41話 根城と刺客
「さて、久々にクエストでもやるか。」
「どんなクエストを受けるつもり?」
「幽霊屋敷とか?」
「「「却下」です。」」
おぉ、お化けとかダメ系の3人から却下されてしまった。
ちくせう。
「なら、どうする?」
「なにか討伐系のクエストにしたらどうでしょう。それなら、お化けは出ませんから。」
「そうね。そうしましょ。」
ということでギルドで、「オークの根城を強襲せよ」というクエストを受けることにした。
あ〜スライム屋敷が〜。
次はそのクエストに行こ。(確定)
「で、なんでオーク討伐なんだ?」
「最近オークによって旅人が襲われたと聞きました。」
「じゃあ。なんで、こんなに報酬がいいんだ?」
「それはオークの根城だけあって数が多いからじゃない?」
考えてみればそうか。
普通からしたらオークの大群は厄介なのか。
いつも、広範囲焼却だからわからないわー。
「じゃ、取り敢えず向かうとするか。」
「おー!」×7
ということで、森。
オークの根城は森の中にあって見つけるのだけでも一苦労だ。
まぁ、[索敵]スキルで探せば一発だけど。
「ここが、根城か。思ったよりボロボロだな。」
オークの根城はどう見ても廃城だ。
所々崩れてるし苔生えてるし血がこびりついてるし。
「そりゃオークが建築技術なんて持ってるわけないわよ。」
「それよりかは、戦闘技術が欲しいだろうからな。」
にしても妙だ。さっきから[索敵]・[反響]スキルを使ってはいるが一体も姿を捕らえることが出来ない。
ここ以外に建造物はない。
廃城の奥深くまで探っているが姿どころか死体すら見当たらない。
「どうかしましたかナイト様?」
「オークの気配がない。」
「え?でも、ここが分かったのはナイトの索敵でしょ?」
「訂正、オークの気配が消えた。」
こっちが正しい。
俺達が近づくまでは約30体前後の数がいたが今はいない。
消えたのだ。
「確かに、ご主人様の言うとおりどこにもません。」
その時背後から新たな気配が接近してきた。
「後ろだ!全員伏せろ!」
全員が伏せた直後、辺りの木が横一直線に切られた。
俺はすぐに相手を眼だけで追った。
敵は一人。
さっきから動いているせいで姿は目視できていない。
得物はダガー。
右から殺気。
俺は剣で弾くのではなく首めがけて振られた刃を躱して前に投げた。
そいつは、手を地面について受け身を取って俺達から距離をとった。
「流石は≪黒白の双剣士≫。あれを躱すとは意外だった。」
俺達の前に現れたのは暗殺者だった。
身長はシアと同じくらい。
ただし、かなり露出度が高い服を着ている。
サーヤ
性別:女
種族:人間
レベル:78
スキル[隠密]、[索敵]、[夜目]、[投擲]、[拷問耐性]
能力≪首狩り≫
備考、≪首狩り≫により一定領域内を一掃できる。
「なんで、俺達を襲った。」
「私たちの事を嗅ぎまわってるって噂だからね。嗅ぎ付けられる前に消しとこうかと。」
「それで、失敗したと。」
「うん。本当はそこの犬耳の子を攫おうと思ったけど君が全く離れないからできなかったんだよ。」
「当たり前だ。攫われる危険があるのはミミかシェリーだ。なら、そいつらのそばにいるのは常識だろ?」
それに攫ったらすべての手を尽くして探し出す。
大体の場所が掴めたら範囲攻撃で炙り出す。
「うーん。今日のところは帰ろうかな。≪黒白の双剣士≫にも会えたし。」
『命令そこから動かないでください。』
相手が動こうとした瞬間、後ろから凛と澄んだ声が聞こえた。
「なんで!動かない。」
「それはそうですよ。神の命令は絶対です。」
笑顔で恐ろしい事言ってるよこの神は。
「さて、貴方方の目的は何ですか?命令喋ってください。」
「わ、私達の、も、目的は死者の、蘇生。あの方はま、だ完全じゃ、ない。」
「あの方とは誰ですか?」
シーラが言った瞬間、サーヤはいなくなった。
例によって消えたのだ。
「逃げられちゃいました。」
可愛らしくペロっと舌を出すがさっきまでのことを一部始終見ていた俺達は誰も可愛いとは思わなかった。
「どうしたんですか?皆さ固まって。」
「いや、さっきのを見てたら普通に笑えないって。」
あそこで笑える者は無神経か命知らずのどちらかだ。
「あれくらい普通ですよ。まだ、優しい方です。」
マジかよ。
笑顔だったけどやってることはえげつないんだよな。
「ま、まぁ情報が手に入ったんだから結果オーライ?」
「そうだな。そういうことにしておこう。」
「で、死者蘇生をやろうとしていると。てか、なんで消えたし。シーラの能力は効いたままだしなんか抜け道があったとか?」
相手は魔法を唱えるのは無理だし動くこともできない。
「おそらく相手側から召喚されたんだとおもいます。」
「召喚?」
「はい。召喚は特定の対象を呼び出す、召喚魔法とランダムに呼び出す召喚魔術が存在します。しかし...」
「召喚魔法はあまりの効率の悪さに誰も使わなくなったと聞いたぞ?」
「そうなんです。イリスさんの言う通り召喚魔法は膨大な魔力を必要とします。今の私の魔力でもギリギリ成功するかどうかです。」
「なるほど。敵はそんな使いにくいものを態々使ったと。」
「それは不自然ですね。」
「いや、それほどあいつは重要な情報を握っていたと見た方が自然だろ。」
「それだと、なんで、そんな重要な人物を敵の陣中に向かわせたのっでしょうか?」
「それは、さっきもあいつが言ってたようにミミかシェリーを攫うつもりだったんだろ。」
「けど、ナイトがいたから失敗したと。」
「そういうことだ。相手もシーラの能力までは計算外だったようだしな。」
「ということは私の能力も知られてしまいましたか。」
「あぁ、口振りから察するに俺のも知られてるし交戦したゼクスのもいっしょにいたカナのも知られてる。」
「知られないのはラートとマリだけですか。」
まぁ、あの二人のも知られているとは思うがな。
「取り敢えず、クエストは達成不可能として報告するしかないな。」
「そういえば、オーク達はどこに行ったんでしょうか。」
「大方。蘇生の実験体として回収したんだろ。それなら、あの大量殺戮専用といった感じの能力をもった敵がいてもおかしくないからな。」
俺達は一旦ギルドに戻った。
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「申し訳ありません。犬獣人と弓使いの捕縛に失敗してしまいました。」
「君が失敗するなんて珍しいね。」
「それは、≪黒白の双剣士≫以外にめんどくさい相手がいたからよ。」
「『純白』だな。」
「左様でございます。『純白』が使う技は敵の身動きを封じるもので強制的に相手から情報を聞き出すものでした。」
「まるで生きる拷問だね。」
「それのせいで少しだけ相手に情報を渡してしまいました。」
「まぁ、場所さえばらさなきゃ大丈夫じゃない?」
「言わされたのは目的だけよ。それ以降は聞かれたけど召喚魔法で戻してくれたから喋ってないわ。」
「あの反応は君のものだったんだね。」
「申し訳ありません。捕縛に失敗した挙句敵に情報を渡してしまいました。」
「よい。誰しも失敗はあるものだ。それに今回は非常事態だった。あの方もお許しになられる。」
「ありがたきお言葉。」
「して、『カタル』。次の策はないのか。」
「うーん。人質もダメとなると地道にこっそりとやるしかないんじゃないかな。一応帝国貴族の手助けはあるにしろ帝国自体は敵だからね。」
「あんたの能力でどうにかできないの?」
「それは、無理だよ。僕の能力は≪複製≫。つまり、無機物を魔力が許す限り無限に生み出す能力だからね。」
「何よ。使えない。」
「今回ばかりは仕方ないことだ。各自隠密行動に徹しろ。これぐれも≪黒白の双剣士≫には見つかるな。これは、あの方直々の願いでもある。」
「はっ。」
「了解。」




