺りに強風が吹き荒れる。


その時にカナのスカートが捲れて黄色のパンツが見えたのはカナには内緒だ。


俺は木から木へと飛び移る。

俺が通ったあとの木は合計9台となった銃器によって蜂の巣状態になっている。


そして、ある1本の木に乗り移った瞬間弾幕の濃さが増した。


これで合計13台となった。


しかし、それでも俺には当たらない。

それは、俺を囲む強風のお陰だ。


遠距離から射撃すれば絶対にブレるし強風のせいでエイムがガバガバになっているため零距離射撃でもされなければ俺には当たらない。


まぁ、零距離になった瞬間切り刻むがな。


俺は再び足に力を入れてラストスパートをかけた。


次々に迫る弾丸。

それをその辺の木の棒を魔力で強化して迫る弾丸を弾く。


「これで、最後だーー!」


俺が今までより強めに力を入れると目の前の緑がなくなり視界良好となった。



「いやー。やっと抜けたね。そもそも、あの弾幕を切り抜けたのは君が初めてなんじゃないかな?」

「当たり前...だろ。あんな...弾幕...躱せる...奴がいてたまるか。」


俺は息を整えながらカナに反論した。


「まぁまぁ、無事に抜けられたんだからいいじゃないか。」

「まぁ、実は私の権限で射撃を辞めさせることも出来たんだよね。」

「それを最初にやれよ。」


カナのこういう行為も悪意がないから強く責められない。


「よし。まずはあの城に行こう!私の家だよ。」

「はぁ、また疲れそうだな。」


もう大体の相手の反応は予想がつく。


・姫を攫った犯人として収容されるか、

・姫を連れ戻した英雄となるか、

・姫の結婚相手と勘違いしてもてなされるか…。


正直言ってこの3択以外は考えられない。

しかも、最初のやつの確率がおかしいくらいに高い。


「そういえば新人君はもうおかしいよね。」

「カナが勝手に呼び始めたんだろ。そんなの知るか。」

「じゃあこれからは後輩君と呼ぶね!」

「どうぞご勝手に。」


どうせやだと言っても無駄だろうしな。


俺達は街のメインストリートを進む。


俺は姿がバレないようにコートに付いているフードを深くかぶる。


ここは人間界と隔離された空間、他種族が入って来れない空間。


そこに異端児が加われば忽ちパニックに陥るだろう。


あの猛攻を抜けて分かったがこの森は平和すぎる。


入るのは至難の業だが1度入ってしまえば平和そのものだ。


俺が街を探索していると1軒の屋敷に着いた。


「ただいまー!」


カナが大声で屋敷に呼びかける。


すると、奥から数名のメイドが出てきた。


「お帰りなさいませ、カナ様。」

「うん。ただいまー!」


俺達はそのままカナの部屋に通された。


カナの部屋ははっきり言って少女趣味のものばかりだった。


人形にパステルカラーのベット。

散らかっていると思ったがメイドが綺麗に保っているんだろうなと俺は考えた。


「それにしても、全く怪しまれなかったな。」

「そうだね。まぁ、ラートとマリを連れてきた時もあんな感じだったしね。」



へぇー、あの2人も来たことあるのか。

あの防衛システムいらなくね?


だってめっちゃ他種族侵入してるじゃん。


俺の場合はゴリ押し突破だったけどさ。


「あの感じだと過去にも勝手に家を出たことがあるんだろ?」

「5回ほどね。」

「多すぎだろ。」

「カナは自由を愛する乙女なのです。だから、縛られるのは物理的にも精神的にも嫌なのです。」


カナを物理的に縛れる奴はいないと思うが…。


そんなことより、


「で、何を買いに来たんだ?」

「んーと。色々!」


特に決めてないんですね。分かります。


これは長くなりそうだな。


カナが普通の服に着替えて俺達は街へと出かけた。


ちなみに今までカナは半袖にホットパンツという動きやすい服を着ていて、今はパンツと同じ色の黄色のワンピースを着ている。


まず俺達が入ったのは一般的な服や。


「後輩君はどれが似合うと思う?」

「さぁ、俺にはそういうのは分からない。」

「ほら、そこは勘だよ。勘」


勘でいいのかよ。


「カナは性格的に明るいから明るめの色が似合うと思うぞ。例えば今着てる黄色とか水色とかな。」

「ふむふむ。なるほど。いやー人と買い物するって楽しいね!」

「そうか?」


俺なんかは1人で行って買うもの買って帰ってくる。

女の子みたく予定にないものは買わないタイプだから誰かと買い物するということ自体ない。


「女の子は特にそうだと思うよ。自分じゃあ何が似合ってるのか分からないからね。」


あーあ。だから、ミミとシェリーはいつも2人で服選びしてるのか。


「後輩君。このシャツとこのホットパンツって戦い安いかな?」

「戦闘のこと考えながら選ぶのかよ。」

「女の子は常に戦っているのです。」

「何と。」

「老化?」


いや、俺に聞かれても知らん。


「そもそも、カナ何歳だよ。」

「女の子にそういうこと聞くのはデリカシーに欠けると思うなー。」

「俺にデリカシーがあると思うか?」

「思わない!」


だろうな。

俺には何が聞いて良くて何がダメなのか全く分からない。


「何歳だと思う?」

「精神年齢は5歳だろ?」


俺は即答してやった。


「そんなに若く見える〜!カナ照れちゃうなー。」


いや、どう考えても嫌味だろ。


あ、そっかカナには嫌味とか悪意が通じないんだった。


「で、正解は?」

「分からない!」


こいつ分からない問題を俺に出てたのか。

そりゃ答えなんか出ないわ。

だって正解がないんだからな。


後で分かった事だがカナは見た目に反して歳を取っていることがわかった。

その年齢は652歳。


これが巷で噂のロリババアと言うやつか。


このあと何件か店を回ってその度にカナに振り回された。



番外編なので本編には直接関係はしませんが読んで頂きありがとうございます。


こんな風に本編には関係ないけど書きたいものは番外編として投稿します。


(短編はまた別です。)

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