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35話 『氷河世界』とルージュ

亀は俺たちを認識すると咆哮と共に紫電を走らせた。


『邪魔だ!』

俺のスキル[間接技無効]。

これは、打撃、斬撃、突撃、以外の攻撃を無効するスキルだ。


相手の魔法が全て最上級魔法ならどんなに強力な魔法でも無効化出来るこのスキルの出番だ。


今までは魔法を撃たせる前に倒していた。

正直死にスキルだ。


攻撃される前に倒せば無効とか関係ないからな。



雷が効かないとわかった瞬間、今度は突風が部屋中に吹き荒れた。

しかも、ただの突風じゃなくて斬れる風だった。

風が通る度に服を切り裂く。


けど、男が服など気にするはずもなく俺は次々に亀に切りつけていく。


あ、女性陣はミミが作った防御壁の中にいます。

服が破けると集中できないとか。

まぁ、俺もできないから別にいいけど。


風が止むと再びカトレアとシアが飛び出した。


この二人のコンビネーションは足並みが揃っていてかなり強力だ。

まず、カトレアが相手に近づき攻撃、その直後カトレアの背後からシアが飛び出し相手を切りつけて防御を崩す。


といった戦術をとっていてここに来るまでも何回も見せてもらった。


しかし、それが有効なのは相手が人間とか自分と同サイズの相手だけだ。


今回の相手は山だ。

シアの攻撃力ではまともにダメージが入らない。


正直手詰まりだ。

相手の攻撃は常に全体攻撃でまともにくらえば即死級の攻撃で斯く言うこちらは、


前衛5人

中衛1人

後衛2人


というかなりバランスがとれたパーティだが今回は格が違い過ぎた。


ここまでは()()()()()()()()戦術の場合だ。



俺は我慢できなかった。


『顕現せよ。白き魔剣。白刃剣聖。名をエルシオン。』


俺は二本目の剣を出して亀に突っ込んだ。

次々と交差する黒白の魔剣。


俺は前に放った『神殺し(キル)』を放つ。


『ウォォォォォォォン!』


亀は統合スキル、[風林火山]を発動させた。


[風林火山]

赤、青、緑、黄、黒。の白以外の全ての魔法を統合させた魔法を放った。


亀って頭悪かったけ?

最初に魔法を消したのを忘れたのだろうか?


それが、世界を滅亡に追い込む魔法であろうと魔法である限り俺は消せる。


『邪魔だ。』


俺は発動前の魔法陣を砕いた。


『ウォォ?』


意味が分からないと言うふうに唖然とした顔の亀。

(といっても表情なんか分からないがな。)


「馬鹿だなー。最初にお前の魔法は潰したばっかだろ。万年種とかありながら実は経験不足のゴリ押し野郎だったか。」


ちなみに俺も人のことは言えない。

だって、ゴリ押し楽じゃん。


どうせ亀はここに来た冒険者達をさっきの魔法で全員片付けていたんだろうな。


と、その時亀の背中にある木から弦が伸びてシアとカトレアとリーファを背中の山に引き込んだ。

まぁ、どんな魔法を使おうが消せるから大丈夫だけど。


しかし、亀がした行動は魔法ではなく自然現象だった。


つまり、背中の山が噴火した。ということだ。

となると下の方にある木々が燃え始める。


俺は火口付近まで飛翔、そのまま魔法を放った。



『大人しくしてろ。』


俺が一言、そう呟いただけで噴火していた火山は凍った。


俺のオリジナルスペル

『氷河世界』


溶岩すらも凍てつかせる最上級魔法のひとつだ。

しかし、その威力故に連発はできないし範囲も広大だ。


俺は蔦を切ってシア、カトレア、リーファを救出。


「さて、これで終わりだな。」

「え?まだ、あいつ生きてるわよ?」

「それは、今だけだ。」


今まで攻撃していた部分は亀からしてみれば外殻、つまり、鎧部分だ。


それで、亀との交戦が始まってからミミには青魔法で亀の同じ所を攻撃するように指示をしていた。


それで、ようやく外殻が剥がれて皮膚まで届いたという。

その瞬間にカトレア達が引きずり込まれた。


たとえ堅い鎧に包まれていようと寒さには耐えられない。

そりゃ多少は暖かいかもしれないがそれでも、体温は徐々に奪われる。


今の亀はそういう状況だ。

鎧を一部剥がされ体を温めていたマグマも凍らされた。

外からも中からも冷える。


実際亀はさっきから動いていない。


「私への指示はそういう意図があったのですね。」

「まぁ、出来るかは分からなかったけどな。」

「慧眼ですね。」


そんなことは無い。

実際、ほとんどが賭けだった。

今回はたまたまその賭けに勝っただけだ。


「手頃とは聞いていたがまさか最深部に山が出来てるとは思わなかったな。」

「恐らくこの迷宮に溜まる魔力や生成される鉱物を蓄えこんだ結果だと思われます。」


まぁ、機動性を考えなくていいなら守りを徹底した方が勝ちやすいからな。



「とりあえず、帰るか。あーリーファはどうする?」

「私はもう少しこの迷宮を探索したいと思います。」

「そうか。わかった。今回はありがとう。」

「いえ。私こそ面白いものを見せてもらいましたから。それでは、私は行きますね。」


リーファはもと来た扉から出ていった。


閑話休題。


「迷宮というからもう少し強い敵を予想していたんだかな…。」

「あれでも強い方よ。あれを瞬殺出来る方が悪いのよ。」


そんなー。手加減するの大変なんだよ。


「でも、良かったのですか?」

「?何が?」

「その、二刀流をリーファさんに見せてしまっても。」

「まぁ、リーファが敵でも大丈夫だろ。まだ、隠してるスキルはあるし能力もある。つまり、切り札はまだ出してないんだよ。」


前にも言ったが俺の能力、スキルの中には街1つを軽く消し飛ばすものもある。

二刀流は確かに強力だがそれは、あくまで最低ライン。


前の世界で生き抜くにはもっと強くなきゃいけなかった。

二刀流が最大火力なら俺はとっくの昔に死んでいる。


「今日は疲れたな。明日は少し休むか。」

「やった!それで、どこ行く!」


シェリーよ。人の話を聞いていたか?

俺は『休む』と言ったんだぞ?『遊ぶ』とは言ってないぞ?


「そうだな...今回の戦いで少し装備が心許ないことが発覚したから装備を見に行きたいのだがよろしいかな?」


そう言ったのはイリスだ。

今回の戦いでイリスはミミとシェリーを守る役に徹して貰ったがやっぱり辛いらしい。


「そうね。私も愛用のこの弓じゃまともに攻撃が通らなかったのよね。」

「武器依存だと大変だな。」


俺の場合、ステータス依存だから武器はなんであっても変わりはしない。


ということで明日みんなで装備を整えることになった。


まぁ、俺は別に行かなくてもいいがシェリーに戦闘のベテランがいた方がいいと言われ仕方なく付いてくことになった。


戦いが終わったばかりなのにまた戦いのことを気にするのか。


昔の俺を見ているようだ。


前は戦いに終わりなどなく常に戦っていた。

それは、自軍の兵増強であったり敵国との戦闘であったり様々だ。


それでも、癒しはあった。

『ルージュ』

彼女がいてくれたから頑張れたというのもあるんだろうな。


前に独りと言ったことがあったがそれは、ルージュが死んでからでルージュが生きている頃は常に俺の家にルージュがいた。


いつも、帰るとフェルテンと一緒に「おかえり」と言ってくれた。


ま、俺の昔話はさておいて明日、買い物で連れ回されることが判明している。

途中でヘタレないように今日は早めに寝よう。


そう俺は胸の中で誓った。


(ルージュ。俺は『約束』を果たせているか?)

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