47話 交戦
「悪い。取り乱した。」
「ナイトが取り乱すなんて珍しいですね。」
「まぁ、そういうこともあるさ。」
「とにかく、俺が夢で見たとおりなにかがこれから起こるんだ。けど、場所・時間・現象は全く分かっていない。ただなにかが起こるということしか分かっていない。」
「でも、なにかが起こるといってもそれは、もう明確なんじゃないかい?」
「多分、今回の組織関連だと俺は思っている。」
「私も同意見ですね。」
「なら、全員で王都に籠るか?」
「それだと、他から襲撃された時にすぐに動けないだろ。」
「となると、今までどおりの行動になりますね。」
「折角集まってもらって悪いが今回伝えたかったのは近いうちになにかが起こるということだ。」
「うむ。承知した。」
「おっけーい。」
「了解。」
「わかりました。」
「では、各自解散。」
この先何が起こるのか全く分からない。
こんな時こそ、ミミやシェリーの傍にいるべきだ。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
「おかえりなさいませ。ナイト様。」
うん、可愛い可愛い。
「風都って何にもないのね。」
「そりゃ隔離された領地だからな。」
「風都で生まれた者は15を過ぎると王都などがある本土に向かうそうですからね。」
「じゃあ、どうする?」
「出た、無計画。」
ハッハッハ。計画を立ててもその通りに動かないだろ。
「旅は無計画でいいんだよ。」
「無計画すぎ。」
話し合いの結果王都で上級生向けよクエストを受けることになった。
まぁ、武器も強くなったしレベルも前より大分上がっているため、余裕だと思うが。
ミミ達は先にクエストを選んでもらって俺はココの仕事場に向かった。
「ココはいるか。」
作業場の扉を開け放って足を踏み入れた。
「ご、ご主人様!今度は以下がなさいましたか?」
「いや、今日はお礼を言いに来た。」
「お礼ですか?」
「ミミ達の武器を創造級まで上げてくれただろ?だから、その礼だ。」
「そ、それは、当然のこととをしたまでですので。」
「遠慮するな。」
俺はココに近づくとココの頭を撫でた。
激しく動くココのうさ耳。
それほど喜んでいると解釈した。
「あの、ありがとうございます。「
「まったく、あまり無理はするなと言って置いたはずだが?」
「ご主人公様に喜んでほしくてつい、没頭してしまいました。」
「まぁ、それで満足で来たならいいけど。」
「これからも頑張ります。」
「念のためもう一度言うぞ。無理はするな。」
「........はい。」
なんだ今の間は。
ココがいいならいいけどさ。
ミミに礼を言った後はメアの所だ。
さっきあったばかりだが肝心なことを言い忘れていた。
「メア。この前はありがとうな。」
「上手く行きましたか?」
「あぁ、おかげさまで。」
「それは、良かったです。」
それから、俺達は談笑をした。
「遅い!」
「悪かったよ。」
メアとの談笑で時間がかなりかかってしまった。
「で、どのクエストを受けたんだ?」
「えーと。『樹海の調査』と『樹海のモンスター討伐』ね。」
「2つとも樹海だがなんかあったのか?」
「んー。わかんない。なんか貼ってあったからとってきただけ。」
「あ、はい。」
最近、というかこの世界に来てからトラブルばかりにあっているから警戒してしまった。
何にもないクエストなんて久しぶりだな。
いや、全てのクエストは元々そんなトラブルなんて抱えていないはずなんだが俺の運が悪いのかなんなのか...。
とりあえず俺達は樹海に向かった。
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時は少し遡る。
「『漆黒』は今現在風都に居ります。攻めるなら今かと。」
「流石、『サーヤ』仕事が早い。けど、どこで見たんだい?」
「風都にある廃屋敷の柱を調べていたのを私の使い魔が見つけたのよ。あと、本名で呼ばないで。」
「それは、すまなかった。で、どうするんだい?『ザラキ』」
「今から王都に向かう。王都に着き次第『ルージュ様』を解放する。」
「了解。僕は警戒にあたるよ。」
「私は『ルージュ様』が正式に起動するまで護衛します。」
「では、行くぞ。王都を血の海に沈めようぞ!」
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「ねぇ、ナイト。」
「なんだ。シェリー。」
「これってどういう状況だと思う?」
シェリーがこう言うのも無理はない。
今目の前で行われているのは捕食行動。
それだけなら、全く問題は無い。
それが、自然の摂理だからだ。
しかし、その捕食行動を人間がやっていたらどうなるだろうか。
俺達に気づくことなくイノシシの肉を貪る人間。
と、その時。
急に食べるのをやめて俺達の方を見てきた。
「こっち見んな。」
「キイェェェェェ!」
亡者は奇声を上げて飛びかかってきた。
俺はその場から後に飛び亡者の一撃を躱す。
「やっぱり、動きが単調だな。」
「ご主人様。彼らは恐らく操られているだけかと。」
「俺も同意見。」
多分、殺害と捕食程度の命令を受けている。
「てことは、近くに親玉がいるはずだよな。」
てことで、俺は[反響]、[索敵]スキルで辺り一帯を探った。
「見当たらない。全員警戒しといてくれ。俺の索敵に引っかからない。」
「どこにもいないの?」
「少なくとも半径1キロにはいない。」
「そんなことありえるのでしょうか?」
「半径1キロってことはこの樹海の中にはいない。ということですもんね。」
嫌な予感がする。
あの時...夢を見た時のように。
その時、メアの声が聞こえた。
『ナイト!今すぐ王城に集まってください。敵襲です。』
これを聞いた俺はミミ達に事情を説明して王城にとんだ。
「何が起こった!」
「ナイト。実は、謎の3人組が王都を無差別に攻撃しているのです。今現在住民を避難させ戦える者は交戦しています。そして、既に王城から西の居住区は更地になってしまいました。」
「ほかの連中は?」
「もう既に呼びかけ全員それに応じています。」
全員が集まるまで俺とシーラで凌ぐしかないか。
「俺が前線をあげる。できる限り兵を下がらせといてくれ。」
俺はメアの部屋のベランダから飛び出した。
屋根つたいに走って5分。
暴れているのは兵士?だった。
それと、指揮官らしき人物が3人。
『燃えろ。』
俺は、最上位の赤魔法を建物に群がる兵士目掛けてぶっぱなした。
「敵襲!屋根だ!屋根にいるぞ!」
今更気づいたようだが遅い。
『殲滅する。』
今度は俺の背後に無数の光の円が出現した。
光魔法唯一の攻撃手段。
『ホリーレイピア』
上空から降り注ぐ光の槍。
それは、躱すことも受け流すこともできない。
「王都に攻め込むからどんな強敵かと思えばこのていどか。」
「油断は禁物ですよ。ナイト。」
いつ間にか追いついたシーラが横にいた。
「それに、倒したのは三下ばかり1番警戒しなければいけないのはあそこの御三方ではありませんか。」
たしかに、あれだけの光の雨にうたれたはずなのに無傷で佇んでいる。
ザラキ
性別:男
種族:魔族
レベル93
スキル[斧術]、[体術]、[剛腕]、[覇気]
能力《絶対不可侵》
備考、《絶対不可侵》により一定量のダメージを無効化する。
サーヤ
性別:女
種族:人間
レベル85
スキル[隠密]、[投擲]、[索敵]、[夜目]
能力《首狩り》
備考、一定領域内の掃討。
カタル
性別:男
種族:狼
レベル68
スキル[気配遮断]、[逃走]、[回避]、[疾走]
能力《複製》
備考、《複製》により無機物のみ魔力の限り複製できる。
ゼクス達が到着まであと20分。




