表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/119

49話 帰還と継承

俺は死んだ。自分でもそう思った。


あの時、偽物に心臓を貫かれた。


生き物として死んで当然のことだ。


けど、俺は今天井を見ている。

体中には包帯が巻かれている。


「冥界にしてはやけに親切だな。」


何度か冥界には行ったことがあるが包帯を巻いてくれるところは今までなかった。

いつも自分の自己回復力でなんとかするしかなかった。


こっちは瀕死なのにね。


俺がそんなんことを考えているとドアがあいた。


銀髪に犬耳、銀色のしっぽ。

クリクリの目に丁度いい高さの鼻、柔らかそうなピンク色の唇。


ミミがそこにいた。


しばしの静寂。


たっぷり数十秒固まっていた俺とミミの時間が動きだしたのはミミが飛んできたからだ。


咄嗟にミミを受け止めてしまい胸部の激痛に俺は顔をしかめた。


「おかえりなさいませ。ナイト様。」


ようやく理解が出来た。

俺は生き返ったんだ。


理由は...まぁ、あとでいいか。


そのまえに俺にはやることがある。



「ただいま。ミミ。」

そういって俺はミミを抱きしめた。


どれくらい抱き合っていただろうか。


「さて、起きたことだし皆にお礼をしなきゃな。」


俺はまだ、完全に動かない体をミミに支えてもらいながら俺は、リビングに向かった。


やはりと言うべきか俺がリビングに向かうと大騒ぎだった。


シェリーとシアは大泣きだったしカトレア達は涙ぐんでいた。


「悪いな。また、心配をかけた。」

「構いませんよ。私達はナイトさんが無事であれば。」


心臓を貫かれている時点で無事ではないがな。



「そいえばなんで俺生きてんの?心臓を貫かれたはずなんだが。」

「それは....。」



間に合わなかった。

まず、最初に私はそう思った。


ただの傷なら回復魔法で癒せるが心臓を貫かれたのでは光魔法ではどうにもできない。


私は頭をフル回転させて考えた。


今までナイト様のそばに伊達にいたわけではない。


ナイト様のちょっとした言動。

それを頭の中で反芻させた。


「皆さん。離れてください。」

「ちょっと、ミミ何するつもり?」


「『リバイブ』を施します。」

「で、でも、あれは修復の魔法ではなかったか?」


そう、ナイト様が使った『リバイブ』はカトレアちゃん達を直すために披露したもの。


前にナイト様に聞いたことがありました。

『魔力変換がうまくできないのですがどうすればいいですか?』と。


そしたら、ナイト様は

『魔法っていうのはイメージだ。』

とアドバイスをいただきました。


なら、『ナイト様を()()()()()()』というイメージではなく

『ナイト様の()()()()()()()()()()』というイメージを持ってやれば出来るという可能性が出てきたのです。



しかし、あれは元々ナイト様が使うための魔法で魔力消費量がほかの魔法より桁違いに多いのです。


けど、私の思いが届いたのか魔力をそこまで消費せずに『リバイブ』を終えることが出来ました。

見るとナイト様の心臓部の穴は塞がっていました。


私は慣れない魔力行使の影響か私の記憶はそこで途切れてしまいました。



「ということがありました。」

「ミミが『リバイブ』で俺を生き返らしと。」

「はい。」


「ありがとな。ミミ。」


俺はミミを抱きしめた。

今回はミミの頭の回転の速さを褒めたいと思う。


「ちょっと。気を失った二人を運んだのは私とカトレアなんだけど?」

「シェリーもカトレアもありがと。」


「よく覚えてたな。魔法の基礎なんてミミぐらいになれば忘れてそうなもんだけどな。」

「ナイト様のアドバイスのおかげですよ。」

「はいはい。イチャイチャしない!するなら、爆発しろ!」


シェリーが若干涙目なのでやめよう。



ところ変わって今いるのは王城。

まだ、完全ではないが動くことは出来る程に回復した。


ちなみに目が覚めてから3日が経過していた。

その間、家でじっとしていたため家がかなり騒がしかった。


俺は今回メアに招集されてここに来た。


「お久しぶりです。ナイト。」

「おぉナイト!生きていたか。」

「新人君おかえりー。」

「ご無事でなによりです。」

「もう、動いて大丈夫なのかい?」


俺が視界に入るなり3者3様の反応で出迎えてくれた。


「悪い。少しの間ちょっと寝てた。」


「今日集まって貰ったのは今回の件についてです。」

「そういえば、シーラさんはどうしたのかな?僕たちが到着したころにはもういなかったからね。ナイトしか知らないんだよ。」


「説明する。」

俺は、


・シーラが昔の恋人ルージュの仮の姿だったこと。

・敵がルージュの死体を使って王都を襲撃したこと。

・偽ル―ジュの消滅とともに消えたこと。


主にこの3つを中心に話した。


「つまり、シーラは元々ナイトと同じ出身ということですか?」

「おそらくそれであっている。」


「シーラお姉ちゃんいなくなっちゃったんだ。」

「うむ。惜しい人を無くしたな。」


「しかし、シーラのおかげで王国は救われたちがいますか?」

「ナイトの話から察するにシーラは敵が倒されることで自分が消えてしまうことを知っていた。なら、ここで皆さんが落ち込むのはシーラも望んでいないと思います。」


マリが一言そういった。


「そうだね。それには僕も賛成だね。」

「そうだな。」

「うん。カナ我慢する。」


「で、シーラの最後を看取ったナイトはどうおもう?」


そんなの決まっている。


「俺もマリに賛成。泣くのはカナだけで十分だ。」


俺がそういうとみんなは満足そうにうなずいた。

そして、カナは泣いた。

あと、俺で涙とか鼻水を拭かないでほしい。


俺達は疲れているからしばらくの休暇をメアから貰って解散となった。


そういえば、今の俺のステータスとかはどうなっているのだろうか。

ルージュのこともあるし何か変わっているかもしれない。



ナイト・コア

性別:男

種族:龍神

レベル105

スキル[剣聖]、[体術]、[覇気]、[魔法適性]、[索敵]、[反響]、[根性]、[関節技無効]、[神眼]

能力≪常識無効(ルールブレイカー)≫、≪二刀流≫、≪命令(オーダー)



は?≪命令(オーダー)≫ってシーラの能力だったはずだ。

それなのになんで...。


どうやら、俺はシーラの能力の一部を引き継いだらしい。

実際にスキルなどは引き継いでいない。


最後に贈り物か。

変わらないな。ルージュ。


「てことはスキルは誰かに引き続きされている可能性が高いな。」


シーラの能力は回復系だからもしかしたらミミに継承されているかもしれないな。

帰って調べよう。



「ミミ、ちょっといいか?」


俺はミミを自室に招いた。


ミミ

性別:女

種族:犬種

レベル:72

スキル[慈愛]、[寵愛]、[慈悲]、[料理術]、[魔法適性]、[幸運]、[白魔法特化]


「やっぱりな。」

「何がやっぱり何ですか?」


「ミミはシーラのスキルの一部を引き継いでいる。」

「シーラさんのスキルですか?」

「あぁ、俺もシーラの能力を引き継いでいた。」


「私なんかでいいんでしょうか。」

「?どういう意味だ?」

「私はナイト様のように強くありませんしシーラさんみたいに大人の女性ではありません。なのに、」

「いいんだよ。本来スキル、能力は引き継がれるもんじゃない。それが引き継がれているってことはシーラがミミを選んだ又はスキルがミミを選んだということになる。どちらにしろミミは選ばれたわけだ。」


「これのどこに不安要素がある?」

「私が選ばれた...。うれしいです!」


ミミは目に見えて喜んでいた。


(ありがとなルージュ。)


スキルは能力と違って唯一無二という訳ではない。

生活している間に発現することだってある。


けど、シーラのスキル[寵愛]、[慈悲]、[慈愛]はオリジナルにちかいスキルだ。

この点においてルージュがミミを選んだとみてまず間違いないだろう。


死んだ恋人のスキル、能力が俺とミミに振り分けられた。

中々皮肉が効いてるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ