25話 探索と結界
幽霊屋敷に足を踏み入れる。
中は意外と綺麗で蜘蛛の巣が貼ってある位で他は人が住んでいたそのままだ。
「ホントに行くのー。もう既にやな予感しかしないんだけど。」
「大丈夫です。敵意のある輩は私が切り捨てます。」
毎度カトレアは頼もしい分物騒である。
俺が王都を襲撃してこいといったらホントにしてきそう。
絶対言わないぞ。
屋敷は扉を入ってすぐにエントランスがあって真っ直ぐ行くと両側に階段が付いていてそれが円を描くようにしてついている。
といっても真ん中の通路は固く閉ざされている。
2階は後回しにして先に1階の探索をする。
シェリーがコートの裾を掴んでいるため歩きにくい。
まぁ、無理やり連れてきたんだからこれくらいは許そう。
エントランスからは3程の通路に分かれる。
階段をくぐる形となる真ん中。
入って右側の通路。
入って左側の通路。
クラピカ理論で左から行こう。
どの道全部の部屋を廻るから関係ないが。
ちなみにクラピカ理論とは.....。
説明が長くなるから簡単に説明すると右か左か迷ったら左から行けというものだ。
左には部屋が片側6部屋の計12部屋あった。
右側も同じだらうから1階だけで24部屋あるのか。
俺の屋敷並に広いな。
俺のはこれより広いけど。
部屋を廻るのは最初にカトレアが入って安全確認してそれから俺達が入るかたちとなった。
左側全ての部屋をまわったが何もなかった。
あったのはボロボロの家具位だった。
続いて右側、右側には色んなものが散乱していた。
鉄剣など武器や革鎧などの防具類まで様々だ。
「なんで、こんなにいっぱい。」
「やっぱりな。」
「ご主人様。どうかなさいましたか?」
「この屋敷のどこかに誰か潜んでるな。」
「ちょっと脅かさないでよ。」
「事実だ。さっきのエントランスといいこの武器防具といい。誰も居ないはずの屋敷にこんなにある訳ない。エントランスだって綺麗過ぎ、埃1つ落ちてなかった。」
「風でとんだのでは?」
「いや、それは無い。恐らくこの屋敷に潜む誰かが掃除したんだろ。」
「埃に足跡がついて自分がこの屋敷に潜んでいるとバレるから。」
「しかし、わからない。」
「今度はなによ。」
「さっきから[反響]スキルを使っているが一向に姿が見えない。」
この屋敷に入ってからずっと使っているが全く姿が見当たらない。
「それに、あの中央の扉も気になる。」
「あの、固く閉ざされているやつですよね。でも、それは、危険だからではないのですか?」
「この屋敷のどこに危険な要素がある?ここは住居だぞ?要塞や砦じゃない。」
「それもそうですね。」
「なら、何があるの?」
「いや、わからない。俺の[反響]スキルすらも弾いた。つまり、あそこには結界か何かが張ってある。」
恐らく結界はあの扉自体に貼られていて中のものを外に出さないようにしてるんだろう。
例えば強い怨念とか。徘徊している何かとか。「面白い。」
「「全然面白くない!」です!」
ミミとシェリーには不評のようだ。
「ま、中央は後回しにして先に2階調べるか。」
「2階に不審者がいるの?」
「さぁ、その不審者が中央通路に閉じ込められている奴かもしれないぞ。」
さて、シェリー達を怖がらせたところで2階の探索に移る。
「こう見ると豪邸なんだけどね曰く付きとなるとね、かなりきついものがあるわよね。」
「そうか?前の世界じゃ常に気を張ってなきゃいけない時だってあったぞ?」
とくに戦時中は、1週間寝ないことだってあったし。
「何それ過酷を通り越して地獄じゃない。」
「それに、比べれば今の状況なんてまだマシだって。」
「ナイトと比べちゃダメ。全ての常識が覆る。」
酷い言い草だ。
「常識なんて飾りだ。常識を守る奴はそれ以上にはなれない。」
実際常識と言われているものを守っていたら行ける限界は必ずある。
さて、探索に戻りますか。
2階はエントランスから吹き抜けになっていて丁度出入口をコの字の形になっている。
2階にもとくにめぼしいものはとくになかった。
あるものと言えば前住んでいた住人と思われる写真があった。
「さて、本命の中央通路。開けますか。」
「ナイトさん。そこには結界があるのではないのですか?」
「あぁ、だから破った。」
「「「「え?」」」」
「え?」
なに結界ってそんなに硬いものだっけ?
「ナイト様ですからね。」
「そうだった。ナイトだったわね。」
なにその納得の仕方。
怖いんだけど。
そんなことはさておき俺は中央通路の扉を開けた。
扉を開けるとあったのは地下へと続く階段だった。
階段の下は真っ暗でなにも見えない。
「『暗い。』」
俺は白魔法の『ライト』を使った。
「明る!なにこの出力。」
「ナイト様?白魔法が苦手ではなかったのですか?」
「いや、浄化とか回復は苦手だけどこれくらいは出来るんだよ。」
「そうですか。」
ミミの意味深な笑顔が怖い。
俺は階段を降りた。
「『ホントに暗い。』」
その一言で階段下が太陽下並に明るくなった。
「よし、これで見えるな。」
「ナイト様ですからね。」
「ナイトだからね。」
二人ともそれ気に入ったの?
屋敷の階段下は牢屋だった。
当然ながらどの牢屋も空だ。
一つを除いて。
「なにこれ。」
「これは、生理的に受け付けないです。」
「ご主人様これは?」
「人体実験の負の産物だろ。多分。」
最深部の牢屋にいたのは手枷足枷をした人間を幾つにもくっつけたような容姿をしている生物だった。
「これ、動くの?」
「動くぞ。だから、扉に結界が張ってあったんだろ。」
「破っちゃダメじゃん!」
何を今更。
それに、結界を破った瞬間からこいつがいるのは知ってたし。
その時。
『キャャャャャャャャ!』
異形の者が奇声をあげた。
「全員。屋敷の外で待ってろ。」
「分かった。」
俺はみんなを撤退させる。
この狭い廊下じゃカトレアとの共闘は出来ない。
ミミ達が撤退してスグに異形の者は手枷などを破壊し牢屋の檻までも破壊した。
なるほど、怪力の持ち主か。
彷徨う亡霊
性別、不明
種族、不明
レベル、不明
スキル[怪力]、[剣術]、[奇声]、[飽食]
備考、飽食により何でも食べる。
あ、なるほど。あの装備たちは迷い込んだ冒険者の物かそれを冒険者は食べて防具は1箇所に置いといたのか。
中々賢いな。
異形の者は俺めがけて腕を振り下ろす。
避けて蹴りを顔面?に1発。
ぐちゃぐちゃ過ぎて顔がどこかわからない。
蹴りを諸にうけて後ろにすっ飛んだ。
異形の者は近くにあった剣を拾うと切りつけてきた。
俺も剣で応戦。
剣筋なんて考えない豪快な振りだった。
しかし、それが通じるのは相手が格下の時のみ。
俺からしてみれば次にどこに切りつけてくるか分かるから避けやすいし反撃もしやすい。
ハッキリ言って単純な作業だ。
避けて弾いての繰り返し。
「キェェァャェェェァャェェェェェェェ!」
「うるさい。黙れ。」
俺はすれ違いざまに彷徨う亡霊を斬った。
亡霊は緑色の血を上げて倒れた。
やっぱり人体実験の失敗例か。
血が緑なのが証拠だ。
さて、終わったしミミ達の所に戻りますか。
呆気なくてつまらなかったな。
もうちょっとノーツ位の強さは欲しかった。
俺はそんなことを考えながらミミ達の元へ戻った。




