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26話 白魔儀とサソリ

彷徨う亡霊を倒して屋敷を出る。


「おかえりなさいませナイト様。」

「あの変なやつは倒したの?」


「あぁ、つまらなかった。」


「感想がナイトさんらしいですね。」

「ご主人、つよーい。」


さて、最後の仕事だ。


『この世に迷いし魂よ、あるべき場所へ帰るといい。』


俺は白魔儀『サラトラス』を唱えた。

今更だがこの世界でも前の世界の魔法は使える。


だから、白魔儀なんだ。

白魔儀は普通儀式を要する魔法だが俺の魔力量なら儀式しなくても発動出来る。


『サラトラス』

一定領域内を浄化する。

発動にはそれなりの魔力が必要。


「よし。これでここは普通の屋敷だ。」

「ご主人様。今なにをなさったのですか?」


「ここら、一帯を浄化した。」

「え?あの一瞬で?」

「あの一瞬で。」


俺からすればあんなの大したことない。

ただ、いつもより魔力を使ったなという感想しかない。


「ナイト様。」


突然の殺気。

しかも、かなりの至近距離から。


殺気を発したのはミミだった。


「ど、どうしたミミ。」

「そんな広範囲浄化魔法があるのにどうして最初からやらなかったんですか?」

「いや、それは、忘れてたと言いますかめんどくさかったと言いますか。」


「では、ナイト様は面倒、忘れたという理由だけで私を怖がらせて楽しんでいたという訳ですね。」

「いや、そうじゃないけど。」


もう、ヤバイ!

さっきからミミは笑いっぱなしだし。


後ろからなんか黒いの出てるし。

ものすごく怖い。


「あの、すいません。次からは面倒くさがらずちゃんとやります。」

「気をつけて下さいね。」

「.....はい。」


静かに怒るミミの前では最強も形無しだった。



俺達はゲートでギルドまでゲートで飛んで。

報告した。


「そうですか。あの屋敷にそんな化け物が。」

「一応()()()浄化魔法を施したからすぐには怨念達も戻っては来ないとは思うけど。」


すぐどころか一生戻っては来ないだろう。

また、誰かがあそこで大量殺戮でもしない限り。


あ、なんで、ミミが浄化したことにするかと言うと、俺が行ったのは前の世界の魔法。今現在この世界でその級の魔法は見つかってないし誰も使えない。


そんなもので浄化したとなれば面倒くさいことになるのは明らかだ。


だから、ミミがやったことにした。


「では、あの屋敷はどうなさいますか?」

「普通に競売に掛けてくれ。」


あの屋敷を家にするといったらミミとシェリーから猛反対された。


「また、化け物が出てきたらどうするのよ。」

「そうです!私怖いのは苦手です。」


ということであの屋敷を家にするというのは却下された。


無念。



幽霊屋敷の次にとったクエストはタイラントスコーピオンの討伐だ。


勿論ミミとシェリーのチョイスだ。

俺だとまた、変なクエストをとってくるかも知れないからとの事だ。


失礼な。

次はスライムだらけの屋敷を探索にするつもりだっただけだ。


ということでタイラントスコーピオンがいるという森林にきた。


森林は別名、樹海といわれていてちゃんと目印を付けとかないと迷って樹海から出られなという。


ま、ゲートがある俺には関係ないが。



ギルドから10分ほど歩いて森林に付いた。

森林と言うだけあり木々が鬱蒼としていてジメジメしている。


「タイラントスコーピオンはどこにいるんだ。」

「えっと、不自然に盛り上がった土に潜んでるって。」

「じゃあ、見つけたらイリス先頭で洞穴に近づいて出てきたら俺が叩くといった感じでいい?」


「やっと活躍出来るのだな!」


まぁ、前回の幽霊屋敷はイリスは全くと言っていいほど活躍してないしな。

今回は盾役として充分活躍出来るだろう。


タイラントスコーピオンはその名の通りでかいサソリだ。


尻尾から発射される毒針は掠れば人を殺すことが出来るほど強力で危険だ。


しかし、盾で防げばノーダメだからイリスの出番という訳だ。


例えどこから毒針が飛んできても《自動防御(オートガード)》があるからな。

鉄壁の守りだ。


「他にも、甲殻が硬すぎて攻撃が通らないとの情報がありますが、ご主人様のステータスなら余裕だと思います。」

「そもそも主殿の攻撃が通じない相手など誰がかなうというのだ。」


「そんな相手がいたらこの世界はおしまいですね。」


全く俺は万能神じゃないぞ。

俺にも出来ないことはある。

────多分。


そんなことを話しているうちに目的の洞穴と思われる洞窟が現れた。


「ここか?」

「多分ね。」


しかし、気配がしない。

寝ているのか?それとも死んでるのか?


「気配がありませんね。私が見て参りますのでご主人様はここでお待ちを。」


そう言ってカトレアは洞穴に近づいた。


その時視界の端にキラリと光る者がカトレア目掛けて飛んでいった。


俺はカトレアの元に向かって行って飛んできたものを弾いた。


「大丈夫か。」

「はい。あ、ありがとうございます。」


カトレアは顔を少し紅くして俯いた。

おいおい。恥ずかしいのは分かるがそういうのはあとにした方がいいと思うぞ。


「イリス!カトレアを守れ。」


俺はイリスに指示を飛ばして飛んできた方に意識を向けた。


木に紛れてよく分からないがその中でおかしな所を見てた。


『ファイアーボール』

俺は違和感に向かってファイアーボールを投げた。


「ギギギギギィィィィィィィ」


落ちてきたのは緑色のサソリだった。


「希少種!なんでこんな所に。」

「希少種?なんだそれ。」


「希少種はホントはエルフの森に住む珍しいモンスター。ここにいるのはおかしい。」

「ちょ、説明してる場合、アイツ起きちゃうよ。」


サソリは尻尾を振り回しミミに当てようとした。


「させねぇよ。」

「ご主人。肩貸して。」


シアが俺の肩から飛翔。

尻尾を切り落とした。


身軽っていいね。


尻尾を失ったことによりサソリは戦意を喪失。


あとはカトレアと俺でボコボコにすればおしまい。


「ふぅー、手強い相手だった。」

「そうでも無いでしょ。あと、棒読みやめい。」


いや、即死の毒って結構スリルあるんだよ。

俺には毒は効かないけどな。

まぁ、これには龍ともう一つの種族が関係しているから今は言わないけど。


というか直ぐにわかると思うが。



「ねぇ、ナイトってなんでそんなに強いの?」

「前にも話しただろ。異世界人だからだ。」


これは、今ここにいる全員に話しているしメイド長のユミルやココとセシルにも話している。


余談だが、メイドが開いている商会の商品はココとセシルが作った物も並ぶらしい。

それでも、殆どがモンスターからドロップする素材が中心だしな。

余談終わり。


「それでも、規格外過ぎるでしょ。」

「前の世界でも、何度言われたか。」


「それがナイト様のいい所もあるので私はそのままで良いですよ。」

「ま、私も楽できるからその方が良いけどね。」


あ、楽できるから付いてきている設定まだ続いてたんだ。

浴室でシェリーは

「私はあんたが好きだからついて行くからね。それだけは覚えておいて。」


と言った。

女の子ってホントわからない。


まぁ、俺はあの時金髪赤眼の女の子に告白されたことは理解出来た。


いや、それしかしなかった。

それ以上やると混乱するからな。


告白されたからには答えを出さなきゃいけないと思う。

しかし、俺はその告白の答えを出せていない。


俺は今まで女の子に告白されるということがなかった。

今まで独りで戦ってきたし独りで生活してきた。

そりゃ家に帰ればフェルテンがいたりメイドがいたりするが、それは、なんか違う気がした。


それでも独りは楽だった。

誰かに気を使うことはないし誰かの予定に合わせる必要も無い。


自由大好きな俺にとって独りは楽だった。

それが今は弊害となっている。


俺はシェリーのことは好きだしこれからも一緒にいたいとも思っている。

しかし、それが言葉に出せない。

婚約者を2人も抱えているのも一つの要因なのかもしれない。


もどかしい感じに俺は悩まされている。

なんか、打開策は無いかな。

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