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46話 廃屋敷と夢

風都観光2日目。


「今日は受けてきたクエストを受けることにする。」

「予定が決まってるのって珍しいわよね。」

「たしかに。」

「まぁ、ほとんどが気まぐれだからな。」


ということで俺達はは廃屋敷に来ていた。


『運搬船の護衛』と『劣化竜(ワイバーン)』のクエストは達成しているためあとは廃屋敷だけとなった。


「もう。見ただけでやる気が失せるわ。」

「ほんとに入るのですか?」

「大丈夫だって。ここは風都。余程の用がない限り誰も来ない。」


まぁ、俺としては化け物のひとつやふたついてくれた方が面白くていいんだが...。


俺達は廃屋敷の中に足を踏み入れた。


途端に舞う埃。


「こりゃ、誰もいないな。」

「そうですね。この埃の量だと最後に掃除したのはかなり前でしょうからね。」


けど、探索はする。

ただの好奇心である。


「うーん。なにかいないかなー。」

「変な事言わないでよ!それでなにか出てきたらどうするのよ。」

「なにか出てきたらナイト様を盾にして逃げます。」

「その後にこの槍で刺します。」


酷い扱いである。

ま、当然の反応か。


俺達が屋敷を探索していると不意に気になることを見つけた。


この屋敷は真ん中にかなり太い柱がありそれを囲むように各部屋が配置されている。


しかし、各部屋を合わせた敷地でもかなり狭い。


原因は真ん中のでかい柱。

あれがあることによって屋敷全体が圧迫されているように感じるのだ。


「さっきから何してんの?」

「ん?あぁ、この柱が気になってな。」

「ただの柱ではないのか?」

「だったらこんなに太い必要はないな。」

「では、何の為にこんなに太くしたのでしょうか?」


「さぁ、あの時みたいに何かを閉じ込める為かもしれないぞ?」


「ちょっと!怖いこと言わないでよ!」

「ナイト様の鬼!悪魔!」

「ナイトさん?ほんとに刺しますよ?」


うーん。からかうのは面白いが自分の命までは削りたくはないな。


「悪かったって。そんなに怒るなよ。」

「次やったらまた買い物に付き合ってもらうから。」


うげ、それは是非とも避けたい。

あの地獄はもうお腹一杯です。


しかし、さっきから柱を調べてはいるのだが全くと言っていいほどなにもない。


「試しに破壊してみるか?」

「そんなことしたら屋敷が潰れますよ。」

「そうか?さっき見て回ったが柱は所々にあったしこれを破壊しても問題ないと思うが。」


「じ、じゃあ今回はなにもなかったということで帰りましょ。」

「そうするしかないか。」


ということで俺達は撤退することにした。


帰り際

「シーラ気づいてたか?」

「えぇ、気づいていましたよ。」

「え?なになに?」


「あの屋敷に誰かいた。」

「具体的には2階の角部屋。」


俺はそこから何者かが覗いていると感じたのだ。


「ナイト。」

「ナイト様」

「ナイトさん?」


「これは、ほんとだ。だから、先にシーラにも確認しただろ。」

「何者かがこちらを監視していましたよね。ずっと視線を感じていました。」


「やばい、今になって鳥肌たってきた。」


「しかも、その視線は俺達が柱を調べはじめてから感じたものだ。」

「今まで私達には関心がないようでしたけどあの柱を調べてから興味を持ったようですね。」



「まぁ、あの屋敷なら掃除すれば住める...。」


「「「却下」です。」」


ただの視線なのに...ちくせう。

ま、気になるのは俺も一緒だ。


あの視線は何だったのか。

何者なのか。



風都でクエスト達成の報告をして俺達は宿に戻った。


(最近は精神的に疲れるな。)


それは、謎の組織のことだったりシェリーとの関係のことだったりとなれないことのオンパレードだった。


おかげで精神は疲れきっている。

そして、耐えきれず俺は深い眠りに落ちていった。



(ア.....ん。コア...。コアくん!)

誰か俺を呼んでいる?


いや、待てよ。俺を『コア君』よ呼ぶのは俺の人生で1人しかいない。


ルージュ!


(あ、やっと気づいた。)

なんでルージュがここに?

(コア君が私との約束守ってるかな〜と思って。)

ちゃんと守ってるよ。

(みたいだね〜。私とは結婚しなかったのに…。少しいじけちゃうな。)

それは、すまん。俺がチキンだっただけだな。

(まぁ、いいや。コア君に伝えたいことは『気をつけて』ってことだけだよ。)

どういうことだ?

(それは、私からは言えない。と言うよりは言葉にできない。)

わかった。気をつけるよ。


そこで、俺は目を覚ました。

「なんだ、夢か…。」


少しガッカリする自分と夢で良かったと喜んでいる自分もいる。



せっかく、諦めたのに今ルージュが実は生きてましたとかいう展開になったら俺はどうするのだろうか。


まぁ、それは、その時の俺に任せよう。


問題はルージュからの警告。

『気をつけて。』


一体何を気をつければいいのか…。

そもそも、あれはルージュなのか?

コア君と呼んだらルージュという確証はない。


混乱するな。


今のところ脅威となっているのは帝国とそれに関係しているかもしれない謎の組織だ。


しかし、帝国とは平和にやっているしなにかトラブルが起きたとかそういうのは聞いていない。


だからといって組織の方も全く動きを見せない。


これで、何を気をつければいいのか…。


「ナイト。起きてる?」

「あぁ、起きてるぞ。」

「珍しい。朝ごはんできるよ。」

「わかった。今行く。」


俺はルージュからの警告を頭の片隅に置いておくことにした。


「俺は1度王都に戻る。」

「いきなりね。なにかあったの?」

「なんとなくだ。まぁ、俺特有の勘というやつだ。」


いや、実際は勘なんかじゃない。

予言といった方がいいか。


警告があった以上警戒しておくに越したことは無い。


俺は朝食を食べ終わると『ゲート』で王都までとんだ。



「メアはいるか。」

「ナイト。女性の部屋に入る時はノック位はしてください。」

「それは、すまん。じゃなくて、今すぐほかの連中に招集を見せないかけてくれ。」

「なにか進展があったのですか?」

「それは、集まったら話す。」


そして、数分して『二つ名』持ちが王城に集まっていた。


「呼び出したということはなにか進展があったということであっているか?」

「まぁ、あったことにはあったけど、これは正直俺の個人的なものだからあくまで参考程度にしてくれ。」


「俺は今日の朝夢を見たんだ。そこで言われた『気をつけて』ってな。」

「それは、ただの夢ではないのですか?」

「普通ならそう考えるが今回は夢に出てきた人物が問題なんだよ。」


「夢に出てきたのは俺の昔の恋人『ルージュ』。けど...。」

「たしか、ルージュさんは昔に死んでしまわれたのでしたよね?」

「そうなんだ。死んだ人間が夢に出てくることは珍しくない。けど、今回は俺は信じたい。」


「そうか。だから、俺達を招集したのか。」

「あぁ、気分を害したようなら今のは忘れてくれて構わない。はっきり言って今の俺はどうかしている。」


死んだ人間が生き返ると信じる程俺は子供ではない。


と、その時俺の手はそっとなにかに包まれた。


俺が顔を上げるとシーラがそこにいた。


「言いましたよね?私はナイトに従うと。」

「たしかに俺も言ったな!」

「カナもいったー!」

「僕も言ってしまったね。」

「私も言いましたね。」


「私達はナイトを信じているのです。例えそれがナイトの戯れ言だとしても私達は信じますよ。」

「そうか。ありがとう。」


俺はまだまだ未熟者だ。

みんなの支えがないと何も出来ないどうしようもないやつだ。


けど、そんな奴でも守りたいものはある。

俺はそれを守り通すだけだ。

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