36話 武器製作と招集
迷宮を攻略した次の日。
俺達は予定通り装備を作ってもらいにきた。
「どうする?みんな装備を新調する?」
「いえ...私は別に..。」
「この際全員新調しちゃえよ。」
「ご主人様がそういうなら従います。」
ということで全員でココの元を訪れた。
「久しぶりだな。ココ。」
「ご、ご主人様!どうしてここに?」
「皆の武器を作って貰おうと思って。今大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です」
「作って貰いたいのは、弓、盾、片手剣、短剣、槍。だな。期間は問わない。いけるか?」
「はい。みんなでやれば1週間ぐらいで出来ると思います。」
皆というのはココのように[武器制作]、[防具制作]のスキルを持っている子を買ったとユミルから前に連絡がありココをリーダーに武器などを作るように指示はしていたが5つの武器を1週間で揃えるほどの人手がもういるのか...。
「わかった。出来たら個々で呼んで感触などを確かめてくれ。」
ちなみにココが作る武器は全て神話級だ。
つまり、ココは鍛冶師のなかでもトップクラスの腕をもつ。
リーフ照会に並ぶ武器は神話級の物がほとんどで珍品好きがこぞって買いに来るらしい。
「ナイト様は新調なさらないのですか?」
「俺はこいつがあるからいいかな。」
そういって俺は二本の魔剣を出した。
「きゅー!これがご主人様が使用している剣ですね!カッコイイです!凄いです!」
俺が魔剣をだすとココがいきなりエキサイトしだした。
「は!ご、ごめんなさい。私自分が作れる剣より凄い剣を見ると興奮しちゃうんです」
ココは顔を真っ赤にしていた。
「まぁ、この剣はこっちの世界の物じゃないからな。興奮するのもむりはないと思うぞ。」
「はうぅぅ。」
ココの兎耳が折れたところで俺達はココの仕事場を後にした。
シェリー達は街で買い物をすると言っていた。
俺は後で合流することを伝えて王城へ向かった。
「悪い遅れた。」
「いえいえ。急な招集で申し訳ありませんでした。」
俺が王城につくと顔見知りのラート、マリ。
初顔合わせのムキムキ筋肉野郎と静かに椅子に座る女の人と元気そうな見た目の女の子がいた。
「君がナイトか!これからよろしく頼むな!あ、俺はゼクスだ!」
そういってバシバシ背中を叩いたのは筋肉の塊、ゼクスだった。
「君が新人君か~。私はカナ!よろしく!」
そういって俺の手を握ってブンブン振ったのは活発に足を生やしたような生き物、カナだ。
「お初にお目にかかります。私はシーラ。以後お見知りおきを。」
静かに挨拶をしたのはシーラだ。
「彼らは君と同じ二つ名持ちの人間だよ。ゼクスが『黄金』、カナが『深緑』、シーラが『純白』だね。」
ゼクス
性別:男
種族:魔族、吸血鬼。
レベル:98
スキル[剛腕]、[体術]、[吸血]、[根性]、[覇気]、[夜目]
能力≪吸血鬼の攻撃≫
備考、≪吸血鬼の攻撃≫は発動後相手は一切の殺傷が出来なくなる。
カナ
性別:女
種族:精霊族
レベル89
スキル[精霊術]、[精霊使役]、[疾風]、[純粋]、[共鳴]
能力≪精霊の加護≫
備考、≪精霊の加護≫により仲間のステータスを大幅アップ。
シーラ
性別:女
種族:神族
レベル:120
スキル[慈愛]、[寵愛]、[慈悲]、[静寂]、[神気]、[神眼]
能力≪神の命令≫
備考、≪神の命令≫により命令された者は動けなくなる。
さすがと言うべきか神族の能力が強力すぎる気がする。
まぁ、人のことは言えないがな。
「俺はナイト。これからよろしく。」
「自己紹介はこの辺にしてなんで今回俺達は招集されたんだ?」
「それは、この王国内で謎の組織が暗躍しているとシーラが感じ取りました。」
「いえ、正確にはナイトから感じました。おそらくその組織の一員と接触があったのでしょう。」
「それは、いつだ?」
「二週間前ほどです。それっきりナイトからは感じられなくなりました。」
二週間前というと廃村での出来事だな。
「それで、今回2人1組となって調査にあたって貰いたいのです。」
「それは、構わないが誰と誰がペアになるんだ?」
「それは、もう決めてあります。」
結局、[ゼクス・カナ]、[ラート・マリ]、[ナイト・シーラ]
という組み合わせになった。
俺達は魔都、風都、王都を担当した。
ちなみに、ラート達が火都、水都
ゼクス達が帝国の調査に向かっている。
「よろしくお願いしますね。ルシファー。」
あ、やっぱりばれてるよね。
俺の血に交じっているのは龍と【神】だ。
それを、[神眼]スキルで見られてしまったのだ。
純血の[神眼]の方がどうしても性能はいい。
で、ルシファーというのは前の世界での俺の神名だ。
「やっぱりばれていたか。」
「えぇ。一目見たときは半信半疑でしたがルシファーと呼んだときの反応で確信しました。」
「じゃあ、なんでみんなの前で言わなかった。」
「隠しているのはわかっていましたから。隠しているなら態々ばらす必要もないかと。」
優しいのか俺で遊んでいるのかわからないな。
「突然ですが、私は人と人との関係を見ることが出来ます。」
「あぁ、メアから聞いている。」
「それで、ナイトは今誰に恋をいているのですか?」
「は?」
いきなりなにを言い出すかと思えば。俺が誰かに恋?そんなわけあるか。
「私だって女の子ですよ?他人の恋路にも興味があります。」
「1000歳を軽く超えて女の子は無理あるんじゃないか?」
「年齢は飾りです。偉い人にはそれがわからないのです。で、誰が好きなんですか?」
「神眼で見ればいいだろ。」
「神眼はそこまで有能ではありません。さぁ、教えてください。」
なんで、俺は見た目物静かそうな神から好きな人を教えろと迫られているのだろうか。
「そのうち教えるよ。だから今は少し黙れ。」
今俺達が歩いているのは王城から出て真っ直ぐの道云わばメインストリートだ。
さっきからすれ違う人の目線が痛い。
「龍神のくせに中々に鶏ですね。」
「ほっとけ。」
(そういえば、前にも同じやり取りをルージュとしたっけ。あの時も、好きな人は?とかずっと聞かれれて大変だったな。)
「どうかしました?」
「いや、仲間はどうしてるかなって。」
「今からそのお仲間さんに会いに行くんですよね。」
「ん、あぁ、そうだな。」
「設定はどうします?私は愛人のふりでもすればいいですか?」
「お前は俺に恨みでもあるのか?人をいじめて楽しいか?」
「特にナイトには恨みはありませんよ?けど、人をいじめるのは楽しいです。」
うわぁ、ぜってードSだ。
残念ながら俺はドⅯではないためいじめられても喜ぶことはできない。
「設定とかはいいから、普通に『純白』として紹介する。じゃなきゃ変な誤解が生まれる。」
「わかりました。愛人役ですね。任せてください。」
「今のどこをどう解釈したら愛人役になる?あと、得意げに胸を張るな。」
「どこを見てるんですか。いやらしですよ?」
「いやらしいのはお前の頭だよ。」
今日から一緒に仕事をするのに今から今後が心配になった。




