43話 幸せと気持ちの変化
ミミとシェリーの買い物に付き合ったわけだが
とにかく長い!
1つの店に1時間ぐらいかけるものだからこちらとしてはかなり暇だ。
そして、今はミミとシェリーだけでなくカトレアやシアも合流している。
「ご主人様、ただいま戻りました。」
「ご主人。ただいま。」
「ナイトさん。ただいま帰りました。」
「主。今戻った。」
こうして、全員が集合して再び買い物は再開された。
考えてもみてほしい女の子2人でも普通に4時間くらいかけられるのに人数が増えたらどうなるか。
答えは簡単。
余計に時間が掛かるだ。
おかげで俺は、店の外のベンチに座ってぼーっとしている。
隣にはカトレアだけいる。
それ以外は中で楽しく着せ合いっこをしている。
楽しそうでなによりだ。
「そういえばカトレアはどんな武器をつくって貰ったんだ?」
「私は蒼紅刀です。」
そう言ってカトレアは鞘から刀をだした。
蒼紅刀
レア度:創造級
スキル[青魔法強化]、[赤魔法強化]、[不壊]
まさか、ココ揃えた武器全部創造級なのか?
「ココさんは、全員分創造級を揃えていました。それ故に受け渡しが遅れたと言っておりました。」
「無茶はするなと言って置いたんだがな。」
「ご主人様の為なら無理するのも分かります。」
まぁ、カトレアなら俺が不快な思いをしたらその関係した者全員殺しそうだもんな。
ちなみに、受け取った全員の武器はこんな感じ。
シア
名前:ダラーズ
種類:ダガー
レア度:創造級
スキル[疾風]、[緑魔法強化]、[不壊]
ララ
名前:トリーシューラ
種類:槍
レア度:創造級
スキル[雷神]、[黄魔法強化]、[不壊]
イリス
名前:サーモライザー
種類:盾剣
レア度:創造級
スキル[火神]、[赤魔法強化]、[不壊]
なるほど。
これで、ミミとシェリー以外の武器は創造級となった。
「ご主人様はなぜ新調なさらなかったのでしょうか?」
「それは、この剣に思い入れがあるからだ。この剣は元は意思を持っていたんだ。」
「元ということは今は...。」
「今は多分寝てるか死んでる。こいつはかなり気まぐれでな。俺がまだ修行の身だった時ものすごくうるさかったんだ。「それじゃー最強なんて程遠い!」とか「我を使うなど100年はやい!」だとかとにかくうるさかった。」
「それが今となってはいい思い出だ。」
「ご主人様は帰りたいとは思わないのですか?」
「思わないな。」
カトレアの問に俺は即答した。
「理由を伺ってもよろしいでしょうか?」
「それは、ミミ達がいるからだ。」
「?どういうことでしょうか?」
「前の世界にも少なからず残してきたやつはいる。けど、守るべき相手かと言われれば答えは『NO』だ。残してきたやつらは少なくとも自衛は出来るし敵に襲われて死ぬようならとっくに死んでる。」
「なら、俺が守るべき相手は誰か。それが、ミミやカトレアなんだよ。」
「私達がですか?」
「あぁ、ある約束でな。『絶対に自分の似の前を出さないで。強くなって大切な人を守って。』っていう約束をしてな。それを、果たそうとしているだけだな。」
「そうなのですね。」
「そうなんだよ。」
俺とカトレアの間に何とも言い難い空気が流れ始めた時それを、ぶっ飛ばすかのような能天気な声が聞こえた。
「ナイト!これ超可愛くない!?」
シェリーが店の中ギリギリでなんか服を見せてきている。
「まぁ、俺は今の幸せが続けばそれでいいと思っている。幸せか強さかと聞かれたら即答で幸せを選ぶな。」
「ご主人様らしいですね。」
カトレアの言葉を最後に俺は、シェリーの元に向かった。
どの世界でも、『強さ=幸せ』とはならない。
結局、買い物は最後まで続きシェリー達が満足したのは日が完全に落ちたあとだった。
その夜。
「ナイト様。少しお話いいですか?」
俺が今日1日の疲れをとっているとミミがドア越しに聞いてきた。
「どうした?」
俺は、ミミを自分のベットに招き入れた。
今は2人で並んでベットで寝ている。
「ナイト様の過去についてまたお聞かせ願えますか?」
「.....あまり面白いものじゃないぞ。」
「構いません。それでもナイト様のことは知っておきたいのです。」
「わかった。けど、1度話してる話題が多い。」
「俺には100年以上前に恋人がいた。けど、死んでしまった。俺の魔力が足りないせいでな。あの時今の魔力があったらどうなっていたんだろか。と今も考える時がある。そんなこと考えても無駄なのにな。」
それから俺はルージュを失ってからをミミに話した。
「で、敵国で大暴れしたというわけだ。」
「ナイト様はどうやって立ち直ったのですか?」
「時の流れってやつだ。ルージュが死んでから2・3年は魂が抜けたみたいだっていわれたな。」
「大切な人を失った心の穴はそう簡単には埋まらなかったんだよ。」
「今はミミがいるからその心の穴を埋めてるんだ。」
「私がナイト様の心の支えですか?」
「まぁ、そう言い換えてもいいな。」
俺がそう言うとミミは顔を真っ赤にして俺の胸に顔を埋めた。
「なんだ、恥ずかしがってるのか?」
「そ、それは、そうですよ。好きな人の心の支えになれるって嬉しいものですよ?」
ミミがものすごく愛おしくなった。
顔を赤らめて上目遣いの2コンボはそういう耐性が低い俺には効果抜群だった。
俺は無意識にミミを抱きしめていた。
朝。
カーテンから差し込む日の光はミミの可愛さをより高めている。
「おはようございます。ナイト様。」
「おはよう。ミミ。」
「朝食のご用意をしますね。」
そう言ってミミはキッチンに向かっていった。
「ちょっとナイト!ミミと夜中、何してたの。」
ミミと入れ替わりに入ってきたのはシェリーだ。
「別に昔話を聞いてもらっていただけだ。」
「ほんとに〜。」
「なんだよ。嫉妬してんのか?」
「べ、別に...。そうよ。嫉妬よ。」
俺はここでも虚をつかれた。
シェリーならいつも通り「別にそんなんじゃないわよ。」と否定するかと思ったが今回は肯定してきた。
「今日は素直だな。」
「今日はってなによ。私はいつも、素直よ。」
シェリーが素直ならこの世にツンデレという言葉は無くなるな。
「で、ほんとにミミとはなんにもなかったのね。」
「なんもねぇよ。」
そんなに怪しいかね。
シェリーは「そう。」と言って俺の部屋を出ていった。
なんなんだ?朝から。
シェリーが俺を好きなのはもう言われたから知っている。
シェリーは嫉妬と言った。
!なるほど。シェリーはミミに俺を取られるのが嫌なのか!
多分そうだよな?
けど、今更になって思い出した。
俺は、婚約者を2人いる身だった。
ま、そん時は何とかなるだろ。
『適当に考えて即断』
俺の取り柄でもある。
という無駄なことを考えて俺は、キッチンに向かった。