32話 解決と『あの方』
あけましておめでとうございます!
俺はケースに近づいた。
「よぉ、アンデッドの親玉さんよ。」
「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」
俺以外の10人から驚きの声が上がった。
「考えてもみろ。ところで調査隊が来たのはいつだっけ?ラート。」
「確か、二週間前だね。」
「じゃあ、二週間の間。こいつはこのケースの中にいたことになる。なら、食料はどうしてたんだ?ということになる。」
「それは、ゾンビを操っている犯人が与えていたんじゃないの?」
「それだったら、最低限の食事で済ませるだろ。だったらこんなに血色はよくない。」
「そもそも、人間をゾンビとして動かすだけでも相当な魔力を要するのにそれを遠距離からとかそんなことが出来るんだったら、とっくにそいつ単体でバジリとかアルベスタとかはすでにやられてる。」
「ということはだ。」
そこにいてもなんら不思議でない人物。
ここにきた冒険者などを見ることが出来る人物。
この村の情報を知っている人物。
「この三つに当てはまるのは、唯一の生き残りのあんたしかいないんだよ。」
「なるほど、被害者がじつは、犯人ってパターンだね。」
「ちょっと待って!私があのアンデッドを?ふざけないで!」
「俺は大マジだ。それしか、考えられないんだよ。」
「食事だってゾンビ共に取ってこさせるか、他にも生き残ってるやつがいてそいつを使ってるのかもしれないが。まぁ、俺の索敵に引っかからなかったといいうことはこのケースも認識阻害でもついているんだろな。」
「そ、そんなのは憶測じゃない。」
勢いがなくなってきたな。
あと。もうひと押しか。
「なら、決定的な証拠を見せよう。『千里眼』」
『千里眼』
普通は遠視に使われるが、実際は奥が深かったりする。
メアから聞いた話だが『純白』は人と人との関係が分かるらしい。
...なんか、怖い。
俺の場合は不可視の物を可視化する程度だ。
「なにこれ?線?」
「ナイト様。これは?」
「今見えている線は魔力跡だ。」
『魔力跡』
それはかなり高い魔力を有する者には見えると言われているものだ。
まず、一般人には見ることのないものだろう。
「その魔力跡はどこに続いてる?」
「ゾンビから被害者の元へ続いています。」
「と、言うことはあんたは、そこから、ゾンビ共を操っていたんだよ。」
「よく気づいたね。」
「いつから警戒していたのですか?」
「最初っから。俺の索敵に引っかからなかったからな最大限警戒してた。」
「あーあ、失敗だったな。あと少しで揃ったのに『あの方』に怒られちゃう。」
被害者の女は諦めた様子だった。
「『あの方』てのは誰のことだ。」
「んー。それはすぐわかるよ。このまま、いけばね。」
『ご主人様。この小娘を切り捨ててもよろしいですか?」
『まだ、待て。もう少し喋らせる。』
『わかりました。』
「最近出てきた『漆黒』とかいうのも貴方でしょ?」
「さぁな。俺にはなんのことだか。」
「アハハ。嘘ついてもバレバレだよ。あの方の能力は軽ーくあなたを超えている。私のゾンビ達にあんな強力な魔法を使わなきゃ勝てないようじゃ『あの方』には勝てないよ。」
「そろそろ寝てください。」
カトレアが消えたかと思った次の瞬間。
女の背後から剣で刺し貫いていた。
「アハハ。そんな剣じゃ私は殺せないよ。けどそろそろ魔力が切れるからまたね。『漆黒』」
そして、女はただの土となって崩れ落ちた。
「最初から、土人形だったわけだね。」
「だから、索敵しても引っかからなかったのか。」
土人形は魔力を吹き込むまではただの土だからな。
「とりあえずは一件落着なのかな?」
「ま、多分また仕掛けてくるだろ。それも近いうちに。」
それより気になるのは『あの方』の存在だ。
一体どこのだれで何をしようとしているのか。
「ま、それは起きてから考えるか。」
「彼女がいっていたことかい?」
「あぁ、すぐって言ってもまだ時間はある。」
「その内にこちらも、準備すればいいだけだからね。」
そのとおりだ。
「ところでナイト。今回は打ち上げには参加してくれるかな?」
「そうだな。今回は参加させてもらおうかな。」
「よし、なら。すぐに戻ろう。いい店を紹介するよ。」
取り敢えず頭の片隅に置いて、俺は今回の探索で疲れた体を癒すことにした。
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「奴らはどうだった。」
「はい。『真紅』『青銅』は恐れるに足らないかと存じ上げます。しかし、」
「どうした。なにか非常識でもいたか。」
「はい。新しく王国女王メアが招集した精鋭の一人。『漆黒』が確認できました。」
「そうか、やはり、そいつが立ちはだかるか。」
「『漆黒』を排除しない限り計画の進みに支障が出るかもしれません。」
「それは、心配はいらない。計画はすでに最終段階まで来ている。もし、『漆黒』が邪魔なようだったらあいつの関係者を捕らえて手出しできなくさせればいい。いや、計画に参加させよう。その方が計画は今までの倍で進む。」
「では、そのように言って置きます。」
「私は顔を見られていますが故今回からは拠点待機でよろしいでしょうか。」
「うむ。認めよう。では、下がれ。」
「は。失礼します。」
「楽しみだ。王国が真っ赤な炎に包まれる姿が目に浮かぶ。」
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「ナイト様。あの人達は何者ですか?」
ラート達と食事をしたあと。
俺は宿のベットで寝ていた。
「さぁな。全く見当がつかないな。」
「そうですか。また、行くのですか?」
また、というのはザフトの時のことを言っているんだろう。
「それでもいいが、相手が何者でなにをしようとしてるのかわからないと無理だな。」
ザフトの場合は素性もはっきりしていたし実害も出ていたから迷いがなかったが今回は情報がすくな過ぎる。
相手がどこの誰で何をしようとしているのか。
情報を集めるしかないか。
次の日
「そろそろ、魔都に向かおうと思うんだが。」
「やっと出発ね。待ちくたびれたわよ。」
「悪いな、ラート達となんやかんやでからんでたからな。」
「今回は、ゲートをお使いになりますか?」
「そうだな。昨日のこともあるし今回使う。」
ということで俺たちはラート達に出発することの旨を伝えて人気のない場所でゲートをだして入った。
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